マンション売却にかかる税金の種類を解説!かからないケースもある?

「マンションの売却にはどのくらい税金がかかる?」と気になる方も多いでしょう。売却前に税金について把握しておくことで、無駄な出費が減らせる可能性があります。

この記事では、売却にかかる4つの税金について解説したうえで、税金がかからないケースはあるのか、また特例や控除を活用する方法も紹介します。売却時の税金を少しでも抑えたい方は参考にしてみてください。

マンション売却にかかる税金は4種類

マンション売却時にかかる税金の種類は、主に以下の4つです。

税金の種類 かかる対象 税率・金額の目安
譲渡所得税 売却時の利益(譲渡所得) 譲渡所得×税率
=20.315%~39.63%
印紙税 課税文書(売買契約書) 契約価格1,000万円超5,000万円以下:2万円
契約価格5,000万円超1億円以下:6万円
登録免許税 不動産の登記(抵当権抹消登記) 不動産1つにつき1,000円
消費税 事業(投資)目的での不動産売却 10%

課税所得税は、マンション売却時に出た利益に対してかかるため、利益が発生しなかった場合にはかかりません。印紙税、登録免許税、消費税は、売却益にかかわらず一律で発生します。

では、次章からマンション売却時にかかる4種類の税金について詳しく見ていきましょう。

1-1.譲渡所得税

譲渡所得税は、マンションを売却して利益が出た場合のみかかる税金です。売却益に対して課税され、内訳としては所得税、住民税、復興特別所得税が含まれます。所得税、住民税、復興特別所得税を総称して、譲渡所得税と呼ばれることもあります。

税金の金額は、売却価格から取得費や譲渡費用を差し引いた「譲渡所得」から算出されるため、正確な計算が必要です。また、譲渡所得税の税率は、マンションの所有期間によって異なり、5年以内の短期間で売却する場合は税率が高く設定されています。

以下で、所得税、住民税、復興特別所得税について詳しく見ていきましょう。

① 譲渡所得の内訳

所得税

所得税は、課税所得税の一部を構成する税金で、税率は売却するマンションの所有期間によって異なります。所得税の税率は以下のとおりです。

所有期間が5年以下(短期譲渡所得) 税率 30%
所有期間が5年を超える(長期譲渡所得) 税率 15%

所有期間が5年を超えるかどうかで税率が15%も異なるため、マンションを売却するタイミングを判断するうえで重要なポイントとなるでしょう。マンションの売却を検討する際は、所有期間を確認してみてください。

住民税

課税所得税には、居住地の自治体に対して支払う住民税も含まれます。課税所得に対して一律の税率が適用されますが、マンションの所有期間によって以下のように税率が異なります。

所有期間が5年以下(短期譲渡所得) 税率 9%
所有期間が5年を超える(長期譲渡所得) 税率 5%

所所得税と同様にマンションの所有期間が5年を超えるかどうかで税率が異なります。税率を考慮した上で売却の時期を検討しましょう。

復興特別所得税

復興特別所得税は、東日本大震災の復興支援を目的に創設された税金です。マンションを売却した年の所得税額の2.1%が、復興特別所得税として課税されます。

復興特別所得税は、所得税額を基準として算出されるため、所得税額が高いほど税率も高くなります。

また、所得税の税率から以下の式で、売却益を基準にした復興特別所得税の税率を算出することが可能です。

所有期間が5年以下(短期譲渡所得) 税率 30%×2.1%=0.63%
所有期間が5年を超える(長期譲渡所得) 税率 15%×2.1%=0.315%

② 譲渡所得の計算方法

マンションの売却で得た譲渡所得がプラスになった場合のみ、譲渡所得税がかかります。譲渡所得の計算方法は、以下のとおりです。

譲渡所得 = 譲渡価格 ー(取得費+譲渡費用)

譲渡価格とは

譲渡価額とは、マンションの売却で実際に受け取る金額を指します。これは売却契約書に記載される売却価格であり、売却代金そのものです。厳密には、譲渡価額は売却価格に固定資産税精算金を足しています。

