短期観光ビザでは短すぎる!?不動産売買には時間が必要

日本での不動産売買には、日本人でも2週間~1ヵ月程度の期間が必要です。
海外在住の外国人の場合は、海外送金や書類をそろえる必要がありますから、さらに長い時間がかかることも珍しくありません。
つまり、中国人が日本の不動産を購入するときは、手続き期間中、ずっと滞在できるビザを取得しておくことが重要になります。

中国人が日本で不動産を購入するまでの流れ

中国人が日本で不動産を購入する場合、おおよその流れは次のとおりです。

1. 物件情報を収集する(中国国内からインターネットを通じて探せます)
2. 来日して物件の下見をする(不動産会社を選んで内見を申し込み、実際に物件を見に行きます)
3. 購入を申し込む(申込み後、不動産会社が売主との交渉を行います。平均1~2週間かかります)
4. 重要事項について説明を受け、売買契約を締結する(売買契約時に、物件購入価格の10~20%の手付金を支払います)
5. 代金の決済と登記を行う
6. 不動産の取得後20日以内に、日本銀行を通じて財務大臣に報告する(居住目的、非営利目的の事業目的、事務所使用での取得及び非居住者間の取引きを除く)

最初に下見をした物件がすばらしく、購入価額などの交渉もすぐに済んでとんとん拍子に進めば、最速2週間ほどで売買契約締結に至る可能性があります。
しかし、そこまでスムーズに事が運ぶことは、ほぼないと考えてください。
一般的に、下見開始から売買契約締結まで1~2ヵ月は必要で、それ以上に及ぶ場合もあります。
つまり、短期の観光ビザ(15日)では、滞在中に手続きを終えることは困難です。
最低でも30日間滞在できる観光ビザ、できれば90日間滞在できるビザを取得して入国することをおすすめします。

90日間滞在可能なビザの取得方法

日本に90日間滞在可能なビザは、親族、友人、不動産会社が、招聘人や身元保証人になることで申請できます。
日本に信頼できる親族や身内がいる場合はその人に頼むのが一番ですが、特に知り合いがいないときは不動産会社に頼むことになります。
このビザの申請にあたって、本人が用意する物は以下のとおりです。

<必ず用意する物>
・査証(ビザ)申請書
・写真
・パスポート
・戸口簿の写し
・居住証または居住証明書

不動産会社が招聘機関・身元保証機関になる「短期商用等査証(ビザ)」を申請する場合は、上記の5点に加え下記の書類も必要です。

・在職証明書
・所属先の営業許可証の写し
・所属先の批准書の写し(合弁会社の場合)

また、日本に暮らす親族・知人が招聘人・身元保証人になる「親族・知人訪問査証(ビザ)」を申請する場合は、以下の書類も必要になります。

・在日親族または知人との関係を証明する書類(写しを提出、原本は提示)
 ※親族の場合、「親族関係公証書」など。
 知人の場合は、いっしょに写っている写真や手紙など。

ビザの申請には、これら申請人側が用意する書類とは別に、招聘人(機関)・身元保証人(機関)側にも「招聘理由書」や「身元保証書」「滞在予定表」などの書類を用意してもらい、中国にいるビザ申請人の元まで送ってもらわなければなりません。
ビザ申請人は、すべての書類をまとめて、在中国日本大使館(または領事館)で申請します。

必要な書類の中には、公証書をはじめ発行に時間がかかるものもありますし、ビザの申請から発行にも1~2週間は必要なので、早めに準備することが重要です。
また、審査の結果、ビザが下りない可能性もあります。
そのようなときは、日本にいる親族や身内に代理人となってもらって、契約決済をしてもらうと良いでしょう。

中国から送金するときの注意点

不動産購入の頭金や決算代金は、中国の銀行(自分の口座)から日本の銀行(不動産会社や売主の口座)に送金するケースがほとんどです。
いずれも大きな金額になりますので、送金に際しては以下の点に注意してください。

・送金額に注意
中国政府の政策により、個人(中国籍を持ち中国に住む人)が1年間に海外送金できる上限額は「50,000米ドル相当」までと決められており、これ以上の送金を行うためには外貨管理局の許可を得る必要があります。

・送金から到着まで日数がかかる
中国国内の銀行から日本の銀行へ送金する場合、完了までに3日~1週間程度必要とされています。
また、複数の銀行を経由して送金するケースでは、その分の日数も必要です。
期日にしっかり支払いを済ませるためにも、頭金の支払い日や本決済日の1~2週間前には送金手続きを完了しておきましょう。

・人民元のまま送金はできない
中国の為替管理制上、個人が人民元のまま海外送金を行うことはできません。
いったん米ドルもしくは日本円と両替しますから、為替相場の影響を受けることになります。

ほかにも、以下の書類を求められますので、しっかり準備しておきましょう。

・振込人の身分証
・振込人の氏名、住所(中国国内のもの。「ピンイン」の英語表記)、電話番号(中国国内のもの)
・送金先金融機関のSWIFTコード
・送金先金融機関の住所・電話番号(各支店のものではなく、SWIFTコードに基づいたもの)
・送金先口座番号
・受取人の氏名、住所、電話番号(英語表記)