不動産の売却をしたいけど、どこに相談すべきかわからないという方も多いでしょう。この記事では、不動産売却についてどの窓口に相談できるのか状況別に解説します。加えて各窓口の特徴や相談費用の相場も紹介します。不動産売却に関してお困りの方は、ぜひ参考にご覧ください。
不動産売却の一般的な相談は不動産会社へ無料でできる

初めての不動産売却は、不明な点も多く不安を感じている人も多いでしょう。売却に関して相談できる最も一般的な窓口は不動産会社です。不動産会社では、売却に関する基本的な相談・査定を無料で受けることができます。不動産に関するプロが多数在籍しているため、初心者の方でも安心して相談できます。
不動産会社に相談する方法
不動産会社に売却を相談する際は、店舗に直接来店して相談する方法とオンラインで相談する方法の2つの選択肢があります。
直接来店して相談する場合、実際に担当者と対面で話せるため、より具体的な相談が可能です。一方、オンラインでは、時間や場所を問わず手軽に相談ができるため忙しい人でも気軽に利用できます。
どちらの方法を利用する際も、話がスムーズに進むように事前に物件の情報や相談内容について整理しておきましょう。
不動産会社に相談するメリット
不動産会社に売却を相談するメリットは、無料で利用できる点です。また、専門的な知識と経験を活かしたアドバイスを得られる点も魅力といえます。
地域の市場動向や適正価格、諸費用などの調査は、個人で行うには多くの手間がかかります。不動産会社に相談すれば、上記についてくわしい情報を得られるだけでなく、売却に関する法律手続き、広告や集客などの販売活動の代行を依頼することも可能です。
不動産会社に支払う仲介手数料とは?
不動産会社に相談すれば、売却の一通りのプロセスを知ることができ、売却の際もスムーズに手続き等を進めることが可能になります。なお、相談、査定、売却準備までなら無料で対応してもらえますが、売却が成約した場合は仲介手数料の支払いが発生します。
仲介手数料は、不動産の売買が成立した際に事務手続きや交渉にかかった費用として不動産会社に支払いをするものです。
金額については法律によって上限が定められており、不動産の売却価格により決定します。売却価格が200万円以下の範囲は価格の5%、200万超から400万円以下の範囲は4%、400万円を超える価格には3%までの手数料が上限となります。もし、売却金額が400万円を超える場合は、3つの価格帯それぞれで手数料を計算し合計します。なお、手数料には消費税がかかります。
売却する不動産の詳細を知りたいときの相談先
ここでは、不動産の価値や状態など、不動産の詳細を知りたいときに相談できる窓口を紹介します。
不動産鑑定士
不動産鑑定士は、不動産の価値を公正に評価する専門家です。市場の動向や物件の特性、法規など、さまざまな観点から客観的な評価額の提示を受けることができます。
とくに、不動産が特殊な条件下にある場合や、市場価格が不安定な地域の場合におすすめです。調査をもとに、法的効力のある不動産鑑定評価書の発行も行っています。不動産鑑定士に依頼を行う際は、日本不動産鑑定士協会連合会HPの「会員検索」から最寄りの不動産鑑定士事務所を探してみましょう。
不動産鑑定士へ相談を行う際の相場は、30分5,000円程度です。東京都などでは、相談だけであれば無料で対応しているケースもあります。本格的に依頼をする際は、20~50万程度が必要です。基本的に、不動産評価額が高いほど依頼料も高額になります。決して安い金額ではないため、ある程度の資金の準備をしておきましょう。
土地家屋調査士
土地家屋調査士は、不動産の物理的な境界や面積を正確に測定する専門家です。物件の売却を行う際は、土地や建物の境界が明確でないとその後のトラブルに発展する可能性があります。土地家屋調査士はそのようなトラブルを未然に防ぐため、測量や登記に関する手続きを行います。
古い物件や境界が曖昧な土地を売却する場合には、ぜひ一度問い合わせを行いましょう。相談をする際は地域の土地家屋調査士会HPにアクセスし、最寄りの土地家屋調査士を探してみてください。
