サラリーマンも例外ではない…税務調査の対象になる人、ならない人

相続税以外の「税務調査」といえば法人が対象というイメージがありますが、個人が対象になることも珍しくはありません。しかも一見すると「普通の会社員」という人に税務調査が行われることも。どのような人が対象になりやすいのか、みていきましょう。

税務調査は法人だけでなく個人も対象になる

「税務調査」と聞いて思い浮かべることはどんなことでしょうか。多くの人が大企業にマルサが入って……というような、会社員とっては、なんだか遠いイメージを持つ人がほとんどでしょう。

実は「税務調査」というものは法人だけに限ったことではありません。ある日、サラリーマンのもとに「税務調査に伺いたい」と税務署から連絡があり、「えっ⁉」と慌てふためく……そんなことも珍しくないのです。

そもそも税務調査とは、確定申告の内容が適正かどうかを確認するためのものなので、法人でなくても、確定申告をしている個人も当然、対象になります。

「税務調査」が来たら、高い税金を払わないといけなくなるようなイメージを持たれている方もいるかもしれませんが、正しい税金を納めていたら税務調査がきても、当然に、追加で税金を納める必要などありません。


会社員なのに税務署に目を付けられる…よくある3パターン

それでは個人の税務調査の対象となる人はどんなケースなのか見ていきましょう。

税務調査が来るということは、何のために来るのか、何を確認するためなのか、ということは来ると決まった時点でだいたい決まっています。一番避けたいのは以下のケースです。

【ケース1】申告漏れがある

副業やダブルワークなども珍しくなくなった今、2ヵ所以上のところから給与を受け取っているということも珍しくなくなりました。2ヵ所以上の給与がある場合、たとえひとつの会社で年末調整をしていても、確定申告をしなければなりません。

万が一、申告が漏れていたとしたら……少しくらいならわからないだろうと思っているなら大間違いです。税務署が給料を支払った会社側からの源泉徴収票を確認して、漏れていることを見つけたことにより、税務調査のキッカケとなるということも十分にあります。

給与だけでなく、副業ももちろんです。少しくらいの副業ならわからないだろうと思っていても、支払った会社側が税務署に支払調書という形で報告をしているケースがありますので、それにより申告漏れが発覚します。

このような申告漏れは、税務署も書類や証拠資料を集めた上での調査なので、修正申告をするしかありません。何より、うっかり申告漏れをしたことにより税務調査のキッカケを作っていることになります。当初から漏れなく申告しておけば良かったものの、漏れてしまったことにより平日に税務調査に時間をとられるうえ、追徴課税を支払うときは、延滞税や加算税などのペナルティも合わせて支払わないといけなくなります。

【ケース2】申告内容に不備がある

確定申告をしたけれど、添付すべき書類が添付されていない、記載すべき事項の記載がないなど、不明瞭な場合も税務調査の対象になることがあります。

特に添付書類が多いのは不動産の売買です。不動産の売買をしたうえ、特例を適用した場合などはなおさら添付書類や記載すべき事項が多くなります。そこに不備がある場合、他にも漏れがあるのではないかということで申告内容の確認のために税務調査の対象になることもあり得ます。

不動産売買の特例はたくさんあり、適用するための条件が適正に当てはまっているかということも書類がないと判断できませんので、税務調査の対象になり得ることは容易に想定できるでしょう。

さらに不動産を売買した場合、どうしても売買をした年度の確定申告だけに意識が向いてしまいますが、実はその後も気を付けないといけません。特に注意が必要なのは、不動産を売買した2年後、その売買金額のうち、消費税がかかる売買が1,000万円をこえている場合です。2年後の確定申告の時に消費税の申告義務が発生する場合がありますが、2年後のことなのでうっかり忘れてしまうことが……こちらについても不備のないようにしっかり管理をする必要があります。

この消費税の申告義務は、売買金額だけではありません。例え売買金額が1,000万円をこえていなくても、個人事業などの副業の売上も含めて、1,000万円をこえていたら対象になることもあるので、慎重に確認する必要があります。

【ケース3】海外の取引など特殊な取引がある

個人で色々な投資をしている人もめずらしくなくなりました。特定口座などの一般的な株式投資なら対象にはなりにくいですが、一般口座での比較的大きな株式の売買、海外の取引など、少し特殊な取引をした場合には税務調査の対象になる可能性があります。

こちらは上記のケース1や2とは違って、申告内容が間違えていたり不備があったりするから税務調査を行うということではなく、特殊であるために税務調査で申告内容が適正か確認をするという意味合いが強くなります。

もちろん、特殊であったとしても適正に申告されていれば何の問題もありません。株式をたくさん売却したなど、大きな動きがある年度の確定申告については、書類もしっかり揃え、不備のないように慎重に行いましょう。不安なことがあれば専門家に相談するなどして正しい申告を心掛けることをおすすめします。


不備のない確定申告は、豊かな未来への第一歩

税務調査の対象になる3つのケースをみてきましたが、上記のケースでなくても税務調査の対象になることももちろんあります。

税務調査と聞くと、いざ自分がその対象になったらとても不安になってしまう人が多くいます。副業をしたことによって、本業にも差し障るような事態になってしまうことのないように、日頃から、適正な申告をすることが、投資や副業を始めたときに思い描いていた豊かな未来への第一歩です。

何より、投資や副業をする人にとっての確定申告は一年間のキャッシュフローやポートフォリオの再確認のタイミングにもなります。確定申告のタイミングで1年間を振り返り、自分の置かれている状況を把握して改善すべきポイントがあればそれを見直して、また次の1年をスタートさせる……この繰り返しを続けていくことで、豊かな未来に近づいていくことでしょう。




投稿者プロフィール

木戸真智子
税理士事務所エールパートナー 税理士/行政書士/ファイナンシャルプランナー
2014年税理士登録、2015年4月、税理士事務所エールパートナーを開業。経営支援セミナーなどの講師として活躍するほか、行政書士、ファイナンシャルプランナーの資格も保有。特に、開業・独立に関わる税務相談を得意とし、開業準備や税務、会計や決算など、さまざまな分野で顧客を支え、経営者にエールを送る。
お探しのエリアや購入価格から都内の物件を探せます

種別

エリア

物件価格

ABOUTこの記事をかいた人

税理士事務所エールパートナー 税理士/行政書士/ファイナンシャルプランナー 2014年税理士登録、2015年4月、税理士事務所エールパートナーを開業。経営支援セミナーなどの講師として活躍するほか、行政書士、ファイナンシャルプランナーの資格も保有。特に、開業・独立に関わる税務相談を得意とし、開業準備や税務、会計や決算など、さまざまな分野で顧客を支え、経営者にエールを送る。