固定資産税精算金とは、売却した年の固定資産税を所有日数に応じて買主に負担してもらうために受け取るお金のことです。一方で、管理費や修繕積立金の精算を行うケースもありますが、こちらは譲渡価額に含まれません。

譲渡価額は、正しく譲渡所得を算出するために、正確に把握することが重要です。

取得費とは

取得費とは、マンションを購入した際にかかった費用の合計です。マンションの購入代金だけでなく、仲介手数料や購入時にかかった税金などの費用も含まれます。

さらに、建物の取得費は、購入代金から減価償却費を差し引いた金額となり、マンションの購入代金は以下の式で算出されます。

マンション購入代金 = 土地購入代金 +(建物購入代金+減価償却費)

建物に関しては、時の経過により価値が減少する分を考慮する必要があるため、購入代金から減価償却費を差し引かなければなりません。減価償却費は、建物の構造によって決められる償却率と経過年数を基準に算出します。

取得費が不明な場合や証明書類がない場合は、概算取得費として譲渡価額の5%を取得費とすることも可能です。

譲渡費用とは

譲渡費用とは、マンション売却時にかかった費用を指します。具体的には、売却時に発生した仲介手数料や広告費、売主が負担した印紙税などが含まれます。これらの費用を合計して譲渡費用を算出してください。

ただし、抵当権抹消費用や司法書士手数料、家財処分費用、引越し費用などは、譲渡費用に含まれません。

③ 譲渡所得税の計算方法

課税所得税の計算方法を解説します。譲渡所得税の計算は複雑ですが、基本的な流れを押さえておけば自分で計算することが可能です。

基本的な流れは前述のとおり、譲渡価格から取得費と譲渡費用を差し引いた「譲渡所得」を求めて、定められた税率をかけて算出します。

課税所得税の計算方法は、以下のとおりです。

譲渡所得税 = 譲渡所得 × 税率

では、具体的に譲渡所得税の計算シミュレーションをしていきましょう。

譲渡所得税をシミュレーション

条件:東京23区に所在する所有期間7年の自宅マンションを6,200万円で売却したケース

売却価格:6,200万円

固定資産税精算金:5万円

取得費:5,700万円

譲渡費用:100万円

※建物の取得費は、減価償却費を控除した後の金額とする

まず「譲渡所得=譲渡価額-(取得費+譲渡費用)」の計算式に当てはめて譲渡所得を算出します。

「譲渡価額(6200万円+5万円)ー 取得費(5700万円)ー 譲渡費用(100万円)= 譲渡所得(405万円)」

譲渡所得税は所有期間によって税率が異なり、このケースでは5年以上所有しているため、税率は15%となります。

譲渡所得(405万円)× 税率(20.315%※)= 譲渡所得税(約82万円) ※所有期間5年以上の税率:所得税率15%+住民税5%+復興所得税0.315%

以上から、東京23区に所在する所有期間7年の自宅マンションを6,200万円で売却した例では、譲渡所得税が約82万円かかります。

1-2.印紙税

印紙税は、売買契約書に貼る印紙代として納税します。契約書に記載する金額に応じて、以下のように税額が異なります。

契約書に記載する金額 印紙税額
500万~1000万円以下 1万円
1000万~5000万円以下 2万円
5000万~1億円以下 6万円
1億~5億円以下 10万円

例えば、契約金額が500万円を超えて1000万円以下の場合、1万円の印紙が必要です。印紙税の詳細については、国税庁のホームページなどで確認しましょう。

1-3.登録免許税

登録免許税は、不動産の所有権移転登記や抵当権設定登記などを行う際に課される税金です。司法書士に渡して代理で法務局に支払ってもらいます。税金というよりは法務局に支払う手数料のようなイメージを持つ人もいるでしょう。

登録免許税の金額は、不動産1つにつき一律で1,000円です。マンションの場合は、抵当権が土地と不動産のそれぞれに適用されるため、登録免許税は1,000円×2=2,000円となります。

1-4.消費税

消費税は、マンションを事業目的で売却する場合に発生する税金です。個人が自宅を売却する場合にはかからず、投資目的での売却や法人・個人事業主が事業用のマンションを売却する場合に発生します。

消費税の対象は建物のみで、土地は課税されません。また、消費税の納税は1年間の売上が1,000万円を超える課税事業者のみが対象です。

2.マンション売却でかかる税金はいつ払う?

