土地の購入費用 はいくら必要?費用項目や金額、予算内で購入するコツを紹介

土地購入時には土地そのものの費用だけでなく、不動産会社への仲介手数料や手付金などの諸費用や不動産取得税をはじめとする税金がかかります。本記事では、土地購入時に諸費用や税金の詳細を解説するとともに、土地の購入後に支払う費用や予算オーバー時の5つの対策を紹介します。

土地購入時に支払う費用とその内容

土地購入時には、土地そのものの代金以外に次のような諸費用がかかります。

仲介手数料

手付金

印紙税

登録免許税

登記費用

表示登記費用

測量費

住宅ローンの手数料や保証料

抵当権設定費用

仲介手数料

仲介手数料とは、土地売買を仲介する不動産会社に対して支払う費用です。仲介手数料の金額や上限は宅地建物取引業法によって定められています。

算定式は次の通りです。

  • 土地の価格のうち200万円未満の部分:土地の価格×5%+消費税
  • 土地の価格のうち200万円を超えて400万円未満の部分:土地の価格×4%+消費税
  • 土地の価格のうち400万円を超える部分:土地の価格×3%+消費税

土地の価格が400万円以上する場合は計算式を簡単にして、「土地の価格×3%+6万円+消費税」としても求められます。

また、この算式で求められるのは仲介手数料の上限であるため、この範囲内の金額において不動産会社は任意で仲介手数料を定めることが可能です。そのため、交渉によって安くなるケースもあります。

手付金

手付金は契約金とも呼ばれ、契約時に売主に対して代金の一部を支払う費用です。手付金の支払いをもって、売主に対する購入意思の表示となります。手付金は将来的に売買代金として充当されます。

一般的な手付金は、土地売買代金の10%以下とするのが慣例です。また、民法では、売主が土地の提供をするまでは「手付金を放棄して売買契約を解除できる」という解約手付を定めています。

※参考:民法(明治二十九年法律第八十九号)第557条1項

印紙税

印紙税は売買契約を交わす際に必要となる税金です。売買契約書に印紙を貼り、消印することによって納税されます。

土地契約にかかる印紙税は、契約金額によって異なります。

土地の契約金額 印紙税 軽減後の印紙税
100万円を超え500万円以下 2千円 1千円
500万円を超え1000万円以下 1万円 5千円
1000万円を超え5000万円以下 2万円 1万円
5000万円を超え1億円以下 6万円 3万円

また、平成26年4月1日から令和6年3月31日までの間に作成される不動産売買契約書は軽減措置の対象となり、20~50%の軽減税率が適用されることに留意しておきましょう。

※参考:国税庁|No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置

登録免許税

登録免許税とは、不動産の所有者を登記するために必要な税金です。土地や建物を建築、購入する際に必要となる費用であり、固定資産税評価額に一定の税率をかけることで算出されます。

土地の所有権移転を登記する場合、税率は2%です。ただし、令和8年3月31までの間における所有権移転登記では軽減措置が適用されるため、1.5%の税率で算出されます。

※参考:税務署|土地の売買や住宅用家屋の所有権の保存登記等に係る登録免許税の税率の軽減措置に関するお知らせ

登記費用

不動産登記の際に発生する税金や書類の取得費、印紙代などです。 司法書士に登記を依頼する場合は、その報酬として支払う金額も含みます。

表示登記費用

表示登記とは法務局の「不動産登記簿」へ土地や建物の所有者や権利者を記載することで、土地家屋調査士や司法書士に依頼して代行してもらう時の費用です。一般的な一戸建ての場合は8万円から10万円程度が相場です。

測量費

測量費とは、土地の境界を明確にする目的で土地の面積を測る作業に対して生じる費用のことです。

測量費用は、土地の面積や形、隣接する土地の状況などによって変動します。一般的には、一戸建て向けの土地であれば30万~60万円とされています。

基本的には土地の売り主が負担するケースが多いですが、取り決めはありません。測量が必要な可能性がある場合は、不動産会社に相談することをおすすめします。

住宅ローンの手数料や保証料

住宅ローンの手数料とは、金融機関が買主の住宅購入にあたり融資(ローン契約に基づく金銭貸借)を行う際に生じる手数料のことです。住宅ローンの金額によっても異なりますが、一般的には2万~30万円とされています。

保証料とは、万が一返済ができなくなったときに、保証会社に残債を返済してもらう際の費用です。保証料の金額は借入金額の1%~2%であり、一括して支払う場合とローン返済時の金利に上乗せして支払う場合があります。

