不動産売却後の確定申告は自分でできる?必要書類や書き方の手順をわかりやすく解説

不動産売却後の確定申告は自分でできるか不安な方へ、譲渡所得(利益)が出た際の手続きや必要書類、確定申告の5ステップ、スマホ・PCで完結させる方法を解説します。相続した不動産の申告や、節税につながる3,000万円特例の使い方も紹介。期限を過ぎた際のペナルティを避け、正しい申告を自分で行うためのガイドです。

不動産売却後の確定申告は自分でできる!

不動産売却後に譲渡所得(利益)が発生した際は、自分自身で確定申告の手続きを進められます。近年はe-Tax(電子申告)が普及しており、スマホやPCを使って自宅から完結できる環境が整いつつあります。

税理士への依頼費用を節約できる可能性があり、その点は大きなメリットと言えます。

【5ステップ】不動産売却後に自分で確定申告する方法


不動産売却後に確定申告が必要なケース・不要なケース

不動産を売却した後は、必ずしも全員が確定申告を行うわけではありません。売却によって利益が出たのか、あるいは損失となったのかによって、手続きの要否が分かれます。

確定申告が必要なケース

・不動産を売却して譲渡所得が発生した場合

・特例を利用する場合

不動産を売却して譲渡所得が発生した場合は、原則として確定申告が必要です。譲渡所得は「不動産売却価格-(取得費+譲渡費用)」の計算式を基本として算出されます。

また、計算上の利益が出ていなくても、税負担を軽減する特例を利用するなら確定申告が必須です。申告を怠ると、後日、税務署から確認の連絡や書類の提出を求められることがあり、状況に応じて加算税や延滞税の対象となる可能性があります。

確定申告が不要なケース

・不動産を売却しても譲渡所得が発生しない場合

不動産を売却しても譲渡所得が発生せず、売却損(赤字)となった場合は、基本的に確定申告を行う必要はありません。利益が出ていない状況であれば申告義務は生じませんが、特例を利用するには確定申告が必要なため、売買契約書や諸経費の領収書などの資料は大切に保管してください。

自身の状況を事前によく確認しておくことが大切です。

◎売却損でも申告した方が良いケースもある!

不動産売却で赤字になったとしても、一定条件を満たせば、確定申告をすることで税制上のメリットを受けられます。たとえば「損益通算」は、マイホームの買い換えで発生した譲渡損失を、給与所得など他の所得と相殺できる制度です。さらに、その年に控除しきれない損失は、翌年以後3年間にわたり繰り越せるケースもあります。住宅ローン残高を下回る価格で売却した際も特例の対象になり得ますが、適用には所定の要件を満たした期限内の申告が必要です。

出典:国税庁「No.3370 マイホームを買い換えた場合に譲渡損失が生じたとき
No.3390 住宅ローンが残っているマイホームを売却して譲渡損失が生じたとき


【5ステップ】不動産売却後に自分で確定申告する方法

不動産売却後の確定申告は、正しい手順を踏めば自分で行うことが可能です。ここでは、必要書類の準備から実際の提出まで、具体的な5つのステップに分けて解説します。

ステップ1:必要書類を準備する

確定申告をスムーズに進めるために、まずは以下の書類や資料を手元に準備しましょう。

必要書類 役割 入手先
確定申告書(第一表・第二表・第三表)

申告書のメイン書類

不動産は「第三表(分離課税用)」が必須

税務署や申告会場、または国税庁のホームページ
譲渡所得の内訳書 売却価格や取得費の内訳を詳しく記載する書類 税務署や申告会場、または国税庁のホームページ
不動産を購入・売却した時の売買契約書のコピー 「いくらで買ったか」「いくらで売ったか」の証明になる書類 手元(購入時・売却時のもの両方)
不動産の取得費用がわかる書類 取得にかかった経費を証明する書類 手元(不動産会社や郵便局など)
不動産の譲渡費用が分かる書類 売却にかかった経費を証明する書類 手元(不動産会社や郵便局など)
本人確認書類 申告者本人を確認する書類

手元(未取得の場合は市区町村窓口などで手続き)

例:マイナンバーカード

登記事項証明書 不動産の面積や所有期間を確認するために使用 法務局(窓口・郵送・オンライン)

※法令改正等により、現在では登記事項証明書の添付が不要となるケースなど、必要な書類が変わる場合があります。詳細は必ず国税庁ホームページ等で最新の情報を確認してください。

Q.領収書を失くした場合はどうすればいいですか?

