消費税率10%で家を購入するメリットとは!? 消費税率10%引上げ時の経過措置で負担軽減!

[記事公開日]:2019/09/05[最新更新日]:2021/10/03

2019年10月より消費税率が10%に引き上げられます。消費税が非課税の土地や個人が売り主の中古物件は別として、物件購入に対する負担増加が懸念されます。

  • 例)注文住宅建設費3000万円の場合
  • 3240万円(8%)→3300万円(10%) 増税額:60万円

さらに、不動産購入時の諸費用の中にも消費税がかかるものがあります。

消費税がかかる 消費税がかからない
建物の購入代金 土地の購入代金
建物のリフォーム代金 印紙税、登録免許税
仲介手数料(物件価格×3%+6万円) 住宅ローンの金利、保証料
登記時の司法書士への報酬 団体信用生命保険料、火災保険料、地震保険料
住宅ローンの事務手数料 ローン保証料
引っ越し代金、家具購入費 不動産取得税、固定資産税

普通の買い物とは異なり高額な住宅購入においては、引き上げ幅が2%と言えども影響は小さくありません。実際に、消費税率引き上げ前に購入を早めたとの意見もアンケート調査で出ています。しかし、住宅に関しては消費税率引き上げに伴う経過措置が取られており、必ずしも必要な資金が増えるとは限りません。

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税率10%の適用時期と経過措置

建物に対する消費税率は、原則物件の引渡日で決まります。2019年9月末までは8%で、10月以降は10%です。ただし、注文住宅などの「請負契約」では半年の経過措置が設けられており、2019年3月末までに契約していれば、引渡日が2019年10月1日以降でも8%の税率が適用されます。

ただし、これから購入を考えるとなると、契約から物件の引き渡しまでを9月中に済まさなければならず、ほぼ10%の消費税が適用されることになると思われます。その為、これからは次項で紹介する増税後の負担を軽減させる各優遇措置の適用を考慮した方が良いでしょう。

消費税引き上げ時の経過措置

増税後に取得するメリット

①住宅ローン控除の拡充

住宅ローン控除とは、住宅ローンを組んで一定の住宅を新築、購入、増改築した場合に、所得税(および住民税の一部)が軽減される制度。その控除期間が消費税率10%引き上げ後は10年から13年に延長されます。なお、この住宅ローン控除には適用条件があり、対象物件がこの制度を使用できるかどうか事前の確認が必要です。

住宅ローン控除

住宅ローン控除の主な適用条件

新築住宅の場合
  • ①住宅取得日から6ヶ月以内に入居し、そのまま居住し続けること
  • ②控除を受ける年の所得合計額が3,000万円以下
  • ③入居年とその前後2年以内に、譲渡所得の課税の特例(3,000万円特別控除、買い換え特例など)を受けていないこと
  • ④ローンの返済期間が10年以上
  • ⑤床面積(登記簿面積)50㎡以上
中古住宅の場合
  • ①~⑤新築住宅の条件のほか以下を満たすこと
  • ⑥築後20年以内(耐火建築物は25年以内)であること。または一定の耐震基準をクリアしていること
  • ⑦生計をひとつにする親族からの購入ではないこと
  • ⑧贈与された家ではないこと
リフォームの場合
  • ①~⑤新築住宅の条件のほか以下を満たすこと
  • ⑥自己所有の居住するための住宅のリフォーム
  • ⑦一定の省エネリフォーム、バリアフリーリフォーム、耐震リフォーム、または大規模な間取り変更や修繕など
  • ⑧工事費用が100万円以上
  • ⑨店舗併用住宅等の場合、居住部分のリフォーム費用が2分の1以上占めること

 →【参考】「住宅ローン控除」

②贈与税の非課税限度枠の拡大

親や祖父母から資金援助を受ける際には、住宅の床面積が240㎡以下などの要件を満たせば、「住宅取得等資金贈与の特例」の適用があり、消費税率10%が適用される場合は贈与税の非課税枠が最大3000万円になります。

住宅取得資金の贈与税の非課税限度額

契約日 消費税率10%が適用される方 消費税率8%、または非課税
質の高い住宅
(※1)
一般住宅
(左記以外)
質の高い住宅
(※1)
一般住宅
(左記以外)
2016年1月~2019年3月末 1200万円 700万円
2019年4月~2020年3月末 3000万円 2500万円 1200万円 700万円
2020年4月~2021年3月末 1500万円 1000万円 1000万円 500万円
2021年4月~12月末 1200万円 700万円 800万円 300万円

(※1)省エネ性能、耐震性能、バリアフリー性能において一定の基準を満たす住宅

これらに贈与税の基礎控除額(年間110万円)を加えた額が実際の非課税額です。夫婦でそれぞれの親から贈与が受けられる場合は、その倍の額が非課税になります。

 →【参考】「住宅取得等資金贈与の特例」

③「すまい給付金」の増額

 「すまい給付金制度」とは、消費税引上げによる負担を軽減するため、住宅ローン減税などの効果を十分に得られない中低所得層に対し、収入が少ない人ほど多くの現金を給付される制度です。消費税が10%になった際には給付基礎額が現状の最大30万円から最大50万円まで引き上げられます。

すまい給付金の最大給付額

<消費税率8%の場合>

収入額の目安※ 給付基礎額
425万円以下 30万円
425万円超475万円以下 20万円
475万円超510万円以下 10万円

<消費税率10%の場合>

収入額の目安※ 給付基礎額
450万円以下 50万円
450万円超525万円以下 40万円
525万円超600万円以下 30万円
600万円超675万円以下 20万円
675万円超775万円以下 10万円

実際の給付額は「都道府県民税の所得割額」によって決まり、給付対象となる住宅および住宅取得者には条件があります。なお、給付金の判定基準となる「都道府県民税の所得割額」は、勤務先からもらえる「住民税決定通知書」などにて確認できます。

 →【参考】すまい給付金とは?状況別の種類や申請方法を解説

購入のタイミングを決める判断基準

もし金額だけで判断するならば、「減税と補助金による軽減額分」と「増税による増額分」を比較して、軽減額分の方が多ければ消費税増税後の方がお得ということになります。なお、住宅ローン控除の効果やすまい給付金額は収入により最大の恩恵が受けられるとは限らない為、しっかりとした事前の購入シミュレーションが必要です。

また、親などから資金の援助が得られる場合は、増税後の方が贈与税の優遇対策によりさらにお得になります。住宅取得等資金贈与の特例は自分たちだけではなく、資金を提供する親などの相続税対策にもなるため、条件に合う場合はぜひ利用したい制度です。

しかし、既に消費税引き上げ前に買うという選択が取りにくい時期になってしまった今、これからは増税前か後かという選択ではなく、どれだけ減税や補助金を利用してお得に購入するかを考えることがポイントとなるでしょう。