土地家屋調査士への相談は、事務所によっては無料で行っている場合があります。有料の場合は、1時間5,000円程度が相場です。実際に依頼を行う際は、事前調査費、測量業務費、境界画定費、書類作成費などそれぞれに対して費用がかかり、合計で約22万~31万程度がかかります。所有地が国の所有する土地に隣接している場合は、更に費用が高くなる可能性があるため注意しましょう。
不動産売却のお金に困ったときの相談先

不動産売却では、お金に関して疑問を抱く方も多いでしょう。ここでは、お金に関する相談を受け付けている窓口について紹介します。
国税庁電話相談センター
国税庁電話相談センターは、国が運営する専門機関で、不動産売却に伴う税金についての相談窓口です。不動産だけでなく税金に関する一般的な質問の回答も行います。
専門職員がいるため、初めて不動産を売却する人でも安心して相談できる点が魅力です。とくに、譲渡所得税や住民税についての基本的な知識を得たい場合に役立ちます。相談にかかる費用は通話料のみです。
話をスムーズに進めるためには、あらかじめ質問内容を整理しておくと安心です。相談をする際は国税庁の税についての相談窓口「国税相談ダイヤル」より音声ガイダンスに従って相談内容の番号を押してください。また、公的機関のため、具体的な節税対策や個別のケースに関する詳細なアドバイスは行っていません。
税理士
税理士は、税金に関する知識を持つ専門家です。個々のケースに応じた節税対策の提案などを行っています。確定申告の際の譲渡所得税の申告や特例適用の判断など、複雑な税金計算を依頼することも可能です。
相談を希望する際は、税理士事務所に直接連絡をしてください。税理士事務所は、日本税理士会連合会「税理士情報検索サイト」からの検索が可能です。不動産会社が紹介してくれる場合もありますが、信頼できる税理士を見つけるためには実績や口コミを参考にしながら選びましょう。
税理士へ相談をする際の費用に関しては、30分~1時間程度で5,000円~10,000円が相場です。自治体や税理士会が、無料の相談会を開催している場合もあります。依頼内容や事務所によって金額が大きく異なるため、実際に依頼を行う際は各自治体や日本税理士連合会のHPで確認を行ってください。
金融機関
金融機関では、不動産売却後の資金運用やローンの返済について相談が可能です。売却後の残債の返済計画や、売却によって得た資金の効率的な運用方法などの相談に適しています。
相談する際は、見込みの売却益や現在のローン残高など、情報を集めておくと話がスムーズに進みます。相談先はローン支払いに利用している金融機関がベストです。金融機関によっては、売却に伴うローンの一部繰上げ返済の手数料が無料になるプランなども用意しています。
基本的に、住宅ローンを組んでいる金融機関への相談は無料です。別の金融機関でFP(ファイナンシャルプランナー)などに依頼する場合は、1時間5,000円程度の費用がかかります。
不動産売却の法律に困ったときの相談先
不動産売却の際には、正しい手続きを行うために法律の遵守は欠かせません。ここでは、法律関係の相談先を紹介します。
司法書士・法務局
司法書士へは、主に登記手続きや契約書の作成、法務局への申請などの代行を依頼できます。不動産売却の際に所有権移転登記・土地の権利変更がある場合は相談がおすすめです。所有権移転登記とは、不動産の所有権が移ったことを公示するために必要な手続きのことです。
また、抵当権(※)を抹消する手続きも依頼できます。司法書士へ依頼をする際は、日本司法書士会連合会「司法書士総合相談センター一覧」で該当地域を選択して検索してください。法務局では、これらの手続きを自分でやる際の方法について教えてくれます。
※抵当権……住宅ローンを組む際に債務者(金融機関)が対象の不動産を担保として返済が滞った際に優先的に弁済を受ける権利。ローンを完済していれば抹消できる。不動産に抵当権が設定されている場合は抹消しなければ売却できない。
