東京の地名から分かる災害リスク

 地名には土地の高低や過去の災害の歴史が残されており、この地が昔どのような場所であったかを読み取ることができる手段のひとつです。ただし、土地利用の変遷が著しく、町域・町名の変更や合併などによって、かつての地名が変えられている場合もあり、必ずしも地名で全てを判断できる訳ではありません。地名はあくまでも参考として受け止め、実際には現地を確認し、災害に対する対応状況など現状を把握することが必要です。

  読み 災害 解説 地名例
アイ 水害 川の合流点で氾濫常襲地帯 落合
  アカ 崩壊・水害 垢がたまるように土砂が堆積した低湿地 赤羽、赤堤
  アズ 崩壊・水害 土砂災害の多い土地。低湿地 小豆沢
  イグサ 水害 湿地帯 井草
  イケ 水害 池や窪地などの不良な土地 池尻、池上
  ウシ 水害・崩壊 地すべり崩壊地、洪水氾濫地。古語「憂し」に由来し、不安定な土地の意 牛込
  ウメ 崩壊・水害・液状化 土砂崩れで埋まった場所。埋め立てた場所、低湿地 梅島
  水害 海・川・堀を意味する頻水地名 江古田、平井(平江が転訛)、一之江
カキ 崩壊 崩れやすい崖や急坂 柿の木坂
  ガケ 水害・崩壊 崖。氾濫常襲地
  カネ 水害 河川の決壊や氾濫が起こりやすい場所 金町(曲【カネ】に由来)、曲金
  カマ 水害 「噛マ」に通じ、侵食を受けやすく水がたまりやすい場所 鎌田、蒲田
  カメ 水害・崩壊 「噛メ」に通じ、侵食を受けやすく水がたまりやすい場所 亀有、亀戸
  カワ 水害 低湿地 川口、川崎
  クボ 水害 水がたまる窪地 太田窪、五郎窪、境窪、宮久保、荻窪、大久保
  ケミ 水害 低湿地 検見川
  コウジヤ 水害 荒地谷が転じたもの、湿地帯を開墾した場所 糀谷
  コマ 崩壊・水害 崩れやすい窪地。込み入った小さな谷や沢 駒込、駒場
サキ 崩壊・水害

「裂キ・割キ」から割れる・崩れるを意味する

鷺宮、鷺沼、川崎
  サワ 水害 谷地形の湿地帯 北沢、駒沢
  シオイリ 水害 満潮の際に潮が入ってきた低湿地 汐入
  シシ 水害 低湿地 鹿骨
  シッケミ 水害 低湿地 濕化味
  シバ 水害 氾濫時に冠水する場所。氾濫時に土砂が堆積した場所 柴又、芝
  シマ 水害 低湿地 柳島、西島
  シュク 水害・崩壊 河川の氾濫しやすい場所。河川沿いで崩れやすい場所 三宿、宿河原
  シンデン 水害 湿地を新たに水田にした場所。河川氾濫のリスクが大きい 「○○新田」
  スガ・スゲ 水害 低湿地 巣鴨、小菅、菅野
ツル 水害 カワの流れが渦を巻く場所 鶴巻、弦巻
ヌマ 水害 低湿地 沼影、蓮沼、横沼、沼田、皿沼、天沼、沼袋、鷺沼
  崩壊 崖や傾斜地の麓 宇奈根、中根
  ネギシ 水害・崩壊 台地と川や海が接する場所 根岸
  ノゲ 崩壊 崖地、地すべり地 上野毛、下野毛
ハキ 水害 ハキは「吐き」に由来。川の合流部で水が出やすい場所 柏木(カシハキの転訛)
  ハギ 水害 「剥ぎ」に通じ、水流に侵食されやすい湿地帯 萩中
  ハタ 水害 端。川岸・海岸 田端、幡ヶ谷
  ビジョ 水害 ぬかるみや湿地帯をあらわす 美女木
  崩壊・水害 「腐」に由来。軟弱地盤を表す 中土腐
  フクロ(フロ) 水害 川が大きく蛇行し水がたまる場所 鹿手袋、江戸袋、袋在家、池袋、沼袋、蛇袋
  フチ 水害 水が深くよどんでいる場所 岩淵、北早淵
  フナ 水害 土地の端を意味する「ハナ」が転訛 舟渡
  ホキ 崩壊 崖地 保木間
ママ(マ・マメ) 崩壊 河川沿いの急崖、崩壊地。河川の氾濫地点 真間、馬込
  マタ 水害 川の合流部 花又、柴又
  モリ 水害・崩壊 川岸が決壊しやすい場所。崩壊地 大森
水害 低湿地 谷塚、古千谷、入谷、阿佐谷、千駄ヶ谷、渋谷
  ヤス 水害 浸水しやすい低湿地。砂れきが堆積した氾濫原 子安
  ヤト 水害・崩壊 丘陵地や台地の間の低湿地 広ヶ谷戸、馬喰ヶ谷戸、北宮ヶ谷戸、海老ヶ谷戸
  ユキ 崩壊 崩れやすい崖地 雪谷
ワセ 水害 「裂(ワザ)く」が語源。破堤や洪水を意味する 早稲田
  ワダ 水害 低湿地。川の湾曲を示す「輪田・円田」が転じたもの 須和田、和田
  ワラビ 水害 川に挟まれた場所