戸建て購入時の諸費用はどれくらいかかる?内訳や相場を詳しく紹介

戸建ての購入を検討している場合、諸費用がどれだけかかるのかを知っておくのが大事です。購入代金のほかにさまざまな諸費用を支払うことになるからです。例えば、税金や手数料などは、基本的に住宅ローンの借入額に含まれず現金で支払わなければなりません。

本記事では戸建て住宅購入の際に発生する諸費用の内訳や相場を詳しく解説します。

戸建て購入時にはいろいろな諸費用が発生する

冒頭でもお伝えしたとおり、戸建ての購入には住宅代金以外にもさまざまな諸費用が発生します。諸費用は基本的に、契約時や決済時に現金で支払わなければなりません。したがって、住宅ローンの頭金や手付金とともにあらかじめ準備しておかなければならないのです。

発生する諸費用は、建売住宅、注文住宅、中古住宅によって異なります。

  建売住宅 注文住宅 中古住宅
印紙税
登録免許税
司法書士の報酬
住宅ローン事務手数料
住宅ローン保証料
仲介手数料
日割り清算金 × ×
火災保険料
団体信用生命保険(団信)
不動産取得税
固定資産税清算金
既存住宅状況調査技術者報酬 × ×
既存住宅売買瑕疵保険の保険料・検査費用 × ×
耐震基準適合証明書の検査費用
フラット35の適合証明書の検査費用

〇:かかる、△:かかる可能性がある、×:かからない

自分が購入を予定している物件と照らし合わせて、必要になる諸費用を計算しましょう。以下では諸費用の内訳と支払時期を詳しく解説します。

戸建て購入時に発生するおもな諸費用

戸建て購入時に発生するおもな諸費用には、いろんな種類があります。

印紙代

印紙代とは、不動産売買契約書、金銭消費貸借契約書、建築請負契約書に貼付する収入印紙の代金です。契約書に記載されている金額によって決められた額の印紙を貼り、印鑑で割印(正式には消印)することで納税します。

現在、印紙代(印紙税)には減税の特例措置が用意されており、条件に合えば負担軽減が期待できます。

→「印紙税の特例」

支払時期:契約時(売買契約書貼付分)、金銭消費貸借契約時(金銭消費貸借契約書貼付分)

登録免許税

登録免許税は所有権保存登記や所有権移転登記、抵当権設定登記の際にかかる税金です。

建物の登記や抵当権の登記については、一定の要件を満たせば税率の軽減を受けられます。

→「登録免許税の軽減」

支払時期:決済時(所有権移転登記時・抵当権設定登記時)

司法書士の報酬

登記内容に応じて、約5万円から10万円程度の報酬額が必要です。

支払時期:決済時(登記費用)

住宅ローン事務手数料

住宅ローン事務手数料とは、住宅ローンを取り扱う金融機関に支払う事務手数料です。

金融機関によって異なりますが、金額はおよそ3万円程度と考えてください。なかには公的融資の「財形住宅融資」など、手数料不要の融資もあります。

支払時期:決済時 (ローン実行時)

住宅ローン保証料

住宅ローン保証料とは、契約者が住宅ローンの支払いが出来なくなった場合に、保証会社に代位弁済(残債務の支払い)してもらうための保証金です。保証料も金融機関で異なり、借入額や返済期間によって変わります。

住宅金融支援機構のフラット35や一部のネット銀行では、保証料が不要になることもあります。

※保証料の支払い方法には「外枠方式」(初回一括払い)、「内枠方式」(月々の返済額に上乗せ)があります

支払時期:決済時 (ローン実行時)※外枠方式の場合

仲介手数料

仲介手数料は媒介を依頼した宅建業者に支払う仲介料です。

宅地建物取引業法で上限額が決められており、物件価格が400万円を超える場合の金額は【物件価格(税抜)×3%+6万円】(消費税別)です。

支払時期:契約時(半金)+決済時(半金) ※業者によって違いあり

日割り清算金

日割り清算金とは、固定資産税、都市計画税、管理費・修繕積立金などを所有権移転日で日割り計算して、買主負担額を売主に支払う費用のことです。

支払時期:決済時

火災保険料

住宅ローンを利用する場合、金融機関より火災保険の加入を勧められます。なお、地震保険は任意です。

支払時期:決済時(ローン実行時)

団体信用生命保険(団信)

団体信用生命保険とは住宅ローンの返済中に借主が死亡または高度障害となった場合、保険金により残りの住宅ローンが弁済される保障制度です。保険金は保険会社より金融機関に支払われます。

