住宅ローンガイド 固定金利、変動金利、優遇制度、フラット35

 住宅ローンは各金融機関にて様々な種類のサービスが用意されています。大きく分けると、金利の選択肢が多い民間ローンと、固定金利で最長35年間借りられるフラット35があります。銀行などが扱う民間ローンは、金利のタイプや引き下げ内容などが金融機関により様々。フラット35の方は住宅金融支援機構と民間の提携によるローンで、金利は窓口となる金融機関が毎月決めています。ただし、対象となる住宅には広さや質などの条件があり、必ずしも利用できるとは限りません。また、住宅ローンは生命保険会社や信用金庫も取り扱っており、自営業者でも借りやすいケースがあります。他にも、勤務先で財形貯蓄をしている人ならば、公的な財形住宅融資を利用することも可能です。

金利には3つのタイプがある

 住宅ローン金利は大きく分けて「固定型」「変動型」「固定期間選択型」の3タイプ。フラット35は固定型、銀行など民間ローンは変動型と固定期間選択型が基本。固定型は全期間の金利が決まってるため、途中で予想以上に金利が上がることはありません。一方、変動型や固定期間選択型は低金利のままなら有利ですが、借りてから金利が予想以上に上昇して返済負担が重くなるリスクがあります。

全期間固定金利型

返済期間を通して金利が固定。フラット35や一部民間金融機関が取り扱い。途中で金利が上がる2段階固定金利型もある。

変動金利型

定期的に金利が見直される。ほとんどの金融機関で年2回金利を見直し、返済額は5年に一度見直される。

固定金利期間選択型

返済期間を通して金利が固定。フラット35や一部民間金融機関が取り扱い。途中で金利が上がる2段階固定金利型もある。

住宅ローンの主な借入先とその特徴

借入先 借りる条件や特徴
民間融資

都市銀行
信託銀行など

多くの民間金融機関が住宅ローンを扱っており、購入物件の担保価値、個人の返済能力などに応じて融資額や返済条件が決定。金利は年2階見直される変動型と、一定期間の金利を固定する固定期間選択型の2タイプが主流。 固定期間選択型の固定期間は「3年固定」「10年固定」などに分類される。金融機関によっては特定の条件の下で金利優遇が実施されることがあるが、優遇期間終了後の金利上昇による返済額の増加に注意が必要。

●銀行ローンの概要

銀行ローンの種類 都市銀行、信託銀行、地方銀行など
利用できる範囲 新築や中古住宅、土地を購入したり、住宅を建設、リフォームするときなど
利用できる住宅の条件 特に制限なし(金融機関によって異なる)
融資額
(基本融資額)
上限3,000万円~1億円程度。
年間返済額の割合は以下のとおり(金融機関によって異なる)
・年収300万円未満/20%以内
・年収300万円以上400万円未満/30%以内
・年収400万円以上/35%以内
金利 変動金利・・・金融機関によって異なる
固定期間選択型・・・固定期間、金融機関によって異なる
返済期間 最長35年(金融機関によって異なる)
フラット35 民間金融機関と住宅金融支援機構の提携により、住宅ローン債権を証券化する仕組みを利用したローン商品。返済期間は15年以上35年以内で、金利は固定型(一部の金融機関で2段階金利もあり)。 融資額は8000万円で住宅価格の10割以内だが、9割を超えると融資額全体の金利が高くなる。対象となる住宅には一定の基準が設けられている。
その他 銀行以外にも、生命保険会社や信用金庫、労働金庫など数多くの民間金融機関が住宅ローンを取り扱っている。営業エリアが限られるなどあるが、自営業でも借りやすいなど、独自に有利な金利のローンを扱っている所もある。 保証料を無料にする金融機関もあるので、総支払額で検討するのが良い。ネットを利用した繰上げ返済手数料が無料のケースもある。
公的融資 財形 勤務先で財形貯蓄を1年以上続けている給与所得者を対象とした公的融資。財形貯蓄残高の10倍、最高4000万円まで融資を受けられる。金利は5年ごと見直される「5年固定型」。 対象となる住宅には面積や築年数など一定の条件がある。勤務先に申し込む「転貸融資」と、住宅金融支援機構を通じて申し込む「直接融資」に分けられる。勤務先に融資制度があれば「転貸融資」利用が原則。

安心の長期固定金利「フラット35」

 フラット35とは、住宅金融支援機構と民間金融機関の提携による長期固定金利の住宅ローンのこと。都市銀行や主要な地方銀行のほかノンバンクなども取り扱う。返済期間は15年以上35年以内で、1年単位で設定できる。20年以内だと金利が0.2%程度低くなる。融資の対象は新築住宅と中古住宅、ローンの借り換えです。