司法書士へ相談をする場合は、初回は無料の場合も多く、2回目以降は1時間あたり3,000円〜5,000円程度です。実際に依頼した場合の費用は、内容によって異なります。事務所などによっても料金には差があるため、依頼をする前にホームページなどでも料金の比較をしておきましょう。
弁護士
弁護士は法律に関する専門家のため、不動産売却に関する法的問題全般を相談できます。とくに、契約違反や大きな法律トラブルが発生した場合は、相談をすることで法的なリスクを最小限に抑えることが可能です。たとえば、契約書の内容が不明確な場合や、相手方との交渉が必要な場合などで力を発揮します。
また、代理として相手方と交渉をしてくれるため、自身の精神的な負担を減らせるのもメリットです。不動産トラブルの事例が豊富な弁護士を探す際は、各弁護士事務所のHPなどをチェックしてください。
弁護士への相談費用は、初回の30分が5,000円~10,000円程度が相場です。しかし、相談内容により費用が大きく異なることを理解しておきましょう。費用は事前に支払う「着手金」と、依頼人が金銭や不動産を取得したら支払う「報酬金」などで構成されます。「報酬金」は取得した額の5%程度が目安です。また、初回の相談に限り無料で行うケースもあります。
特別な不動産の売却に困ったときの相談先

一般的な住宅やマンションではなく、空き家や農地など特別な不動産を売却する際は、専門家に相談をするのがおすすめです。ここでは、空き家の売却・農地の売却に関する相談先を紹介します。
自治体(空き家の売却)
空き家の売却に関しては、多くの自治体で専門窓口の設置や相談会を実施しています。相談会では、現状を把握し売却に向けた適切なアドバイスを受けることが可能です。また、空き家バンクなどで適切な価格設定や売却先の紹介を受けられることもあります。
空き家を放置しておくと固定資産税の軽減措置がなくなる可能性があるため、相談は速やかに行いましょう。問い合わせは、各自治体の「空き家相談窓口」への来所もしくは電話で行ってください。
自治体への相談は基本的に無料です。相談の後、実際に売却まで進むと民間の不動産会社への対応に移るケースが多く、その際には仲介手数料が発生するところもあります。詳細は、相談をする中で確認していきましょう。
行政書士(農地の売却)
農地の売却や転用には農地法の専門的な知識が必要な場面が多いため、行政書士に手続きを依頼するのがスムーズです。個人でも手続き自体は可能ですが、時間と手間がかかります。行政書士に依頼をすれば、必要な書類の作成や提出を代行しサポートを受けることが可能です。
また、買い手の選定や契約の締結においても、行政書士への相談がおすすめです。相談方法は日本行政書士会連合会「行政書士会員検索」を利用し、最寄りの行政書士事務所を調べてください。
行政書士への相談料は、初回は無料、2回目以降は30分で3,000円~5,000円程度といわれています。実際に依頼した場合、売却であれば5~11万円程度、転用に関しては11~15万円程度の費用が一般的です。
不動産売却の相談先・一覧表
ここまで紹介した不動産売却に関する相談先や連絡先などについて、改めて一覧でご紹介します。相談できる内容や相談費用を比較し、自分の相談内容に適する窓口を見つけましょう。
相談役 | 相談できること | 相談方法 | 相談費用 |
---|---|---|---|
不動産会社 |
物件の査定 売却のサポート |
HPのページからアクセス 店舗へ来店 |
査定、相談は無料 売却制約すると仲介手数料が発生する |
不動産鑑定士 | 不動産の評価額 | 日本不動産鑑定士協会連合会HP「会員検索」から検索 |
相談は無料もしくは30分5,000円程度 依頼をする際は、20~50万円程度 |
土地家屋調査士 |
不動産の物理的な境界や面積など 測量や登記に関する手続き |
土地家屋調査士会HPから検索 |
相談は無料もしくは1時間5,000円程度 正式な依頼をすると、調査や書類作成などで総額約22~31万円程度 |
国税庁電話相談センター | 不動産売却に伴う税金について | 国税相談専用ダイヤルに電話 | 通話料のみ |
税理士 |