ステップ2:自分が利用できる特例を確認する

不動産売却における確定申告では、税負担を軽減できる特例が存在します。各制度には詳細な適用要件があるため、必ず国税庁のサイトで最新情報を確認してください。

特例制度 内容
マイホームを売却したときの特別控除 マイホームを売って利益が出たとき、所有期間を問わず譲渡所得から最大3,000万円控除できる
10年超所有時の軽減税率 10年を超えて住んだマイホームを売却し、譲渡所得が6,000万円以下の部分について、通常より低い税率で計算できる
特定のマイホームを買い換えたときの特例 特定の期間内にマイホームを買い換えたとき、譲渡所得にかかる課税を将来に先延ばしできる
マイホームの買い換えにおける譲渡損失の損益通算や繰越控除の特例 マイホームの買い換えで譲渡損失が発生したとき、他の所得と相殺(損益通算)し、引ききれない分を翌年以降に繰り越せる
マイホームにおける譲渡損失の損失通算及び繰越控除の特例 マイホームを売却して住宅ローン残高が売却価格を上回るとき、譲渡損失を他の所得と相殺・繰越控除できる
相続空き家の特例 相続した空き家を売却した利益から最大3,000万円控除できる

Q.確定申告で利用できる特例と住宅ローン控除を併用する場合の注意点はありますか?

ステップ3:譲渡所得税を計算する

譲渡所得税の納税額は、以下の手順で算出できます。

① 譲渡所得を求める

  • 譲渡所得=譲渡価格(収入金額)−(不動産の取得費 + 譲渡費用)

 

② 譲渡所得から利用できる特例の控除額を引き、税率をかける

  • 納税額=(譲渡所得−控除額)× 税率

参考:令和7年分確定申告特集「不動産を売却した方へ」(国税庁)

不動産の取得費には購入代金のほか、仲介手数料や登録免許税、不動産取得税、設備費、改良費などが含まれますが、建物の場合は減価償却費相当額を差し引く必要があります。取得費が不明な場合は売却額の5%を概算取得費として計上できる場合があります。

譲渡費用には仲介手数料や印紙税、取り壊し費用が含まれます。最新の計算ルールについては、国税庁の公式サイトを参照しましょう。

また、税率は売却した年の1月1日時点での所有期間によって以下のように異なります。

項目 所得税 住民税 復興特別所得税 合計
長期譲渡所得
(5年超)
15% 5% 0.315% 20.315%
短期譲渡所得
(5年以下)
30% 9% 0.63% 39.63%

参考:国税庁「長期譲渡所得の税額の計算」/「短期譲渡所得の税額の計算

ステップ4:確定申告書類に記入する

必要書類を揃えて税額の計算を終えたら、確定申告書に記入します。領収書や契約書の金額を転記する際はミスがないように慎重に進めてください。

なお、国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を利用すれば、画面の案内に沿って数値を入力するだけで税額が自動計算される仕組みです。そのまま提出用書類を作成できるため、手続きの負担軽減につながります。

参考:国税庁「確定申告書作成コーナー

ステップ5:期限内に確定申告書を提出する

確定申告書の提出方法

  • 税務署の窓口へ提出する
  • 税務署へ郵送する
  • e-Taxで電子申告する

作成した確定申告書は、原則として不動産を売却した翌年の2月16日から3月15日までの期間内に提出します。提出方法は上記の3種類です。

初めての申告で不備が不安な方は税務署窓口への提出がおすすめですが、手続きを自宅で完結させたい場合はe-Taxの利用が適しています。

◎確定申告書の提出方法

e-Taxを利用する場合、まずはマイナンバーカードと、カードの読み取りに対応したスマートフォンまたはICカードリーダライタを用意します。自身の端末が推奨環境を満たしているか、インターネット接続が安定しているかも事前に確認しましょう。

対応機種のスマートフォンを使えば、マイナンバーカード方式でe-Tax送信が可能です。利用環境や手順は更新されることがあるため、最新の案内を確認してください。

ID・パスワード方式は暫定的な対応です。利用の可否や新規発行の取扱いは変更されることがあるため、最新のe-Tax案内を確認してください。


申告期限が過ぎてしまったときに課されるペナルティ

ペナルティ 内容
無申告加算税 期限内に確定申告をしなかったり、期限後に申告したりしたときにかかる税金
延滞税 納付期限を過ぎた日数にかかる税金
重加算税 税務署から指摘があるまで申告がなく、意図的に隠ぺいしたとみなされた場合にかかる税金

確定申告の期限は、例年原則3月15日です。期限を1日でも過ぎると、本来の税額に加えてペナルティが発生する場合があります。加算税や延滞税の対象となる可能性があるため、申告期限を過ぎないように注意しましょう。

無申告加算税

無申告加算税は、期限内に確定申告を終えなかった場合に発生する税金です。税率は申告のタイミングや納税額によって変動しますが、税務署から調査の事前通知を受ける前に自主的に申告すれば、一律5%まで軽減される場合があります(※)。

