戸建ての購入で忘れがちなのが税金です。月々のローンや維持費とともに、毎年かならず固定資産税を支払わなければなりません。「いくら支払うのか」を知っておかないと、思わぬ出費で生活が苦しくなる恐れがあります。本記事では戸建ての税金がいくらかかるのかを解説し、計算方法や種類、控除について紹介します。
一戸建てを購入したときの税金について

一戸建てを購入した際、税金を支払わなければなりません。特に、かならず課せられるのが固定資産税です。ここでは固定資産税に関して以下の点を解説します。
固定資産税とは
固定資産税を支払う方法
固定資産税を支払う時期
固定資産税とは
固定資産税とは地方税の一つで、不動産などの固定資産に課せられる税金のことです。
土地や家屋などの不動産を購入した場合、基本的に毎年払い続けなければなりません。つまり、一戸建ての場合、土地と建物で両方の固定資産税を支払う必要があるのです。
固定資産税を支払う方法
固定資産税を支払う方法は以下のとおりです。
- 現金
- 口座振替
- クレジットカード
ただし、クレジットカードは自治体によって対応しているところ・していないところに分かれます。クレジットカードで支払いたい場合、事前に確認しましょう。
支払わなければいけないのは、1月1日時点にその土地と建物を所有している人です。途中で別の人に売った場合、元の持ち主と今の持ち主が分担して払います。支払額は、所有期間の割合で計算するのが一般的です。
固定資産税を支払う時期
固定資産税を支払う時期は毎年4月〜6月ごろです。一括もしくは6月・9月・12月・翌2月と年4回に分けて払うことができます。
支払い時期に関しては、下の記事をご覧ください。
一戸建ての税金はいくら?
一戸建てにかかる固定資産税は、年間で平均10〜15万円が相場です。
ただ、あくまでも目安に過ぎません。固定資産税額はさまざまな要素が絡み合って決まります。場合によっては2倍以上になる可能性もある一方で、半分以下になることもあります。「毎年10万円なら」と安易に考えないようにするのが大事です。
以下で税金を計算する方法について簡単に紹介するので、ぜひ参考にしてください。
一戸建ての税金を計算する方法
ここでは一戸建ての税金を計算する方法を紹介します。主な流れは以下のとおりです。
一戸建ての固定資産税評価額を確認する
税率を掛ける
建物の評価額を経年減価補正する
場合によっては軽減措置を適用させる
合わせて以下の記事もご覧ください。
一戸建ての固定資産税評価額を確認する
まず、一戸建ての固定資産税評価額を確認しましょう。固定資産税評価額の調べ方にはさまざまな方法があります。
- 中古の一戸建てを購入する場合:不動産会社経由で問い合わせ
- 新築の一戸建てを購入する場合:建設完了後の家屋調査を待つ
- 一戸建てを所有している場合:納税通知書か固定資産税評価証明書
上記の方法で調べられなかった場合、以下のように概算することも可能です。
- 土地:公示価格の約70%
- 建物:再建築価格の約60%
再建築価格とは、その建物を再度建てたときにどれくらいかかるかを算出した価格です。例えば、20年前に3,000万円で購入した建物があったとします。現在、その建物を購入しようとしたときに2,000万円かかるとしたら、建物の固定資産税評価額は1,200万円となります。
税率を掛ける
次に、税率を掛けましょう。税率は市区町村単位で自治体が個別に定めています。したがって、地域によって税率が異なる場合もあるので注意してください。正確に知りたい場合、自治体のホームページなどを参考にしましょう。
標準税率は1.4% です。上述した固定資産税評価額に1.4%を掛け合わせれば、暫定的な固定資産税がわかります。
建物の評価額を経年減価補正する
中古住宅の場合、建物の評価額に経年減価補正率を掛け合わせます。経年減価補正率とは、築年数によって建物の価格が減額するよう設定された補正値のことです。
例えば、木造建物で10年経っている場合、経年減価補正率は0.5です。 固定資産税が5万円だった場合、5万円×0.5で2.5万円となります。
場合によっては軽減措置を適用させる
最後に、軽減措置を適用させます。土地・建物、それぞれに対して、異なる特例措置があります。かならずしも知っておく必要はありませんが、覚えておきましょう。
土地の場合、住宅用地なら200㎡までの土地は評価額が1/6となり、200㎡を引いた残りの土地は1/3として計算されます。購入した家が新築だった場合、新築されてから3年間、家屋の税額が1/2になります。このように、土地と建物で特例措置が受けられるのです。
固定資産税が軽減される条件については下の記事でも詳しく解説しています。
一戸建ての税金をシミュレーション!
固定資産税について理解を深めるために、ここでは中古一戸建ての場合と新築一戸建ての場合にわけて、固定資産税を計算してみます。
今回計算する一戸建ては以下のとおりです。
中古一戸建ての場合
・土地:150㎡、2,000万
・建物:1,000万
・木造、10年経過
・住宅用地
土地 | 建物 | |
---|---|---|
固定資産税評価額 | 1,400万円 | 600万円 |
標準税率を掛けた固定資産税額 | 19.6万円 | 8.4万円 |
経年減価補正 | ― | 4.2万円 |
軽減措置 | 3.3万円 | 4.2万円 |
新築一戸建ての場合
・土地:150㎡、2,000万
・建物:2,000万
・木造、新築
・住宅用地
土地 | 建物 | |
---|---|---|
固定資産税評価額 | 1,400万円 | 1,200万円 |
標準税率を掛けた固定資産税額 | 19.6万円 | 16.8万円 |
経年減価補正 | ― | ― |
軽減措置 | 3.3万円 | 8.4万円 |
一戸建てとマンションの税金の違いとは
固定資産税はマンションのほうが高い傾向にあります。その理由は、軽減税率のメリットが少ないからです。
一戸建ての場合、土地の保有面積が広いため、土地に対する軽減税率が大きくなります。一方、マンションは敷地面積を戸数で割った分になるため、入居者一人当たりの土地面積が小さくなってしまうのです。
以上の点から、マンションのほうが固定資産税が高くなることが多いといえるでしょう。
一戸建てで発生するその他の税金やコスト
一戸建てを購入する際は、固定資産税以外にさまざまな税金やコストが生じます。
都市計画税
維持費・修繕費
ここではそれぞれ解説します。
都市計画税
都市計画税とは都市部にある市街化区域内の不動産所有者に対し、固定資産税に加えて別途かかる税金のことです。固定資産税と比べると、次のような特徴があります。
固定資産税 | 都市計画税 | |
---|---|---|
対象 | 1月1日時点で各市区町村の固定資産台帳に記されている土地や建物 | 都市計画法で定められた市街化区域内にあり、1月1日時点で各市区町村の固定資産台帳に記されている土地や建物 |
計算方法 (土地) |
課税標準額×1.4% ※住宅用地の場合、1戸につき200平方メートルまでは1/6で、それを超える家屋の床面積の10倍までの部分は1/3に軽減 |
課税標準額×0.3%(最高限度) ※住宅用地の場合、1戸につき200平方メートルまでは1/3、それを超える家屋の床面積の10倍までの部分は2/3に軽減 |
計算方法 (建物) |
課税標準額×1.4% ※新築住宅は、120平方メートルまでの部分について次の期間は税額の1/2が減額 3階以上のマンション等の耐火・準耐火建築物:5年 3階以上のマンション等の耐火・準耐火建築物:7年 |
課税標準額×0.3%(最高限度) |
※参考:知るぽると|住宅購入後の維持費
維持費・修繕費
維持費・修繕費もかかります。長年住み続けていると家も設備も老朽化するため、その都度修理が必要になるのです。
例えば、次のような修理が必要になることが多いです。
- 外壁や屋根の塗装
- シロアリ駆除
- キッチンやトイレなどの設備交換
- 畳の張り替え、など
長く住み続けるためには定期的なメンテナンスや修理が必要です。場合によっては、思わぬ出費が続く可能性もあります。
ほかにも、保険に入っている場合は毎月保険料を支払わなければなりません。詳しい一戸建ての維持費に関しては、下の記事をご覧ください。
一戸建ての税金に関して知っておくべきこと

