民泊は何処でも誰でもできるの?民泊を営業するためのルール「民泊制限」とは

インバウンドが戻ってきた今、都内で海外からの観光客の姿を再びたくさん見かけるようになりました。海外と比べると日本の物価は相対的に安くなっていますが、より安く旅行を楽しむため注目されているのが民泊です。
サービスや設備の面ではホテルや旅館などに劣るかもしれませんが、宿泊費を抑えたいと考える旅行者にはニーズがあります。また、一般の民家に宿泊する民泊は、その土地の風習に触れやすく、ホストとゲストとのコミュニケーションの機会も考えられるため、そのような目的がある旅行者にとって人気があります。
民泊の需要が高まれば、民泊を始めてみようと考える人も増えるかもしれませんが、民泊には「民泊制限」という規制があります。

民泊を行うためのルール「民泊制限」とは

「民泊制限」とは、民泊新法によって定められた、一年間に営業できる日数が180日までという規制のことです。この規制は、民泊に利用している場所が「宿泊施設」ではなくあくまでも生活をする「住宅」であるという考えから設けられています。
「民泊新法」とは、住宅宿泊事業法の通称で、民泊についてのルールを定めた法律です。この法律は、急速に増加する民泊について、安全面・衛生面の確保がなされていないこと、騒音やゴミ出しなどによる近隣トラブルが社会問題となっていること、観光旅客の宿泊ニーズが多様化していることなどに対応するため、一定のルールを定め、健全な民泊サービスの普及を図るものとして、平成29年6月16日に公布され、翌年の6月15日から施工されました。

民泊新法には、以下のようなルールがあります。

民泊新法の主なルール

宿泊の提供は年間180日以内
住宅宿泊事業者、住宅宿泊管理業者、住宅宿泊仲介業者の登録が必要
騒音やゴミ出しなどによる近隣トラブルを防止するための措置が必要

さらに、民泊で使用する部屋が分譲マンションの場合は、管理規約に住宅宿泊事業の実施を営むことを禁止する旨の定めがないことが必要です。民泊制限はクリアしていても、マンションの管理規約で禁止されていれば民泊を実施することはできません。

また、民泊の形態において次のような違いもあります。

家主居住型と家主不在型の違い

宿泊事業において家主居住型と家主不在型の違いは、宿泊者が滞在している間に家主(届出者)が届出住宅にいるかどうかです。
家主居住型はホームステイ型とも呼ばれ、住宅の一部を宿泊者に提供する場合や、家主が日常生活を営む上で通常行われる行為に要する時間(原則1時間)以内に帰宅できる場合(買い物や散歩などの一時的な外出)です。家主居住型の場合は、住宅宿泊管理業者に委託する必要はありませんが、消防用設備の設置義務はあります。

家主居住型のメリット・デメリット

メリット:

宿泊者とのコミュニケーションやトラブル対応がしやすい

管理費用がかからない

デメリット:

プライバシーが保てない

宿泊者の数や期間が制限される

一方、家主不在型は、住宅全体を宿泊者に提供する場合や、宿泊者が滞在している間に家主(届出者)が届出住宅にいないか、または日常生活を営む上で通常行われる行為に要する時間(原則1時間)を超えて不在となる場合(長期の旅行や出張など)の宿泊事業のことです。家主不在型の場合は、住宅宿泊管理業者に委託する必要があります。また、消防用設備の設置義務もあります。

家主不在型のメリット・デメリット

メリット:

プライバシーが保てる

宿泊者の数や期間が制限されない

デメリット:

宿泊者とのコミュニケーションやトラブル対応が難しい

管理費用がかかる

このように、家主居住型と家主不在型のメリット・デメリットはお互いに相反するものになっています。さらに、消防用設備の設置義務も家主居住型と家主不在型で異なります。

家主居住型と家主不在型の消防設備設置義務の違い

家主居住型の場合は、ゲストが宿泊する部屋の床面積が50㎡以下であれば、火災報知器を設置するだけでよいのに対し、家主不在型の場合は、床面積に関係なく、火災報知器や消火器、避難経路表示などの消防設備を設置する必要があるということです。また、家主居住型でも、ゲストが宿泊する部屋の床面積が50㎡を超える場合は、家主不在型と同様の消防設備を設置する必要があります。

 

宿泊部屋床面積50㎡以下の場合

宿泊部屋床面積50㎡超の場合

家主居住型

火災報知機設置のみ

(家主不在型と同様)

家主不在型

火災報知器、消火器、避難経路表示などの設置

民泊を行うための区の独自ルールとは

住宅宿泊事業(民泊)を行うには、届出を行い、区が交付する標識を掲示すること等が必要です。以下は14区それぞれの、住宅宿泊事業(民泊)を行う場合の手続の流れや注意事項について案内されているサイトへのリンクです。各区独自のルールが設けられている場合がありますので、該当する区のルールについて、事前にしっかり確認しておきましょう。

