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省エネ性能に優れた住宅の普及促進に係る特例措置
2024(令和6)4月1日~2026(令和8)年3月31日まで
日本は、2050年カーボンニュートラルの実現に向けて、2030年度に温室効果ガス46%削減(2013年度比)を目指しており、家庭部門のCO2排出量を2030年度に66%削減(2013年度比)する目標を掲げています。それを実現するため、令和4年6月17日に改正建築物省エネ法が公布され、2025(令和7)年4月(予定)から、すべての新築住宅に省エネ基準の適合義務が課せられるとともに、2030年度までに新築についてZEH水準の省エネ性能の確保を目指しています。
これら目標の達成のためには、引き続き脱炭素社会に向けた良質な住宅ストックの形成を図る必要があり、認定住宅に係る登録免許税、不動産取得税、固定資産税を減税するための特例措置の期限を2024(令和6)4月1日~2026(令和8)年3月31日まで2年間延長して、省エネ性能等に優れた住宅の普及促進を図ります。
省エネ性能に優れた住宅の普及促進に係る特例措置の内容
認定長期優良住宅に係る特例措置
- 【登録免許税】
- 所有権保存登記:0.15% → 0.1%
- 所有権移転登記:0.3% → マンション0.1%、戸建て0.2%
- 【不動産取得税】
- 1,200万円 → 1,300万円
- 【固定資産税】
- 戸建て:3年間 → 5年間
- マンション:5年間 → 7年間
税率を一般住宅特例より引き下げ
課税標準からの控除額を一般住宅より増額
一般住宅特例(1/2を減額)の適用期間を延長
認定低炭素住宅に係る特例措置
- 【登録免許税】
- 所有権保存登記:0.15% → 0.1%
- 所有権移転登記:0.3% → 0.1%
省エネ住宅と一般住宅との優遇制度比較
長期優良住宅や低炭素住宅に認定されると、様々な優遇制度において一般住宅以上の優遇を受けることができます。
一般住宅 | 認定低炭素住宅 | 認定長期優良住宅 | |
---|---|---|---|
住宅ローン控除の対象ローン限度額 ※2024年、2025年入居の場合 |
0円 または2,000万円(2023年中の建築確認が必要です) |
4,500万円 | |
所得税控除(投資型減税) ※自己資金購入など住宅ローン減税が利用できない場合 |
なし | 標準的な性能強化費用相当額(上限650万円)の10%相当額を控除 |
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登録免許税(所有権保存登記) 本則0.4% |
0.15% | 0.1% | |
登録免許税(所有権移転登記) 本則2.0% |
0.3% | 0.1% | 0.2%【一戸建て】 0.1%【マンション】 |
不動産取得税 | 課税標準からの控除額 1200万円 |
課税標準からの控除額 1300万円 |
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固定資産税 | 1/2を減額 ※新築住宅の居住部分120㎡相当まで 【戸建て】新築後3年間 【マンション】新築後7年間 |
1/2を減額 ※新築住宅の居住部分120㎡相当まで 【戸建て】新築後5年間 【マンション】新築後7年間 |
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フラット35 | フラット35 | フラット35S金利Aプラン |
長期優良住宅と低炭素住宅について
長期優良住宅とは
「長期優良住宅」とは、長期にわたり良好な状態で使用するための措置が講じられた優良な住宅のこと。具体的には、国が定めた基準を満たし所管行政庁に申請した上で、長期優良住宅の認定を受けた住宅のことです。「長期優良住宅普及促進法」が2009年6月に施行され、耐久性や耐震性、維持管理体制などの基準が定められました。平成30年度の認定実績(新築)は108,800戸で、新築着工住宅全体に占める割合は11.5%。政府はこれを令和7年度で20%を目標にしています。
長期優良住宅に認定されるための条件 | |
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劣化対策 | 少なくとも100年程度は、構造躯体が使用できること |
耐震性 | 建築基準法レベルの1.25倍の地震力でも倒壊しないことなど |
維持管理・更新の容易性 | 内装・設備の維持管理が容易であること |
可変性 | 将来の間取り変更に必要な躯体天井高を確保すること |
バリアフリー性 | 共用廊下などに改修に必要なスペースが確保されていること |
省エネルギー性 | 次世代省エネルギー基準に適合すること |
住戸面積 | 専有面積55㎡以上(地域により40㎡を下限に変更可) |
維持保全計画 | 少なくとも10年ごとに点検を実施すること |
低炭素住宅とは
「低炭素住宅」とは、二酸化炭素の排出を抑えるための対策が取られた、環境にやさしい住宅のことです。都市における低炭素化を促進し、持続可能な社会の実現を目指すことを目的として、「都市の低炭素化の促進に関する法律」(エコまち法)が平成24年12月に施行されました。この法律に基づきスタートした制度が「低炭素建築物認定制度」です。都道府県または市(区)から低炭素住宅と認定されることで、様々な優遇制度が受けられます。
低炭素住宅に認定されるための条件 | ||
---|---|---|
(1)省エネルギー基準を超える省エネルギー性能を備えていること、かつ低炭素化促進のための対策がとられていること | ||
定量的評価項目 <基準クリア必須> |
外皮の熱性能 | 省エネルギー法で定められる省エネ基準と同等以上の断熱性・日射遮蔽性が確保されていること |
一次エネルギー消費量 | 省エネルギー法の省エネ基準よりも、一次エネルギー消費量を10%以上削減していること | |
選択的項目 <2つ以上選択> |
節水対策 | ①節水に役立つ機器の設置(節水便器や食洗器など) ②雨水・井戸水または雑排水を利用する為の設備の導入 |
エネルギーマネジメント | ③HEMS(ホームエネルギーマネジメントシステム)の設置 ④太陽光などの再生可能エネルギーによる発電設備と、それに連携した定置型蓄電池の設置 |
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ヒートアイランド対策 | ⑤敷地・屋上・壁面の緑化など一定のヒートアイランド対策の実施 | |
建築物(躯体)の低炭素化 | ⑥住宅の劣化を軽減する措置が取られている ⑦木造住宅である ⑧構造耐力上主要な部分に、高炉セメントまたはフライアッシュセメントを使用している |
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(2)都市の低炭素化促進のための基本方針に照らし合わせて適切であること | ||
(3)資金計画が適切であること |
長期優良住宅は構造躯体の劣化対策、耐震性、維持管理・更新の容易性など、省エネルギー性以外にもクリアすべき基準が多くありますが、低炭素住宅はクリアすべき基準が省エネルギー性に特化しているため、長期優良住宅より低炭素住宅の方が認定取得のハードルは低いと言えます。それでも、上記のように低炭素住宅は長期優良住宅と同様な優遇をいくつか受けることが可能です。