一戸建てを購入する際、以下の2点はかならず頭に入れておきましょう。
軽減措置は申請しなければならない
税金の滞納はかならず避ける
軽減措置は申請しなければならない
固定資産税の軽減措置は、自動的に適用されるわけではありません。受けるには、市区町村役場に住宅用地等申告書を申請しなければならないのです。
申請には期限があります。例えば、新築を建てた場合は、建築した翌年の1月31日までです。申請期限を過ぎると軽減措置の特例を受けられなくなるため気を付けましょう。特に、土地は軽減措置の期限がないため申請漏れはかなりの痛手になります。
税金の滞納はかならず避ける
税金の滞納はかならず避けましょう。滞納にはさまざまなデメリットがあります。最悪のケースとして、家を差し押さえられてしまう恐れがあるので注意してください。
万が一、「払えないかもしれない」と感じたときは、地方自治体に連絡しましょう。分納や猶予などの制度を利用できる可能性があります。
税金の支払いがあることを忘れずに戸建て購入を目指そう
一戸建ての税金である固定資産税は、軽減措置があるものの毎年かならず徴収されます。一戸建てを購入する際は、本記事で紹介した方法であらかじめ「どれだけかかるのか」を計算しておきましょう。
「TOKYO@14区」を運営する住建ハウジングでは、一戸建ての物件を多数ご用意しています。立地や価格、新築か中古かなどご希望に合わせて物件を絞り込めるので、ぜひお気軽にご利用ください。
投稿者プロフィール

- 監修者
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宅地建物取引士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士
1996年より大手不動産デベロッパー勤務。首都圏の新築マンション販売のプロジェクトマネージャーに従事。多くの物件の担当し、引き渡しまで一気通貫で経験。
その後ベンチャー系広告代理店にて不動産系クライアントのインターネット集客の支援を行う。
現在は広告代理業と併せ、老舗不動産会社として地域ニーズに合わせた事業を展開。20年以上にわたり住建ハウジングと共同でマーケティング活動を行う。