港区のルール

家主居住型住宅宿泊事業 :
実施の制限はありません。

家主不在型住宅宿泊事業 :
次に掲げる区域は実施不可です。

制限区域:住居専用地域、文教地区
制限期間:
1月11日正午から3月20日正午
4月11日正午から7月10日正午
9月1日正午から12月20日正午

港区公式ページ「住宅宿泊事業(民泊)」

渋谷区のルール

制限区域:住居専用地域、文教地区
制限期間:
1.4月5日から7月20日まで
2.8月29日から10月の第2月曜日の前の週の水曜日まで
3.10月の第2月曜日の前の週の土曜日から12月25日まで
4.1月7日から3月25日まで
(注)ただし、届出住宅の周辺地域の住民および町会からの苦情などに迅速に対応できる体制が確保できると認められるもので、定められた要件にいずれも該当する場合には、制限する区域においても期間の制限にかわらず180日までの実施を認めます。該当する事業者には、住宅宿泊事業法で定める標識のほかに区が交付する標識の掲示を義務づけます。

渋谷区公式ページ「住宅宿泊事業(民泊)について」

新宿区のルール

制限区域:住居専用地域
制限期間:月曜日正午~金曜日正午まで不可

新宿区公式サイト「住宅宿泊事業(民泊制度)」

新宿区住宅宿泊事業ルールブック(PDF形式:2.0MB)
https://www.city.shinjuku.lg.jp/content/000279690.pdf
訂正表(令和4年1月更新)
https://www.city.shinjuku.lg.jp/content/000333046.pdf

千代田区のルール

業態

文教地区等

学校等周辺

人口が密集している区域

人口が密集していない区域

家主居住型

日曜日の昼~
金曜日の昼不可

日曜日の昼~
金曜日の昼不可

180日(泊)

180日(泊)

家主不在型
(管理者常駐)

日曜日の昼~
金曜日の昼不可

日曜日の昼~
金曜日の昼不可

180日(泊)

180日(泊)

家主不在型
(管理者駆け付け型)

全日不可

全日不可

日曜日の昼~
金曜日の昼不可

180日(泊)

家主不在型
(駆け付け要件を満たさない管理者)

全日不可

全日不可

全日不可

全日不可

※住宅宿泊事業法で定める日数の限度は4月1日~翌年3月31日の1年間で180日です。12時から翌日12時までを1日とカウントします。

千代田区公式ページ「住宅宿泊事業(民泊)」

中央区のルール

制限区域:区内全域
制限期間:月曜日正午から土曜日正午まで不可

中央区公式ページ「住宅宿泊事業(民泊事業)」

江東区のルール

制限区域:区内全域
制限期間:月曜日正午から土曜日正午まで不可
ただし、国民の祝日に関する法律で定める休日の正午から翌日の正午までは除きます。
(祝日の正午から翌日正午までは除く)

江東区公式ページ「住宅宿泊事業(民泊)に関する手続き」

文京区のルール

制限区域:住居専用地域、住居地域、準工業地域、文教地区
制限期間:日曜日の正午から金曜日の正午まで不可

文京区公式ページ「住宅宿泊事業(民泊)」

豊島区のルール

制限区域:なし
制限期間:なし
事業者に適切な届出・運用をしてもらうことが条件

豊島区公式ページ「住宅宿泊事業法について」

品川区のルール

制限区域:近隣商業地域、商業地域を除く全域。第一種・第二種文教地区は全域。
制限期間:月曜日正午から土曜日正午まで不可

品川区公式ページ「住宅宿泊事業法に関する手続き」

目黒区のルール

制限区域:全域
制限期間:日曜正午から金曜正午まで不可

目黒区公式ページ「住宅宿泊事業の実施にあたって」

世田谷区のルール

制限区域:住居専用地域
制限期間:月曜日の正午から土曜日の正午まで不可(祝日は、当該休日の正午から当該休日の翌日の正午までは除く)

世田谷区公式ページ「住宅宿泊事業(民泊)について」

大田区のルール

家主不在型の場合

住宅宿泊事業ができない地域:
住居専用地域、工業地域、工業専用地域、文教地区、特別業務地区、流通業務地区、一部の地区計画内(大田区平和島地区地区計画、大田区東海三丁目地区地区計画、大田区田園調布地区地区計画、田園調布多摩川台地区地区計画及び大森西七丁目地区地区計画)

小学校及び中学校の敷地周囲100メートル以内の区域
制限期間:月曜正午から金曜日正午まで不可

家主居住型の場合は上記制限を受けず、原則として区内全域で事業を実施可能

大田区公式ページ「大田区の民泊制度について」

杉並区のルール

家主不在型の場合
制限区域:住居専用地域
制限期間:月曜日正午から金曜日正午まで(祝日前正午から祝日後正午は除く)

杉並区公式ページ「住宅宿泊事業(民泊)」

中野区のルール

制限区域:住居専用地域
制限期間:月曜~木曜(祝日は除く)
※家主同居型(ホームステイ型)で必要な条件を満たす場合は、一定の条件付加で制限期間でも事業の実施が可能

中野区公式ページ「住宅宿泊事業法の成立に伴うマンション標準管理規約の改正について」


民泊についてはこちらの記事もご覧ください。

民泊のメリットは?民泊のこれまでとこれから

東京の民泊特集 -流行りの民泊に迫る-

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