一般的に、団体信用生命保険への加入は住宅ローンの必須条件で、保険料は金融機関が負担します。ただし、特約部分に関しては金利上乗せなどにより借主負担となることが多いと考えてください。

フラット35の場合、団体信用生命保険の加入は任意です。

支払時期:決済時(ローン実行時)※保険料が金利に含まれる場合は不要

不動産取得税

不動産取得税は不動産を取得した人に対して都道府県が課する税金です。

土地・建物ともに軽減措置があります。この措置によって税額がゼロになるケースも少なくありません。

→「不動産取得税の軽減措置」

支払時期:決済後 (入居後)

既存住宅状況調査技術者報酬

既存住宅状況調査技術者報酬は、既存住宅状況調査(インスペクション)を既存住宅状況調査技術者(建築士などの専門知識を有する者)へ依頼する際の費用です。約5万円から10万円程度必要です。

支払時期:契約前

既存住宅売買瑕疵保険の保険料・検査費用

既存住宅売買瑕疵保険の保険料・検査費用は中古住宅の検査と保証がセットになった保険制度です。住宅専門の保険会社(住宅瑕疵担保責任保険法人)が保険を引き受けます。

建物の構造耐力上主要な部分、雨水の浸入を防止する部分などを保険対象とし、引き渡し後に瑕疵が発見された場合に補修費用が支払われます。

保険料は床面積や構造により異なりますが、120㎡木造一戸建て、保険期間5年、保険金額1000万円で5万円から7万円程度です。検査費用も床面積や構造により異なり、5万円から7万円程度です。

支払時期:契約前

耐震基準適合証明書の検査費用

耐震基準適合証明書の検査費用は一級建築士など専門家による建物の耐震基準の適合調査で、費用は7万円から10万円程度です。

検査結果は、住宅ローン控除や登録免許税・不動産取得税の軽減措置の申請に利用します。

支払時期:契約前

フラット35の適合証明書の検査費用

フラット35を利用する場合に必須です。住宅金融支援機構の定める技術基準の適合検査で、検査機関または適合証明技術者により行われます。費用は5万円から7万円程度です。

支払時期:契約前

以上が不動産取引に関わる諸費用です。不動産取得税など取引後に必要となるものもありますので、取引後も気を抜かずに準備をしましょう。他にも、リフォーム代、引っ越し代、家具・家電購入費などの費用が必要となることが考えられます。事前に余裕を持った資金計画を立てることが大事です。

戸建てを購入する際の諸費用の目安

不動産取引における諸費用は、物件価格の約3%から約9%が必要と言われています。例えば、新築で5,000万円の建売住宅を購入する場合、150万円〜450万円程度を想定しておくのが大事です。

諸費用は今まで説明してきたとおり、おもに契約時に支払います。支払えない場合の措置として、金融機関によっては諸費用ローンなどが用意されています。

ただ、諸費用ローンを利用すると借入額が高くなってしまう点に注意してください。結果として毎月の支払額が多くなり、生活を圧迫してしまう恐れもあります。

戸建て購入の諸費用をしっかり把握しておこう

戸建て購入の諸費用は事前に「いくらかかるのか」を把握するのが大事です。しっかり把握しておかなければ、準備していたお金を超えてしまう恐れもあります。

ただ、諸費用がかかるからといって夢のマイホームを諦めたり、理想から程遠い物件で妥協したりするのはおすすめできません。大事なのは「理想の戸建てを探すこと」です。理想の戸建てを見つけ、そこから諸費用を計算し、マイホーム購入に向けて準備を進めましょう。


投稿者プロフィール

石川充
宅地建物取引士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士

1996年より大手不動産デベロッパー勤務。首都圏の新築マンション販売のプロジェクトマネージャーに従事。多くの物件の担当し、引き渡しまで一気通貫で経験。
その後ベンチャー系広告代理店にて不動産系クライアントのインターネット集客の支援を行う。
現在は広告代理業と併せ、老舗不動産会社として地域ニーズに合わせた事業を展開。

ABOUTこの記事をかいた人

宅地建物取引士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士 1996年より大手不動産デベロッパー勤務。首都圏の新築マンション販売のプロジェクトマネージャーに従事。多くの物件の担当し、引き渡しまで一気通貫で経験。 その後ベンチャー系広告代理店にて不動産系クライアントのインターネット集客の支援を行う。 現在は広告代理業と併せ、老舗不動産会社として地域ニーズに合わせた事業を展開。