住宅の生前贈与とは?上手に節税対策するためのポイントを解説!

近年、相続税の拡大によって生前贈与への関心を持つ方が増えています。ただ、生前贈与をすることによってどのような節税効果が望めるのか、なぜ生前贈与をするのか、また生前贈与をするにはどのような準備をしたらいいのかなど、わかりづらいところも多いもの。そこで今回は、住宅の生前贈与に関するポイントや注意点などをご紹介していきます。

生前贈与とは?

住宅の生前贈与についてご紹介する前に、まずは“生前贈与”とは一体どのようなものなのかを確認しましょう。
生前贈与とは、生前に自分の財産を譲渡することをいいます。相続は亡くなってからのものですが、生前贈与は「生きているうちに」というのがポイントです。生前贈与をする目的は、できる限り相続税を減らすことにあります。とはいえ、生前贈与をするのにも税金がかかります。これを贈与税といいます。
では、生前贈与のメリットやポイントなどを見てみましょう。

生前贈与のメリット

生前贈与のメリットは、以下の通りです。

税金を抑えることができる

生前贈与をするメリットは、相続税に比べて税金を抑えられるところです。つまり節税対策が期待できるということ。ただし、対策を間違えてしまうと、かえって税金が多くかかることもあるので注意が必要です。

贈与する相手を自分で決められる

生前贈与のもうひとつのメリットは、贈与する相手を自分で決められるところです。相続でも、相続する相手を決められますが、遺言の不備などでしっかり相続できない恐れもあります。財産を譲渡したい相手が決まっているのならば、生前贈与をすることをおすすめします。

住宅の生前贈与を行う際におさえておきたいポイント

住宅を贈与する際には、いくつかの特例があります。しっかりとおさえておきましょう。

贈与税の配偶者控除

贈与税の配偶者控除とは、夫婦間で住宅または住宅取得のための資金の贈与を行った場合に、贈与金額から2,000万円が控除される制度です。さらに贈与税には、1年につき110万円の基礎控除があるため、最大で2,110万円が控除できます。
これを超える金額に関しては、贈与税がかかります。

主な適用要件

  • 入籍後、婚姻期間が20年を過ぎたあとに贈与が行われたこと(内縁関係の期間は除外)
  • 贈与するものが居住用不動産または居住用不動産を取得するための金銭であること
  • 贈与を受けた翌年の3月15日まで住み、その後も居住する見込みがあること

注意点

  • 同一の配偶者間では、一生に一度しか適用されない(夫または妻が変わった場合、婚姻期間が20年を過ぎたなどの条件を満たせば利用可能)
  • 居住用以外の用途(賃貸など)での不動産贈与は認められない

住宅取得等資金の贈与税の非課税

住宅取得等資金の贈与税の非課税とは、20歳以上の人が、父母・祖父母などの直系尊属から住宅購入や増改築のために資金の贈与を受けた際に、一定額まで非課税になる制度です。この制度は、暦年課税の基礎控除(※1)、もしくは相続時精算課税制度の特別控除(※2)と併用することも可能です。
※1暦年課税の基礎控除:その年の1月1日〜12月31日までの1年間に贈与された財産の合計額から110万円が控除される制度。
※2相続時精算課税制度の特別控除:生前贈与をする際に2,500万円まで贈与税が非課税になる制度。ただし、その後に贈与した人が亡くなったときに相続税が課税される。

主な適用要件
  • 贈与者は直系尊属(父母・祖父母)で、受贈者は贈与を受けた年の1月1日において20歳以上の直系卑属(子・孫)
  • 受贈者の合計所得金額が2,000万円以下
  • 住宅用家屋の床面積が50㎡以上240㎡以下

注意点
  • 土地は適用されない
  • 贈与を受けた年の翌年3月15日までに住宅を取得し、居住をしないと適用されない
  • 住宅ローンの援助など、住宅取得後の資金の譲渡は適用外

住宅の生前贈与を行う手順

では実際に、生前贈与はどのようにすればいいのでしょうか?
この章では、生前贈与の手順をご説明します。

手順1 申請に必要な書類を揃える

そろえる書類は、以下の通りです。

  • 贈与者の登記識別情報通知(登記済権利証)
  • 贈与者の印鑑登録証明書(発行日から3ヶ月以内のもの)
  • 受贈者の住民票
  • 固定資産評価証明書
  • 贈与契約書など贈与が行われたことが証明できる書類
  • 贈与対象となる不動産の登記簿謄本(全部事項証明書)

手順2 申請書を作成する

生前贈与をするための申請書の書式は特に指定されておらず、必要事項さえ記載されていれば問題ありません。法務局のホームページに申請書の雛形もありますので、それを利用してもよいでしょう。

手順3 そのほかの付属書類を作成する

必要な付属書類は、以下の3点です。

  • 登録免許税分の収入印紙を貼り付けたA4の白紙(収入印紙貼付台紙)
  • ※この白紙は登記申請書の次ページにとじ込む必要があります。

  • 登記手続きを代理人などに委任するための委任状
  • 登記原因証明情報

手順4 必要書類をそろえたら法務局へ提出する

これまでご紹介した書類を法務局に提出します。提出後、1〜2週間で新しい権利証が発行されるので、これを受け取ったら、手続き完了です。

住宅の生前贈与を行う際の注意点

ここでは、生前贈与をする際の注意点を説明します。

生前贈与の手続きを早めにする

生前贈与してから3年以内に、贈与者に万が一の場合があった際には、譲渡された財産は相続されたものとみなされてしまいます。
この場合は相続税が課税されてしまうので、「まだまだ必要ない」と思っても、贈与は早めに行うことが大切です。

贈与契約書を必ず作成する

贈与契約書がないと、相続としてみなされて相続税が課税されるおそれがあります。証拠として、しっかり残しておきましょう。

贈与税の申告は忘れずに!

贈与税の支払いが発生した場合には、必ず申告をしましょう。
申告せずにいると、延滞税などを課税されるおそれがあります。悪気がなくても、「忘れていた」というのは通用しませんので、しっかりと申告をして納税しましょう。

まとめ

今回は、住宅の生前贈与について特例や注意点などを紹介しました。生前贈与は上手に利用することで、節税対策になります。しかし、しっかりと確認してから利用しないと、かえって相続税よりも課税されてしまうおそれがあるので注意しましょう。
もし自分だけで手続きなどを進めるのが不安という場合は、専門家に相談することをおすすめします。

参考:直系尊属から住宅取得資金の贈与を受けた場合の非課税|国税庁

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