私立中学校の学費は卒業までにいくら必要?

様々な特色のある教育を受けることができる私立中学校。
通わせたいとは思いつつも気になるのはやはり学費ですよね。
ここでは、授業料以外の学費は何が必要でそれぞれにいくらかかるのか、また年収のラインなどについても解説をしていきます。

私立中学校と公立中学校の違い

私立中学校と公立中学校の違いといえば、「学費」が思い浮かびますが、一体どのくらいの差があるのでしょうか?
さらに、学費の内訳の違いや私立中学校と公立中学校の特徴についても解説します。

学費の違いはどれくらい?

私立中学校、公立中学校の学費について、文部科学省が発表した「平成26年度子供の学習費調査」をもとに年間平均を比較してみます。
学習費とは次の3つの区分の合計になります。

 ●学校教育費(授業料、遠足、教材、制服代など)
 ●学校給食費
 ●学校外活動費(塾、家庭学習、習い事の月謝など)


【私立中学校と公立中学校の学習費の比較】

区分 私立中学校 公立中学校
学校教育費 1,022,397円 128,964円
学校給食費 4,154円 38,422円
学校外活動費 312,072円 314,455円
合計 1,338,623円 481,841円

※表は文部科学省:平成26年度「子供の学習費調査―調査の概要」より作成

学習費の合計をみると、私立中学校は公立中学校の約2.8倍になっています。
金額にすると年間約86万円、中学三年間で約258万円の差が生じることがわかります。

最も差が大きいのは学校生活全般にかかる費用の「学校教育費」です。
内訳を詳しく見てみましょう。


【学校教育費の内訳】

※表は「文部科学省 平成26年度『子供の学習費調査』の結果について」より抜粋

大きな違いとしては、授業料が公立中学校は無料、私立中学校は年間平均約44万円となっていますが、私立中学校の授業料は少人数教育や各学校独自のカリキュラムなど、費用に見合うだけの充実度が期待できる部分でもあります。
私立中学校は入学金や寄付金などが必要なために学校納付金が高く、遠方に通学する生徒が多いことから、通学関係費が4倍近くかかっていることがわかります。

それぞれの特徴は?

私立中学校と公立中学校には学費に大きな差があることがわかりましたが、学費以外の違いについて、それぞれの特徴を見てみましょう。

【私立中学校の特徴】

 ●入学試験に合格することが必要
 ●学校ごとに特色ある教育方針、カリキュラムがある
 ●学校施設、設備などが充実している
 ●付属高校がある場合は高校受験がない
 ●男子校・女子校がある
 ●遠方の場合通学に時間がかかる

私立中学校の最大の特徴は学校ごとに教育理念・教育方針があり、少人数教育、国際教育などの特色ある授業や独自のカリキュラムが組まれていることです。
そのため、保護者の教育方針やお子様の個性に合った学校を選ぶことが可能です。


【公立中学校の特徴】

 ●入学試験がない
 ●通学の時間が短い
 ●同じ小学校からの友達が多い
 ●高校受験のための塾代がかかる

公立中学校の特色は、授業料が無料なので学費が安いことと、居住する市区町村の学校に行くので、通学の時間が短いということが挙げられます。
公立中学校は義務教育のため学習内容は全国共通で、学習指導要領に沿って授業が進められます。

私立中学校で授業料の他にかかるお金

私立中学校の学費が高いのは授業料の高さが大きな原因ですが、実は授業料以外にも私立中学校ならではの様々な出費があります。

【学校に納入するお金】

1.入学金・施設費
私立中学校では入学時に「入学金(平均約25万円)」や「施設費(平均約4万円)」の納入が必要です。
2.寄付金・学校債
私立中学校では学校運営や設備のさらなる拡充のため、寄付金や学校債を募集している学校があります。
3.海外への修学旅行・研修
私立中学校は海外への旅行が行われる場合が多く、入学年度から多額の旅行積みて金が必要なことがあります。
また、任意参加の海外研修がある学校もあります。
4.PTA会費
私立中学校のPTA会費は公立中学校のPTA会費に比べて、年間数千円程度高い傾向があります。


【その他にかかるお金】

1.弁当代
完全給食率が高い公立中学校に比べ、私立中学校で完全給食を実施している学校は約15%に留まっています。
多くの私立中学校では弁当持参となるため、弁当代も別に必要です。
2.通学交通費
自宅から遠い私立中学校を選んだ場合、通学にかかる交通費が必要になります。
3.制服代
公立中学校の場合制服代は夏服・冬服合わせて合計7万円程度ですが、私立中学校で高級ブランド製の制服を採用している場合などは、夏服・冬服合わせて10万円以上かかることもあります。

その他にも「子どものお小遣いは私立中学校の生徒のほうが高い」「PTAの集まりで高級ホテルでのランチ会がある」「部活動の部費が公立に比べて高い」など、私立中学校に入ったことによって様々な出費が生じるとの声もあります。

年収のラインって本当にあるの…?

