東京都心の景観!だから落ちない都心の価値

1.山の手エリアに残る閑静な住宅街

緑に包まれた閑静な景観

島津山エリア 大通りから一本入ると緑に包まれた閑静な住宅地が広がるという箇所が都心には点在します。山の手には今もなお江戸の街並みが残るような住宅地が存在しています。かつて江戸城を囲むように、日当たりや眺望、風通しに優れた高台には武家屋敷が多く立ち並んでいました。
 代表的なのは、江戸時代の武家屋敷や明治以降の実業家の邸宅があった品川区城南五山島津山池田山花房山御殿山八ツ山)です。日当たりが良く、都心のにぎわいと隣接した邸宅地として今も残っています。

 用途地域でもっとも建築制限が厳しい「第一種低層住居専用地域」に定められた場所には閑静な景観が見られます。行政区や地域で異なりますが、建物の高さや建ぺい率、容積率が抑制され、住居以外でも学校や診療所などに限られるため、3階程度の低層マンションが中心です。10m以上の高い建物が無いため空が広く、穏やかな景色が見渡せます。

2.寺町は散策に最適

寺は荘厳なイメージを持つ異空間

目黒不動尊 都心には複数の寺院が集まる寺町が良く見られます。昔から変わらず緑豊かな寺院は、住む人の憩いやコミュニティの拠点になります。

 寺町がつくられた背景をひもとくと、3つのタイプに分かれます。まず一つが、江戸城の裏鬼門封じとしてつくられた目黒区目黒2、3丁目周辺。次が江戸の入口を守る拠点として立てられた港区三田4丁目、文京区向丘1~2丁目から本駒込1~3丁目、新宿区若葉2丁目。3つ目が、関東大震災後、寺院が集団で移転してできた比較的新しい寺町が、世田谷区北烏山4~6丁目、中野区上高田1丁目あたりにあります。

3.空間と空間をつなぐ坂

富士見坂 武蔵野台地の東端に位置する都心部には、数多くの坂が存在いたします。城下町である江戸の街路は防衛上、格子状に通さず意図的にずらして配置していました。こうした背景から、坂やカーブ、曲がり角が多く、独特の都心景観を生み出しています。また、都心には富士見坂という名の坂がいくつか存在します。富士山は単なる景観ではなく信仰の対象でもあり、富士が見える町とは富士に見守られた町とされてきました。そんな富士山が見通せたことからその名が付けられたのが富士見坂です。ただし、今では名ばかりになっている場所も少なくありません。

4.雄大なウォーターフロント

ウォーターフロント 東京の街づくりは、江戸時代以降、水面を埋め立てて進められてきた。埋立地の多くは産業用地として供給されましたが、近年は工場や造船所の跡地の再開発が進み、湾岸エリアは発展しました。タワーマンションが並ぶウォーターフロントの再開発は「海辺の都心居住」という新しいライフスタイルを生み出し、勝どきや豊洲、有明などのように道路幅が広く、広大な敷地に植えられた植栽と雄大な水景が人々の心を掴んで、居住スポットとして定着しました。

5.路地が見せる下町情緒

人形町裏路地 さまざまな街の個性が見えるのも都心ならでは。高層ビル街や緑豊かな高台の邸宅街とは違う、古きよき時代をのぞかせるような下町情緒を感じさせる景観もあります。

 代表格が、甘酒横丁の老舗店が並ぶ中央区の日本橋から人形町に続く道です。夏目漱石や森鴎外の自宅跡があり、つつじの名所としても有名な文京区の根津・千駄木。老舗旅館や和食店が並ぶ新宿区神楽坂の路地も味わい深いです。