年収に占める返済額の割合が一定の基準以下であること

 利用するには、フラット35以外の借入金を含めたすべての年間返済額の年収に占める割合が、一定の基準を満たす必要あり。

 申し込み本人だけの年収では基準を満たせない場合は、配偶者など同居家族1人の年収を合算することも可能。合算できるのは収入合算(配偶者など)の年収の全額まで。ただし、合算する額が収入合算者の年収の50%を超える場合は、返済期間が短くなる場合あり。

住宅の広さや品質に一定の基準

 融資対象となる住宅は、1億円以下の一戸建てとマンションです。床面積は一戸建てが70㎡以上、マンションが30㎡以上。また、住宅の耐久性などについては技術基準が設けられている。

 なお、建築確認日が原則として1981年5月31日以前の中古住宅の場合は、住宅金融支援機構の定める耐震評価基準に適合している必要あり。

金利は全期間固定型

 金利は全期間固定型ですが、一部の金融機関では11年目から金利が上がる2段階固定型となります。金利水準は金融機関により異なり、新規貸出金利は毎月見直されます。

 フラット35では融資を実行するときの金利が適用されます。未完成新築マンションの申し込みから融資実行までの期間が長い場合は金利の変化に注意が必要です。

保証料や繰り上げ返済手数料が無料

 フラット35の申し込みは扱っている金融機関で年間を通して申し込める。他の民間融資や財形融資と併せて借りることも可能。また借りるときの保証料が不要で、繰り上げ返済手数料も一定金額以上で無料になる点がメリット。

 申し込みの際、住宅が基準を満たしているか適合証明機関に検査が必要で、手数料が新築一戸建てで2~3万円ほどかかる。

 また、借主が死亡した場合ローンの返済が免除になる団体信用生命保険(団信)に加入するのが一般的。都銀の住宅ローンなどでは保険料は無料だが、フラット35では保険料が必要です。

どれを選ぶ?

 今のように金利が最低水準にあるときは、10年固定や全期間固定など固定期間が長いものも利用しやすくおすすめです。とくに10年固定は金融機関の競争が激しく、利用者獲得のため金利が史上最低水準になり魅力があります。また、一定基準を満たす住宅の場合は、「フラット35」の金利優遇幅が拡大された「フラット35S」も有利です(次ページで紹介)。

 変動金利を利用すれば、さらに返済額を抑えることができます。しかし、変動金利は金利上昇のリスクがあり、金利が上昇すると総返済額も増えます。金利が上昇し始めたら固定に切り替えるという選択肢もありますが、金利は変動よりも固定のほうが先に上昇することが多いため、切り替えようと思ったときには、固定金利も大きく上昇していたともなりかねません。

 ローンを有利に返済するためには、金利や返済期間をミックスして借りるのも有効です。その際、一方を「短く少なく」借り、繰上げ返済などで、それを早めに完済させることがポイントです。そうすれば、お子様の高校・大学進学などで支出が増える時期までに一方のローンを完済でき、家計が楽になります。

夫婦ならばペアローンもあり

共働きの夫婦ならば、それぞれでローンを組む「ペアローン」や、どちらか一方をメインとして借りる「収入合算」という方法もあります。収入合算はさらに、連帯債務と連帯保証に分けられます。

  ペアローン 収入合算
連帯債務 連帯保証
利用可能範囲

夫婦で別々のローンを借りる。
それぞれ自分で借りた分だけ返済義務を負い、返済も別々

2種類の住宅ローンが可能

2人の収入を足して借入額を増やせる。主債務者は夫で妻は連帯債務者となるが、共に平等に返済義務を負う 2人の収入を足して借入額を増やせるが、借りるのは夫のみで妻は連帯保証人となる。妻は夫(主債務者)が返済不能時に返済義務を負う
住宅ローン控除  夫と妻の2人分利用可能  夫と妻の2人分利用可能  夫1人分のみ利用可能
対応できるローンの種類  民間ローン、「民間ローン+フラット35(原則同じ金融機関)」  フラット35、民間ローンの一部  多くの民間ローン
事務手数料  夫と妻の2人分  夫の1人分のみ  夫の1人分のみ
団体信用生命  死亡した人の返済分だけ免除  連帯債務者の死亡時は返済免除ならず(※1)  連帯保証人の死亡時は返済免除ならず
所有権  夫と妻それぞれの共有名義  夫と妻それぞれの共有名義  夫のみの名義(自己資金分は別途)

※上図は夫が主となり借りるケースを想定

※1 連帯債務者死亡時も返済免除になる連生型の団体信用生命保険もある 

【参考記事】

「二人なら借入額アップ!夫婦で借りる住宅ローン「ペアローン」のメリット・デメリット」
https://www.juken-net.com/main/feature/pairloan/

お探しのエリアや購入価格から都内の物件を探せます

種別

エリア

物件価格