特色のある教育や充実した学校設備が魅力の私立中学校ですが、公立中学校の約2.8倍という大きな出費から、「私立中学校入学に必要な年収のラインがある」という声もよく耳にします。

実際のところ、学費を捻出できるかどうかは各家庭の家計の状況(子どもの数、住宅ローンの有無など)によるところが大きいので、一概に「年収●万円以上」というラインが決まっている訳ではありません。

ただし、私立中学校に通うということは、中学三年間の学費だけでなく中学受験のために数年間の塾代がかかること、付属の高校・大学に通う場合は引き続き高い学費が必要なことなどが考えられ、長期間に渡って高い学費を捻出できる家計の余裕があることが必要だと言えます。

参考になるデータとして、現在私立中学校に通学している家庭の収入の割合を見てみましょう。

【私立中学校に通学している世帯の年間収入とその割合】

年収 400万円未満 400万円~599万円 600万円~799万円 800万円~999万円 1,000万円~1,199万円 1,200万円以上
構成比(%) 3.4 9.1 15.2 19.5 17.7 35.1

※表は文部科学省「平成26年度子供の学習費調査 5.世帯の年間収入段階別、項目別経費の金額段階別構成比」より作成

表からわかるように、私立中学校に子どもを通わせている家庭の世帯収入は、最も多い年収帯が1,200万円以上で35.1%となっています。
全体で見ると年収800万円以上の家庭が7割を超えています。

厚生労働省の平成28年「国民生活基礎調査」によると、児童のいる一世帯当たりの平均所得金額は707万8千円となっていることから、私立中学校に通学している家庭の年収は平均を上回っている家庭がほとんどであることがわかります。

利用できる補助金や免除制度について

子どもを私立中学校に通わせるということは、かなりの経済的負担がかかることがわかってもらえたでしょうか?お子様を私立中学校に通わせたいけれど、経済的に余裕がないという場合、各種補助金や授業料免除の制度を利用するという方法もあります。

私立小中学校等就学支援実証事業費補助金

平成29年度から新たに実施された制度で、私立小中学校に通う年収400万円未満の世帯が対象で、年間10万円の授業料補助が支給されます。
支援を受けるためには、文部科学省が実施する、義務教育において私立学校を選択している理由や家庭の経済状況などの調査に協力することが条件となります。

高等学校等就学支援金

私立中学校は付属の高校があるところがほとんどで、多くの生徒は付属高校へ進学することになります。
私立高校も公立高校と比較すると約3倍の学費がかかることがわかっています。
高等学校等就学支援金制度は、国公私立全ての学校が対象となる制度で、私立高校の場合は親権者の所得によって支給額が異なります。

市町村民税所得割額 支給額
非課税(年収250万円未満程度) 月額24,750円
~5万1,300円未満(年収250~350万円程度) 月額19,800円
5万1,300~15万4,500円未満(年収350~590万円程度) 月額14,850円
15万4500円~30万4,200円未満(年収590万円~910万円程度) 月額9,900円
30万4,200円以上(年収910万程度) 支給なし

※表は文部科学省高等学校等就学支援金(新制度)O&Aより作成

学校ごとの授業料免除・奨学金制度

私立中学校の中には、保護者の家計状況が急変した場合や保護者の死亡、離別により学業の継続が困難になった場合に、授業料を免除したり無利子で奨学金を貸付する制度を設けている学校があります。
入学後に家庭の事情で学費が出せなくなったという場合は、これらの制度を利用して通学を続けることも可能です。

私立中学校の資金計画は余裕をもって

私立中学校の教育環境に魅力を感じ、何としてでもお子様を私立中学校へ入学させたいと思っている親御さんも多いですよね。
私立中学校にかかるお金は、3年間の学費だけではありません。
「私立貧乏」という言葉があるように、入学してから資金繰りに困る…ということは避けたいですよね。
私立中学校には公立中学校にはない魅力がたくさんあります。
充実した学校生活を送るためにも、くれぐれも教育資金の計画を入念に立てておくようにしましょう。

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