個々のケースに応じた節税対策 確定申告の代行 |
日本税理士会連合会「税理士情報検索サイト位」から検索 | 相談は30分~1時間程度で5,000円~10,000円 |
金融機関 | 資金運用やローンの返済など | ローン支払いに利用している金融機関に依頼 |
相談は借り入れを行っている金融機関であれば無料 上記以外でFPに依頼をする場合は、1時間5,000円程度 |
弁護士 | 不動産売却に関する法的な問題全般 | 各弁護士事務所のHPから検索 |
相談は初回30分で5,000円~10,000円程度 正式に依頼する場合は着手金や報酬金が必要 |
司法書士 |
所有権移転 その他登記に関すること |
日本司法書士会連合会「司法書士総合相談センター一覧」から検索 | 相談は15,000円~20,000円程度(司法書士への報酬) |
自治体 | 空き家の売却 | 各自治体役所の「空家総合相談窓口」へ来所または電話 | 基本の相談は無料 |
行政書士 | 農地売却など | 日本行政書士会連合会「行政書士会員検索」から検索 |
相談は初回無料、2回目以降は30分で3,000円~5,000円程度 依頼をする場合は5~15万円程度 |
不動産の売却相談についてよくある質問
Q. 不動産の売却相談についてあまり人に知られたくないのですが。
A. 不動産の売却相談についてあまり人に知られたくない方も、通常、不動産会社などから外部に相談内容が漏れることはないため安心して相談できます。人に知られたくない際は、その旨を担当者に伝え個室で相談を行う、オンラインで相談を行うといった方法を活用していきましょう。
Q. 不動産売却の相談は売却するどれくらい前にしたらいい?
A. 不動産売却の相談は売却する約半年前に行うのが目安です。不動産の売却完了までには、不動産会社の選定、査定、購入希望者を探す作業、売買契約、引き渡しなどさまざまな手続きを行います。長い場合、1年以上かかるケースもあるため、余裕を持った売却計画を立てていきましょう。
Q. 不動産売却の相談に必要なものはある?
A. 不動産売却について相談する際に専門家から有益な回答を得るためには、土地の権利書、登記簿謄本、測量図、建物に関する図面などを用意することをおすすめします。初期の相談であれば、書類等がなくても問題はありませんが、より正確に話を進めるにはしっかり準備しておく必要があります。
不動産売却の相談は、内容にあった専門家へ依頼をしよう
不動産の売却にはさまざまな手続きが必要なため、その分野に精通した専門家へ相談をすることで有益な回答を得ることができます。何から手をつけていいかわからない場合は、まずは不動産会社へ相談を行い、そこから専門機関などを紹介してもらうといったやり方もおすすめです。相談する前に自分自身でも書類等をまとめておくことでスムーズに相談を進めましょう。
東京都の不動産購入・売却・売買の相談に関しては、住建ハウジングを利用するのがおすすめです。地域の市場動向や適正価格を把握した専門家から、有益なアドバイスを受けることができます。お問い合わせや詳細については、下記のリンク先から公式ホームページをご確認ください。不動産売却に関するさまざまな情報発信も行っています。
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投稿者プロフィール

- 監修者
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宅地建物取引士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士
1996年より大手不動産デベロッパー勤務。首都圏の新築マンション販売のプロジェクトマネージャーに従事。多くの物件の担当し、引き渡しまで一気通貫で経験。
その後ベンチャー系広告代理店にて不動産系クライアントのインターネット集客の支援を行う。
現在は広告代理業と併せ、老舗不動産会社として地域ニーズに合わせた事業を展開。20年以上にわたり住建ハウジングと共同でマーケティング活動を行う。