三階建て住宅の間取り注意点とは?おすすめ間取りも紹介します

日本の住まいは、長く平面的な思考によって営まれてきました。三階建て住宅の出現はかなり最近になってからのことです。二世帯住宅や土地の有効活用で選択されることの多い三階建て住宅。住んでみるのは楽しそう!というイメージがありますが、実際建てるとなるとどうなのでしょうか?ここでは、三階建てのメリットやデメリット、また、建てる時の注意点について解説していきます。

三階建てのメリットとデメリット

三階建て住宅にはすぐれたメリットがある一方で、デメリットもあります。実際に三階建てにお住まいになっている方のご意見を伺いながら、長所と短所をみてみましょう。

メリット

敷地を最大限に活かすには、住まいを立体空間として認識することが重要です。三階建てはこれに適しており、狭い土地でも満足のいく住宅を提供することが可能です。制限のある敷地面積に、ゆとりある床面積が実現できます。さらに平面空間の間取りに比べ、立体空間では各フロアの独立性がより高められます。
三階建ては平屋や二階建てに比べて眺望や日当り、風通しも一般にすぐれています。周りに遮るものも少なく、TVやFMアンテナも感度良く受信できます。

デメリット

三階建て住宅を考えたとき、まず問題となるのは階段ではないでしょうか。若いうちはともかく、高齢になってから荷物を持って階段を上るのは大変です。この解決策としてホームエレベーターの設置が考えられます。階段の上り下りが十分にできる間は、エレベーターの必要性があまり感じられないかもしれません。しかしいずれエレベーターが必要になったらどこに設置するか、位置や構造を建設当初から検討しておくことは大切です。
三階建てでは建物や地盤の強度が二階建て以上に求められます。狭小な土地で止むを得ず三階建てとする場合は、土地と建物のコスト評価を十分考えておく必要があります。

おすすめの三階建て間取り例

ホームエレベーターがある三階建ての間取り例です。
エレベーターを設置しておけば、高齢者のご家族が快適に生活できます。
一階にLDKと浴室、二階が寝室とミニキッチン、三階は仕事場と広いバルコニーが設けてあります。
トイレは一階と二階にあります。洗濯物は一階から三階のバルコニーまで運ぶ必要がありますが、エレベーターで楽々移動できます。

建てる時に気を付けるべきことは?

三階建てを実際に建てる際には、気を付けるべきポイントがいくつかあります。
以下でそのポイントを詳しく説明していきます。

三階に非常用の入り口が必要

建築基準法では三階以上の建物に、非常用の入り口の設置が義務付けられています。これは火災時の消火や救出活動のため、外部から進入を容易にするための入り口です。

耐震性をしっかり確認する

三階建ては二階建てより一階分の重量が建物に加わり、それを支えるためより強固な構造が必要です。また建物自体が高く揺れやすくなります。このため設計と施工に十分配慮し、強度、耐震性をしっかり確認することが求められます。三階建て建物の確認申請書には、二階建てでは不要な「構造計算書」の添付が要求されます。また、木造の三階には重い家具や本棚、楽器などなるべく置かない、といった工夫も必要です。

周囲の家との兼ね合い

どうしても三階建ては高くなりがちです。容積率(建物の延べ面積の敷地面積に対する割合)の制限、高さの最高限度、日影制限(近隣の建物への日照の確保)などが建築基準法で決められています。これを遵守することはもちろんですが、さらに実際の日当りや視界がどうなるかなど、近隣家庭への生活上の配慮は不可欠です。

まとめ

三階建て住宅には土地を最大限に活用できるなどのメリットがある一方、建物には高い強度や耐震性が求められます。さらに近隣家庭への配慮も欠かせません。三階建てを建てる時には十分な事前検討をおこない、将来にわたって家族みんなが満足できる豊かな住宅を手に入れられることを願っております。

投稿者プロフィール

桐龍 宏明ファイナンシャル・プランナー
大阪大学大学院工学研究科修了、大手電機メーカで36年間にわたり海外の火力発電所の設計と建設に従事。退職後にFP事務所「桐龍フロンティア」を立ち上げ、不動産、資産運用、相続に関する講演、執筆、コンサルタントを展開。

(保有資格)ファイナンシャル・プランナー、宅地建物取引士、スマートマスター(省エネ住宅と家電)

ABOUTこの記事をかいた人

大阪大学大学院工学研究科修了、大手電機メーカで36年間にわたり海外の火力発電所の設計と建設に従事。退職後にFP事務所「桐龍フロンティア」を立ち上げ、不動産、資産運用、相続に関する講演、執筆、コンサルタントを展開。
(保有資格)ファイナンシャル・プランナー、宅地建物取引士、スマートマスター(省エネ住宅と家電)