保証料を支払ったからといって、ローンの残債が免除されるわけではない点には注意しましょう。

抵当権設定費用

抵当権設定費用とは、ローン契約時に目的とする不動産に対し、金融機関が抵当権を設定するためにかかる登録免許税のことです。抵当権とは、債務者が返済できなくなった場合に金融機関が不動産を競売にかけ、競売代金から優先的に弁済を受けられる権利です。

抵当権の設定費用は融資を受ける金額によって異なり、「借入金額×0.4%」で算出されます。

その他、一戸建てを購入する際には土地以外にも諸費用がかかります。詳しくはこちらの記事を参考にしてください。

一戸建ての諸費用はこちら

土地購入にかかる税金は主に3つ

続いて、土地購入時にかかる3つの主な税金について解説します。

・不動産取得税
・固定資産税
・都市計画税

① 不動産取得税

不動産取得税とは、土地を取得した人に都道府県から課せられる税金のことです。売買だけでなく、贈与で不動産を取得したときにも課税されることに注意が必要です。

算出式は「取得した土地の固定資産税評価額(課税標準)×3%」として求められますが、宅地の場合、評価額は2分の1として計算されます(令和6年3月31日までの特例)。

不動産取得税は、土地の取得後、6ヶ月~1年半までの間に各都道府県から届く納税通知書を用いて納付します。

② 固定資産税

固定資産税とは、毎年1月1日の時点における土地の所有者に対して、市区町村から課される税金のことです。支払時期は自治体によって異なりますが、一般的には6月から翌4月まで年4回のタイミングで支払います。

年度途中に購入した場合は、1月1日時点での所有者が全額を負担するため、原則として購入者に対しては翌年から課税されます。ただし、日割りで金額を上乗せする慣例があるため、実質的には契約日から固定資産税を払うケースが多くみられます。売買契約に確認しておくとよいでしょう。

固定資産税の算出式は「取得した土地の固定資産税評価額(課税標準)×1.4%(標準税率)」で求められます。固定資産税の税率は、各市町村が独自に決定できる点に留意が必要です。

評価額は、時価のおよそ70%となっています。また、固定資産税評価は3年に一度見直されるので、随時確認しておくと安心です。

③ 都市計画税

都市計画税とは、都市計画事業や土地区画事業の費用に充てることを目的とする市町村税で、市街化区域内に土地や建物を有している場合に課税されます。固定資産税と同様に1月1日の所有者に対して課され、6月から翌2月の間に固定資産税とあわせて納税します。

固定資産税の算出式は「取得した土地の固定資産税評価額(課税標準)×0.3%(標準税率)」で求められ、自治体が税率を自由に取り決められますが上限は0.3%です。

一戸建てを購入する際には、建物に対する税金も含めてさまざま税金がかかります。詳しくはこちらの記事もご参考にしてください。

一戸建ての税金はこちら

土地購入後に支払う費用とその内容

土地の売買にあたっては、購入後に支払う費用もあります。ここからは、土地購入後に支払う3つの費用とその内容について解説します。

・解体費用
・地盤調査費用・地盤改良費用
・インフラ整備費用

解体費用

解体費用とは、建物付きの土地を購入した場合に、土地上にある建物を取り壊すための費用です。既存建物にそのまま住む場合は解体費用がかかりませんが、その建物が不要なときや建て替えをする際に解体費用が発生します。坪当たりの相場は次の通りです。

  • 木造:3万~4万円
  • 鉄骨造:4万~5万円
  • 鉄筋コンクリート造:5万円~

解体費用は建物の構造や広さ、立地によっても異なります。実施する業者によっても差が生じるため、複数社に相談して相見積もりをとったうえで決めましょう。

地盤調査費用・地盤改良費用

地盤調査費用とは、土地(地盤)の強さを調べる費用のことです。地盤が弱いと発覚した場合には、地盤改良工事を行います。この地盤改良工事にかかる費用を地盤改良費用と呼びます。地盤調査、地盤改良ともに、安全な家を建てるために必要な工程です。

地盤調査にかかる費用は、調査方法や広さによって異なります。一戸建ての建築を目的に行われる地盤調査では、5万円程度が相場です。

インフラ整備費用

インフラ整備費用とは、水道やガスなどのインフラ整備にかかる費用のことです。土地の購入時に建物がある場合には、水道やガスの配管の引き込みがされているケースが大半のため、新たな工事を必要としません。

しかし、新築物件を建てる場合などで新たに水道やガスを引き込む場合には、工事費用とともに水道過入金、受益者負担金などの諸費用が発生します。金額は状況によりさまざまですが、一般的には5万~20万円が相場です。

予算オーバーしたときに試したい5つの対策

土地を購入するとき、思わぬ諸費用がかかって予算オーバーになるケースは少なくありません。予算がオーバーしたときは諦めるのではなく、以下5つの対策を検討してみてください。

