日本銀行は7月31日に開いた金融政策決定会合で、政策金利である短期金利の誘導目標を0~0.1%程度から0.25%程度へと引き上げることを決定しました。利上げはマイナス金利政策の解除を決めた3月の決定会合以来4か月ぶり。日銀は最近の経済・物価情勢を考慮し、「2%の物価安定目標」が実現する確度が高まっていると判断した模様です。この追加利上げにはいくつかの影響が考えられます。
政策金利引き上げによる様々な影響
預金金利:
普通預金や定期預金などの預金金利は上昇する可能性があります。預金金利が上昇すれば利息収入が増えるため、プラス面の影響と考えられます。
今回の利上げを受けて、早速、主要銀行が預金金利の引き上げを発表しました。
- 三菱UFJ銀行 0.02%→0.10%(9月2日から)
- 三井住友銀行 0.02%→0.10%(8月6日から)
- みずほ銀行 0.02%→0.10%(9月2日から)
これら大手銀行に追随して、横浜銀行やりそな銀行など他の銀行も、現在の5倍となる年0.10%に金利を引き上げると発表しています。
輸入品価格:
利上げが進むことによるプラス面としては、利上げが進むと日米金利差の縮小が意識され、為替が円高方向に振れれば、輸入に頼る食料品やガソリンの価格低下が期待されます。
住宅ローン金利:
マイナス面の影響として、住宅ローンの変動型金利は上昇する可能性があります。各行は日銀の短期金利を参考に変動型住宅ローンの基準金利を決めているため、住宅ローンの金利も上昇することが考えられます。
三菱UFJ銀行は、7月31日、日銀金融政策決定会合の結果と市場金利の上昇を受けて、短期プライムレート(短プラ)を、従来の1.475%から1.625%に引き上げると発表しました。短プラの引き上げは17年半ぶりで、適用は9月2日からとしています。
金利上昇はローン残高が多い若い世帯へ大きく影響し、住宅ローンの負担が増加する可能性があります。 新規金利の適用は9月からで、既に借り入れている分の変動金利に影響が出るのは、来年1月以降になると見られています。
企業の借入金利:
企業の借入金利も上昇すると考えられます。これは、銀行が利上げに伴い企業向けの融資金利を引き上げることがあるためです。金利上昇により、企業は資金調達が割高になり、設備投資や新規事業への投資を控える可能性があります。
金融政策が私たちの日常生活や経済全体に及ぼす影響に警戒
秋に向け、9月には自民党総裁選や11月のアメリカ大統領選挙など、日本の経済の行方も左右するイベントが待ち受けていますが、日銀は今後も経済状況に応じて利上げを継続する方針であり、これに伴う影響を注視する必要があるでしょう。