固定資産税の課税標準額とは?評価額との違いや計算方法、軽減措置まで詳しく解説

[記事公開日]:2019/06/03[最新更新日]:2023/12/01

固定資産税については以下の記事も参考にしてください。

「固定資産税の支払い時期・通知・支払い方法」

「固定資産税・都市計画税の軽減措置」

不動産の売買の際に知っておきたいのが「課税標準額」です。不動産を所有していると、目にすることの多い「固定資産税」や「課税標準額」という言葉。いったい何が違うのか、税金の申告書や納付通知書などにおいてどんなふうに見ればいいのか、わかりづらいものです。
そこで今回は、課税標準額とは何か、評価額とは何が違うのかなど、「課税標準額」について詳しく説明します。不動産を所有している方や、これから所有する予定の方にとって知っておきたい内容です。

課税標準額とは何か

「課税標準額」とは、固定資産税に限らず、税額を算出するうえで基礎となる課税対象を指すものです。税金の種類によって算出方法は異なり、固定資産税における「課税標準額」のことを「固定資産税課税標準額」といいます。

自分の不動産の課税標準額はどうやって調べる?

現在所有している不動産の「課税標準額」を知りたいときは、毎年送られてくる固定資産税の納税通知書に付いている「課税明細書」を見てください。土地や家屋の固定資産税評価額と共に「課税標準額」が記載されています。
「課税標準額」または「課税総所得金額」等と記載されています。
下図は「課税明細書」の例です。様式は市町村によって異なります。

「固定資産税評価額」との違い

固定資産税に関しては、課税標準額のほかに「評価額」という用語が使われます。「課税標準額」と混同してしまう方が多いのでその違いを解説していきます。

固定資産税評価額とは

「固定資産税評価額」とは不動産の価値を評価し算定した価額のことをいい、土地の場合は、一般的に時価の約70%をめどに決められています。この評価額は各市町村が決定していて、固定資産税の納税通知書とともに送られてくる課税明細書の「価格」もしくは「評価額」という欄で確認できます。

固定資産税評価額と課税標準額との違い

では、「固定資産税評価額」と「課税標準額」とでは何が違うのでしょうか。評価額は前述の通り、土地の時価をもとに決められた価格のことですが、一方の「課税標準額」は税額計算の基礎となる金額のことを指し、その金額に一定の税率をかけることで固定資産税の税額が決定されます。
農地や山林などの土地の場合、「固定資産税評価額」と「課税標準額」は同じ金額となりますが、市街地の住宅用地(住居用の家屋が建っている土地)については特例や負担調整率が設定されているため、一般的に「固定資産税評価額」よりも「課税標準額」の方が低くなります。つまり、住宅用地の場合は「固定資産税評価額」と「課税標準額」は一致しません。

固定資産税評価額が決まるポイント

家屋にかかる固定資産税は「再建築価格方式」によって計算されます。この再建築価格方式は「現在の建物と同じ建物を再建築したときにかかる金額」を計算し、その金額に築年数分の減額補正をして評価額を決める仕組みです。
固定資産税評価額は、建築費用のおよそ70%になります。

土地の課税標準額

土地の課税標準額の求め方

土地の「課税標準額」の求め方は原則として「課税標準額」は固定資産税評価額と同額になりますが、住宅用地については評価額に先述した特例率を乗じた額が「課税標準額」となります。
さらに覚えておきたいのが、土地に関する負担調整措置です。土地の固定資産税評価額は3年に1度の評価替えがあり、この評価替えによって評価額が急激に上昇してしまう恐れがあります。このような急激な地価上昇を受けた場合にも固定資産税の上昇率を緩やかに抑えられるよう、負担調整措置が講じられています。
負担調整率は負担水準が低いほど大きくなるように定められており、その負担水準の求め方は以下の通りです。
「負担水準 = 前年度課税標準額 ÷(当年度の価格×特例率)×100(%)」

土地の固定資産税は課税標準額を見る

固定資産税を計算すると、「こんなに税金がかかるの?」と思う人もいるかもしれません。上述した通り、固定資産税には「評価額」と「課税標準額」があり、土地の固定資産税には負担調整措置もあります。固定資産税を計算して「高すぎる」と感じた場合、「課税標準額」ではなく評価額そのままで計算してしまっている可能性も考えられます。

住宅用地にかかる課税標準額の特例について

住宅用地にかかる「課税標準額」に関しては、その税負担を軽減するために特例措置が設けられていて、固定資産税の評価の際には一定の割合で評価額が減額されることとなっています。その特例とは、以下の2つです。

■小規模住宅用地

小規模宅地用地とは、住宅用地のうち1戸あたり200㎡までの部分を指します。この場合、固定資産税の「課税標準額」は評価額の6分の1となり、仮に賃貸住宅の場合だと「200㎡×住戸数」がその対象となるため大幅な減税が可能になります。

■一般住宅用地

一方の一般住宅用地は、住宅の敷地が200㎡を超える部分のことを指し、「課税標準額」は評価額の3分の1。たとえば、敷地が300㎡の場合、200㎡までを小規模宅地用地、残りの100㎡を一般住宅用地として計算することとなります。ただし、相続した実家などが空き家になっていて、倒壊の恐れがあるなどの理由で市町村から是正勧告を受けてしまうと、住宅用地の特例の対象からはずされてしまうことも。空き家のまま長期間放置することのないように注意しましょう。また、固定資産税に住宅用地特例が適用されているかどうか、しっかりと確認することも大切です。

固定資産税を抑えるには?

固定資産税の軽減措置を利用する

固定資産税にはさまざまな軽減措置が用意されています。所有している不動産がその対象になっているのか確認し、正しく適用されるようその条件や仕組みを把握しておきましょう。

主な固定資産税の軽減措置

■住宅用地の特例

 住宅やアパートなど、人が居住する建物の敷地となっている住宅用地に対する軽減措置。

■新築住宅に係る固定資産税の減額措置

 一般住宅は3年間、3階建て以上の耐火構造・準耐火構造の住宅は5年間、固定資産税が2分の1に減額されます。
 また、認定長期優良住宅の場合、減額期間が一般住宅は5年間、3階建て以上の耐火構造・準耐火構造の住宅は7年間になります。
 ※令和5年12月時点

■リフォームした場合の固定資産税の減額措置

 築後10年以上の住宅で所定のバリアフリーのリフォームをした場合や、所定の省エネのリフォームをした場合、翌年度分の固定資産税から3分の1減額されます。また、昭和57年1月1日以前に建築された住宅で、所定の耐震リフォームをした場合、翌年度分の固定資産税が2分の1に減額されます。

まとめ

固定資産税の「課税標準額」について解説しましたが、いかがでしたか? 
土地や家屋は、所有しているだけで税金がかかってしまいますし、土地の評価額が高いものであれば税金の負担はかなり大きくなります。また、今回ご紹介したように、課税標準額の特例や負担調整措置などによって税金の負担が軽くなることもあるため、所有している不動産の税金について少しでも疑問に思ったら、ぜひご自身でも課税標準額の計算をしてみてください。もし心配なら専門家に相談することをおすすめします。

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