1)利便性を重視しない
2)土地の大きさや形にこだわりすぎない
3)住宅付きの土地を検討する
4)住宅にかける費用を節約する
5)他の土地を探す

1)利便性を重視しない

予算を抑えるためには、利便性を重視しないことがポイントです。基本的に土地の価格は利便性が良いと高く、悪いと安くなる傾向にあります。

国土交通省の「不動産取引価格情報」で、東京都内における戸建て住宅の売却価格について調査しても、同じ広さであるにもかかわらず駅から1分~5分圏内での単価を100%とした際に、6分~10分では96.3%、11分~15分では86.7%の下落となるデータがあります。

ただし、不動産価格は現在だけでなく将来性も含んで考えることが無難です。将来的に開発が進んで、利便性が向上する可能性があるかどうかも含めて考慮するようにしましょう。また、生活に必要な最低限の利便性は確保しておくことをおすすめします。

※参考:国土交通省|不動産取引価格情報検索

2)土地の大きさや形にこだわりすぎない

土地の大きさや形にこだわりすぎないことも予算を抑えるポイントです。間口や奥行きなど建築に必要な最低限の条件を満たせれば、細かい土地の形や大きさはこだわらないことも大切です。また、将来的な売却メリットがあるかも考慮しておきましょう。

さらに、土地の形にこだわりすぎると、建物の配置やデザインに制限が生じる場合があります。柔軟な建築計画が立てられる土地を選ぶようにしてください。

3)住宅付きの土地を検討する

予算オーバーの場合には、住宅付きの土地を検討してみるのも良いでしょう。土地を購入してから建物を建てる注文住宅よりも住宅付きの建売の方が、価格は安い傾向にあります。

注文住宅のメリットは内装や外装、設備、間取りにこだわれる点です。ただし、建築までに設計と工事を経る必要があるため済むまでに時間がかかってしまいます。

一方で、建売はすでに建物があるため、ローン審査が通ればすぐに住める点がメリットといえます。構造自体は変更できないため大きな間取り変更や内装・外装変更が難しい点に留意しておきましょう。

4)住宅にかける費用を節約する

土地に費用をかけた分、住宅にかかる費用を節約するのも予算オーバー時の対処法です。

例えば、低コストで施工してくれる業者を選び、材料や設備をできるだけシンプルなものにすると、住宅にかける費用を抑えられるでしょう。

ただし、住宅部分を狭くしたり費用を抑えすぎたりすると生活時のストレスにつながる可能性があるため、バランスを考えて検討してください。

5)他の土地を探す

予算オーバーが気になる場合は、一つの土地にこだわることなく他の土地を探してみるのもおすすめです。立地や広さ、形によっても土地の価格は異なります。

また、不動産会社によって持っている情報は異なります。他の土地を探す際には、これまでに相談していた不動産会社だけでなく、違う不動産会社に相談してみることも良いでしょう。

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土地の購入時は諸費用を含めた予算立てをしましょう

土地の購入にあたっては、土地そのものの価格に加えて仲介手数料や手付金などの諸費用や不動産取得税などの税金が発生します。また、既存の建物を壊して新たに建物を建てる場合は、解体費用をはじめとするその他の費用もかかります。このように、派生費用が大きくなるため、予算は余裕をもって立てることが大切です。

ただし、いくら予算を立てていてもオーバーしてしまうこともあるでしょう。本記事で紹介した予算オーバー時の対策を参考に費用を節約することも重要です。「TOKYO@14区」を運営する住建ハウジングでは、東京都内の一戸建ての物件情報もご紹介しています。購入時に参考にできる情報も掲載しているのでぜひご活用ください。

投稿者プロフィール

石川充
宅地建物取引士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士

1996年より大手不動産デベロッパー勤務。首都圏の新築マンション販売のプロジェクトマネージャーに従事。多くの物件の担当し、引き渡しまで一気通貫で経験。
その後ベンチャー系広告代理店にて不動産系クライアントのインターネット集客の支援を行う。
現在は広告代理業と併せ、老舗不動産会社として地域ニーズに合わせた事業を展開。
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ABOUTこの記事をかいた人

宅地建物取引士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士 1996年より大手不動産デベロッパー勤務。首都圏の新築マンション販売のプロジェクトマネージャーに従事。多くの物件の担当し、引き渡しまで一気通貫で経験。 その後ベンチャー系広告代理店にて不動産系クライアントのインターネット集客の支援を行う。 現在は広告代理業と併せ、老舗不動産会社として地域ニーズに合わせた事業を展開。