マンションの売却時に発生する税金を支払うタイミングを解説します。それぞれ支払うタイミングが異なるので、必ず確認しておきましょう。

税金の種類 税金を納めるタイミング
譲渡所得税 売却した年の翌年の2月16日~3月15日
印紙税 売買契約時
登録免許税 登記の申請時、決済時
住民税 売却した年の翌年の6月以降

課税所得税は売却した年の翌年の2月〜3月、印紙税は売買契約時、登録免許税は登記の申請時、住民税は売却した年の翌年の6月以降に支払います。税金はそれぞれのタイミングで、4回に分けて支払う必要があるということです。

所得税および住民税に関しては、売却した年の翌年に確定申告を行って納税します。特に、高額な売却益が見込まれる場合、納税額も大きくなるため、売却益の一部を税金の支払いに備えておくことが大切です。

3.特例や控除を活用すればマンション売却にかかる税金を減らせる!

マンション売却にかかる税金はなるべく減らしたいものです。特例や控除を利用することで、マンション売却時にかかる税金を減らせます。各種制度を活用して税金の負担を抑えましょう。

居住用財産の3,000万円特別控除

居住用財産の3,000万円特別控除とは、マンション売却時に得られる譲渡所得を最大3,000万円控除できる制度です。

例えば、マンション売却によって得られた譲渡所得が3,000万円以下の場合、3,000万円の控除によって譲渡所得がゼロになります。

この控除を受けるためには、特定の条件を満たしていなければなりません。以下は特例の適用を受けるための条件の一部です。その他の条件や申告方法などの詳細は国税庁のホームページを確認してください。

  • 売却したマンションが自分の居住用であること
  • 売却した年から前々年までに特例の適用を受けていないこと
  • 売手と買手が親子や夫婦などの関係でないこと
  • など

また、「居住用財産の3,000万円特別控除」と「住宅ローン控除」の併用はできません。

「3000万円特別控除」と「住宅ローン控除」どっちを選ぶべき?

「3,000万円特別控除」と「住宅ローン控除」は、どちらも税負担を軽減する有効な手段ですが併用はできません。そのため、個々の状況に応じて適するほうを選びましょう。

どちらを選ぶかは、譲渡所得でかかる税金と住宅ローンの控除額を比較して判断します。基本的には譲渡所得が高い人ほど、「3,000万円特別控除」を使った方がお得になるケースが多です。

一方、譲渡所得が低い人は、住宅ローンの残高と年数にもよりますが、住宅ローン控除を適用した方が節税できる金額が多くなります。

特定の居住用財産の買換えの特例

特定の居住用財産の買換えの特例は、現在の住居を売却して新しい住居を購入する際に適用される特例です。この特例を活用することで、課税所得の課税を将来の売却時まで繰り延べることができます。

以下は特例を受けるための条件の一部です。

「3,000万円の特別控除」「軽減税率の特例」「損益通算及び繰越控除の特例」や他の特例の適用を受けていないこと

売却した人の居住期間が10年以上で、かつ、売却した年の1月1日に所有期間が10年を超えること

など

詳細については国税庁のホームページ で確認してください。

譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例

譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例は、令和5年12月31日までにマンションを売却して、新たにマンションを購入した際、旧マンションを売却した損失が出た場合に適用されます。

給与所得を減らすことで税金が減らせるため、マンション売却時に損失が出た場合には、覚えておきたい特例です。

マンション売却の損失を他の所得と通算し、さらに最大3年間繰り越して控除できます。
例えば、マンション売却時に300万円の損失が出た場合に、自身の給与所得の600万円から差し引いて、給与所得を300万円にできます。

