相続した物件を売却する時に注意すべきこと

不動産の売買において「相続物件」の売買は簡単ではありません。相続物件の場合は権利関係者が多く、財産の取り分の問題や感情面の問題などが発生しやすいため、相続人間の話し合いに時間がかかる場合があります。そのような相続物件の売買においてトラブルをできるだけ避けるためにも、次のような注意を払うことが必要です。

1.登記簿謄本で所有名義人を確認する

対象不動産の所有名義人が相続登記済みで、相続人が売主と確定されている必要があります。

2.戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍により相続人を確定する

離婚や再婚など家族形態が複雑になると、相続人の数が多くなることがあります。後の「遺産分割協議」の段になって新たに相続人が増えましたということがないよう、最初にしっかり調査をしておくことが重要です。その為、相続人の確定は戸籍謄本などの公的書類による確認が必須です。

3.すべての相続人に連絡する

相続人の確定後、遺産分割協議の前にすべての相続人に手紙などで連絡をします。

相続人が亡くなっている場合

亡くなった相続人の子どもらが相続権を引き継ぐ「代襲相続」を適用する。

相続人が行方不明の場合

家庭裁判所に「不在者財産管理人」の選任を申し立てる。

不在者財産管理人は利害関係のある他の相続人が兼任するということはなく、親戚や家族に適任者がいない場合は、弁護士や司法書士が選任されることもあります。

4.遺言書、遺産分割協議書の有無の確認

遺言書がなく遺産分割協議も調っていない場合、相続財産の利用(賃貸など)や処分(売却など)に関しては、相続人全員の同意が必要です。
遺産分割確定前でも全相続人の意見が一致していれば、相続人全員を売主にしたり、相続人の代表者を選任したりすることは可能です。しかし、契約後のトラブルを考慮するならば、原則、相続物件の売却は遺産分割協議成立後に行います。
また、遺言書がある場合には「遺留分」に注意が必要です。遺留分とは遺言の内容に関係なく、一定の相続人(配偶者、子ども、父母)が最低限相続できる財産のことで、その権利は民法に定められています。
もし、遺留分を無視して契約を進めてしまった場合、後に他の相続人から「遺留分減殺請求」として取り分を主張される危険性があります。なお、遺留分は相続財産の1/2(直系尊属のみが相続人である場合は1/3)です。

直系尊属:父母・祖父母など自分より前の世代で直通する系統の親族のこと。
     ※養父母は含むが、叔父・叔母、配偶者の父母・祖父母は除く

直系卑属:子・孫など自分より後の世代で直通する系統の親族のこと。
     ※養子は含むが、兄弟・姉妹、甥・姪、子の配偶者は除く

5.相続登記の方法の確認

相続登記は売買契約後から決済までに必ず必要な作業です。
通常、相続登記は法律的に有効な遺言書や遺産分割協議書で相続割合が確定してから行いますが、「法定相続分」で登記する場合は、遺言書や遺産分割協議書が無くても可能です。
ただし、複数の相続人を法定相続分による共有名義人として登記する場合、不動産の売却も共有名義人全員で行うことになります。したがって、不動産の売却が前提となる場合、遺産分割協議の際に各相続人の相続割合とともに、不動産の所有名義人を誰にするかを取り決めておくことが大切です。

6.相続物件売却時の譲渡所得

相続物件の売却は相続税を収めるために行われることが多いため、遺産分割協議において税金の取り扱いが重要となります。
相続物件を売却して譲渡益が生じた場合、所有期間に応じて「譲渡所得にかかる税金」(所得税、住民税)がかかります。

相続物件を売却した場合の税金のチェックポイント

  1. 税率を決める所有期間は、被相続人の取得日から譲渡した年の1月1日時点での期間で計算する
  2. 譲渡益を計算するうえでの「取得費」は、被相続人の取得費を引き継ぐ
  3. 被相続人が取得した時の取得費が不明な場合、概算取得費(売却価格×5%)とする
  4. 相続税の取得費加算の特例
     売却した不動産にかかる相続税額を、譲渡所得の計算で控除できる。
相続税の取得費加算の特例

相続後3年10か月以内(相続開始日の翌日から相続税の申告期限(10ヶ月)の翌日以降3年を経過する日まで)に相続財産を売却した場合は、相続税額の一部を取得費に加算することにより譲渡所得金額を減らし、譲渡所得金額にかかる税金を軽減できる特例

参考:
 課税譲渡所得金額 = 譲渡価額 -(取得費+譲渡費用)- 特別控除額※一定の場合

7.プロへの相談がおすすめ

以上、相続物件の売買時に気を付けることでした。相続物件を売却する事情は人それぞれあり、かなり面倒なケースになることも考えられます。出来る限りスムーズな取引ができるよう、税理士など専門家に相談し、物件の売却は不動産のプロにお任せください。


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