違約解除に注意。違約金の発生する契約の解除とは?

不動産の売買契約を結ぶと、売主には「物件引渡しの義務」、買主には「物件代金支払いの義務」が発生します。一方が義務を履行しなければ「契約違反(債務不履行)」となり、相手側から「損害賠償の請求」とともに、契約履行の「催告」をされます。催告をされても義務の履行がなければ、催告をしたものは契約の解除ができるようになります。

手付解除と違約解除の違い

不動産取引において、契約解除の際、金銭を支払うものに「手付解除」と「違約解除」があります。それぞれの違いは次の通りです。

手付解除

手付解除期日までであれば、原則、理由を問わず契約解除できる

(買主なら手付の放棄、売主なら手付の返還および同額を支払う必要がある)

ただし、相手側が契約の履行に着手した時点からは手付解除はできなくなるとされる

違約解除

相手側の契約違反に対し解除の申し出をするには、申し出をする側の履行の着手と相手側への催告が必要

(催告は原則として相当な期間を定めて行う必要があります)

履行の着手

解除する場合に問題になるポイントに、「履行の着手」が認められるかどうかがあります。何が「履行の着手」とみなされるかは、その時の状況により見解が変わります。

以下は、不動産の取引において一般的に「履行の着手」とみなされる例です。

  履行の着手(※1)
売主の場合 買主の希望に応じ建物を解体して更地に戻した
買主の希望に応じ土地の実測を行った
買主の希望に応じ建物の内装工事を行った
買主の場合 中間金(内金)を支払った
売買代金の準備と売主へのその通知と履行の催告(※2)
引渡し期日を過ぎ、繰り返し催告を行った
建築業者に着工金を支払い、建築請負契約を行った

※1 契約違反により紛争となった場合は、契約内容や経緯をすべて鑑みて判断します
※2 催告した証明のため、通知は配達証明付内容証明郵便で行うことが望ましい

不動産取引における違約金・損害賠償額とは

「違約金」とは、契約において契約違反(債務不履行)をした場合に支払うことを予め約束しておく金銭のことです。

違約金は「損害賠償額の予定」の場合と「違約罰」の場合があります。

違約金

損害賠償額の予定

実際に生じた損害額の大小に関わらず、予め約束した金額を支払うこと

違約罰

実際に生じた損害について賠償責任が発生し、加えて、約束した金額を支払うこと

宅地建物取引事業者間以外の取引においては、違約金に次のような決まりがあります。

1)売買価格の10%~20%程度
2)手付金相当額
3)宅地建物取引事業者自ら売主の場合、違約金や損害賠償額の予定の合計額が売買代金の10分の2を超えてはいけない(損害賠償額の予定などの制限)

まとめ

手付金と違約金は別ものであり、両方発生することはありません。つまり、手付解除が可能な段階では、手付の放棄(買主)または手付の倍返し(売主)で契約の解除ができますが、手付解除ができなくなった段階で契約解除となる場合は、違約金の支払いが発生します。
なお、売主と買主の合意によって売買契約の効力を消滅させる「合意解除」もあります。この場合、契約違反(債務不履行)や、契約書に特に定めがなくても、いつでも契約の解除は可能です。

[記事公開日]:2021/10/07[最新更新日]:2021/10/08