特例を適用するには、「自分の住んでいた住宅を譲渡する」「以前に住んでいた住居の場合は住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡する」などの条件を満たすことが必要です。

なお、この特例は住宅ローン控除と併用できます。その他の詳細については、国税庁のホームページで確認してください。

軽減税率の特例

軽減税率の特例は、10年以上の長期間所有していたマンションを売却する際に適用される特例で、通常の譲渡所得税率よりも低い税率が適用されます。通常よりも譲渡所得にかかる税率が下げられるため、節税につながります。

この軽減税率特例は「3,000万円特別控除」との併用も可能です。特例を適用するには、「売却したマンションが居住用であること」や「親子や配偶者間での売却ではないこと」が条件になっています。

詳細は、国税庁のホームページを確認してください。

取得費加算の特例

取得費加算の特例は、相続や贈与で取得したマンションを売却する際に、取得費に対して一定の金額を加算できる制度です。取得費を増やして譲渡所得を減らすことで、税負担の軽減ができます。

この特例は「3,000万円特別控除」「特定の居住用財産の買換えの特例」などの特例との併用も可能です。特例を受けるには「相続や贈与で財産を取得した者であること」や「財産を取得した人に相続税が課されていること」などの条件を満たす必要があります。

詳細は、国税庁のホームページを確認してください。

7.マンション売却の節税のコツ

マンション売却時に節税するコツを解説します。税負担をできるだけ抑えてマンションを売却したい方は、参考にしてみてください。

所得期間が5年を超えてから売却する

マンションの所有期間が5年を超えている場合、長期譲渡所得として扱われ、税率が低くなります。短期譲渡所得の税率は約39.63%ですが、長期譲渡所得の税率は約20.315%と、所有期間が5年を超えるだけで、税率が半分程度に減少します。

【所有期間ごとの税率】

所有期間が5年以下(短期譲渡所得) 所得税 30%+住民税 9%+復興特別所得税 0.615%
所有期間が5年を超える(長期譲渡所得) 所得税 15%+住民税 5%+復興特別所得税 0.315%

売却を急ぐ必要がない場合は、所有期間が5年を超えてから売却することを検討しましょう。

取得費や譲渡費用を漏れなく計上する

マンション売却時は、譲渡所得が低いほど節税できるため、取得費や譲渡費用を正確に計上することが重要といえます。取得費はマンション取得時にかかった費用、譲渡費用はマンション売却時にかかった費用のことです。

取得費と譲渡費用を計上するためには実際の費用を証明する必要があります。漏れなく計上するために、売買契約書や各種費用の領収書などの資料は大切に保管しておきましょう。

8.マンション売却時にかかる税金を正確に把握しよう

マンションの売却時には、譲渡所得税・印紙税・登録免許税・消費税などの税金がかかります。譲渡所得税は、マンションの売却代金や取得費などから算出されるため、税率や計算方法を把握しておくのが大切です。

さらに、マンション売却時にかかる税金を減らせる特例や控除もあるため、制度を活用して、上手に節税をしていきましょう。

しかし、いざマンションを売却する際には、調べ物や手続きが多く、税金や特例を正確に把握するのが難しくなります。不動産売却でお困りの際は、不動産売却のプロに任せるのがおすすめです。

「住建ハウジング」は豊富な経験と実績を持ち、お客様のニーズに合わせた最適なサービスを提供しております。以下の3つの強みから、マンション売却を成功させるお手伝いをいたします。

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ABOUTこの記事をかいた人

宅地建物取引士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士 1996年より大手不動産デベロッパー勤務。首都圏の新築マンション販売のプロジェクトマネージャーに従事。多くの物件の担当し、引き渡しまで一気通貫で経験。 その後ベンチャー系広告代理店にて不動産系クライアントのインターネット集客の支援を行う。 現在は広告代理業と併せ、老舗不動産会社として地域ニーズに合わせた事業を展開。