万が一申告を忘れてしまった場合は、無申告に気づいた時点で、できるだけ早急に手続きを行うことが重要です。

  納税額が50万円まで 納税額が50万円超え300万円まで 納税額が300万円超え
税務署からの調査の事前通知前に自主申告した場合

納税額×5%

税務署からの調査の事前通知後に申告した場合

納税額×10%

納税額×15%

納税額×25%

税務署の調査を受けた後に申告した場合

納税額×15%

納税額×20%

納税額×30%

※参考:国税庁「No.2024 確定申告を忘れたとき

無申告加算税の税率は法改正によって見直される場合があるため、最新の情報は国税庁ホームページで確認してください。

延滞税

延滞税は、税金の納付が遅れた日数分だけ課されるペナルティです。適用される税率は年ごとに変動するため、実際の税率については必ず国税庁のホームページで最新情報を確認しましょう。

納付期限翌日から2ヶ月以内 年7.3%と特例基準割合+1%のいずれか低い割合
納付期限翌日から2ヶ月以降 年14.6%と特例基準割合+7.3%のいずれか低い割合

※令和8年は年2.8%/年9.1%です。

参考:国税庁「No.9205 延滞税について

重加算税

重加算税は、事実の隠ぺいや仮装など、悪質な意図があると判断された場合に課されるもっとも重いペナルティです。税務調査の際に「過少申告」「無申告」「不納付」があり、かつ仮装や隠ぺいがあると、原則として35〜40%の税率が課されます。

また、過去にも無申告などの指摘を受けた経歴がある場合は、さらに税率が加重されるケースもあります。余計な納税を避けるためにも、期限内の正確な申告を心がけましょう。

参考:財務省「加算税制度の概要①(基本情報)


不動産売却後の確定申告を自分で行うときによくある質問

不動産売却後の確定申告を自分で行う際、多くの方が疑問に感じるポイントをQ&A形式でまとめました。スムーズな手続きのために、事前の不安を解消しておきましょう。

Q. 相続した不動産を売却した場合も、確定申告は自分でできますか?

A. 相続した不動産の売却も、自分で確定申告を行えます。ただし、亡くなった方が購入した当時の売買契約書など、取得費を証明する書類が求められます。

また、「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」など、相続特有の制度を利用する際は要件が複雑な場合が多いため、国税庁の公式サイトを漏れなく確認してください。

Q. 不動産売却で売却損(赤字)になっても確定申告は必要ですか?

A. 売却損が出た場合、原則として確定申告の義務はありません。

しかし、マイホームの買い換えなどで発生した損失を他の所得と相殺する「損益通算」や、翌年以降の所得から差し引く「繰越控除」の特例を受けたい場合は、申告が必要です。

Q. 領収書を失くした場合はどうすればいいですか?

A. 取得費や譲渡費用の領収書を紛失した場合は、売買契約書や振込記録など、金額を確認できる資料がないか整理しましょう。資料での立証が難しいときは、概算取得費の適用を検討することがあります。

ただし、実際の経費より低くなり、税金が高くなるリスクがあるため、領収書は大切に保管をしておきましょう。

Q. 確定申告で利用できる特例と住宅ローン控除を併用する場合の注意点はありますか?

A. 居住用財産の「3,000万円特別控除」などの特例を受けると、買い換えた新居で住宅ローン控除が受けられなくなる期間(入居年と前2年、後3年の計6年間)が生じます。

特例による節税額と、住宅ローン控除による減税額のどちらが有利か、長期的なシミュレーションを行ったうえで選択することが大切です。

3,000万円控除と住宅ローン控除は併用できる?上手に使ってお得に住み替え!

Q. 不動産売却の確定申告はふるさと納税の申告と一緒にできますか?

A. 居住用財産の「3,000万円特別控除」などの特例を受けると、買い換えた新居で住宅ローン控除が受けられなくなる期間(入居年と前2年、後3年の計6年間)が生じます。

ふるさと納税の控除限度額は、給与所得や各種控除に加え、申告する所得の内容によって変わります。不動産売却がある年は計算が複雑になりやすいため、シミュレーターだけで判断せず、申告内容に合わせて確認しましょう。


不動産売却後の確定申告は入念な準備のもとで進めましょう

不動産売却後の確定申告は、手順と必要書類を正しく把握すれば自分で行えます。譲渡所得の有無や特例の確認を丁寧に行い、期限内に不備なく提出しましょう。とくに節税につながる控除の適用は、納税額を大きく左右します。もし手続きや計算に不安を感じる場合は、早めに税務署の相談窓口を利用することも検討してください。

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投稿者プロフィール

石川充監修者
宅地建物取引士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士

1996年より大手不動産デベロッパー勤務。首都圏の新築マンション販売のプロジェクトマネージャーに従事。多くの物件の担当し、引き渡しまで一気通貫で経験。
その後ベンチャー系広告代理店にて不動産系クライアントのインターネット集客の支援を行う。
現在は広告代理業と併せ、老舗不動産会社として地域ニーズに合わせた事業を展開。20年以上にわたり住建ハウジングと共同でマーケティング活動を行う。


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