「風水」や「家相」と聞くと、なんとなく「占い」みたいなものかなと思ってしまうかもしれません。しかし、実際は中国から伝わった「環境学」という学問のひとつであり、理論や根拠に基づいた科学的なものです。占いが未来を予言することに対して、風水や家相は、現状から問題点を見つけ、具体的な対応策を教えてくれます。
「風水」は衣・食・住の幅広い観点から運気向上をめざすものであり、扱う内容に幅があるため、家相に比べて様々な流派が存在しています。
一方、「家相」は方位と間取りの関係から運気向上を試みるものであり、家を建てる上での判断材料として使われます。
日本の「家相」は江戸時代に発達した日本独自のものであり、陰陽道や民俗信仰の影響を受けつつ、畳式の日本家屋に最適化されています。
家相の見方
必要な道具:「方位盤」または「家相方位盤(家相盤)」

- 1.家の中心「宅心」(家の四隅の対角線の交点)に方位盤を置く
- 2.「鬼門」と「裏鬼門」に何があるかをチェック
- 3.「正中線(せいちゅうせん)」と「四隅線(しぐうせん)」上をチェック
- 4.家の中心をチェック
- 5.「張り」と「欠け」をチェック
・実際に置けない場合は間取り図を使用する。
・複雑な形の家の場合は、平面図を厚紙に起こし、バランスの取れる重心を宅心とする。
・鬼門は家の中心から北東の方角(十二支では丑寅(うしとら))
・裏鬼門は家の中心から南西の方角(十二支では未申(ひつじさる))
・玄関、水回り(キッチン、トイレ等)→運気が下がる
・鬼門の方角の壁の出っ張りまたは欠け→家族間トラブル
・寝室や書斎はあっても問題ない
四隅線:家の中心から南西-北東・南東-北西に引いた線
正中線の4方向には玄武・青龍・朱雀・白虎の四神が居て、四隅線の4方向には鬼門、風門、人門、天門の4つの門があり、共に神聖な場所と考えられていて、これらの線上には強い気が溜まります。
・建物の「欠け(一辺の長さの1/3までの長さの凹)」
・水回り(トイレやお風呂等)→不浄の気が強められる
・玄関
・水回り(トイレやお風呂等)→不浄の気が強まる
・階段(中央に上下する穴(欠け))→運気の乱れ、家庭内トラブル
「張り」:一辺の長さの1/3までの長さの凸 → 基本は吉兆
「欠け」:一辺の長さの1/3までの長さの凹 → 基本は凶兆
家の場所ごとのポイント
玄関
家の顔となる重要な場所
鬼門・裏鬼門に配置しない。
正中線・四隅線に配置しない。
家族の十二支方位を避ける。
「欠け」は凶相だが「張り」は吉相。
大きい方が吉。特に商売人の場合。
門は玄関真正面より左右にずらすのが良い。
キッチン
火と水を扱う重要な場所
鬼門・裏鬼門に配置しない。
東か東南に配置するのが良い。
エネルギーが衰退していく西は食事場として不適。
寒くなる北も避けた方が良い。
清潔を保ち換気をする。
寝室
休息をとるための大事な空間
人通りの多い道路に面した場所は不適。
キッチンや玄関側も適さない。
汚れた空気は上階に向かうため1階が望ましい。
北枕は健康に良い。
寝室の方角による違い
- 北の寝室は夫婦の結びつきを日々アップさせる。堅実な家庭を作る運気だが外部の交際ではマイナス。
- 北西の寝室は夫婦円満に関して吉方位。特に主人の主寝室としてベスト。
- 西の寝室は太陽が沈む方位でリラックスできる方位。休息と睡眠がしっかりとれる。
- 南西の寝室は主婦に対して吉方位のため、母親の主寝室としてベスト。
- 東の寝室は太陽のエネルギーを受けやすく、生命感を感じ取れる方位。子宝に恵まれるため若い夫婦に最適。ビジネスへのモチベーションもアップさせる。逆に中高年夫婦にはストレスや疲労が溜まるため不適。
- 南東の寝室は運気において最も寝室に向いた方位。物事の調和について象徴しているため、明るいエネルギーを受け取りやすく、健全な夫婦関係を作ることができる。
- 北東の寝室は鬼門の方位だが特に悪影響はない。逆境に強い夫婦関係を築けられるなど、人生の困難に諦めない強い気持ちが育つ。
- 南の寝室は熱気がこもり、強いエネルギーが溜まるため唯一寝室に適さない方位。明るく積極的な夫婦関係を作ることができる反面、生活が派手になる傾向があり体が休まらない。
リビング
人の集まる重要な場所
運気が下がるので散らかさないよう収納スペースを設ける。
北(日当たり悪い)、西(西日で落ち着かない)は避ける。
東や東南(日当たりが良く、太陽エネルギーも大)が良い。
新鮮な空気が入りやすいよう大きな窓があると良い。
家相上「火」となる薪ストーブや暖炉は凶相。
吹き抜けは「欠け」要素のため、大きすぎるのは凶。
トイレ
最重要ポイントのひとつ。基本凶相。
鬼門・裏鬼門に配置しない。北も避けたい。→凶相が強まるため
鬼門と裏鬼門を結ぶ線上
中央(太極)は鬼門線上よりよくない。
東か東南が望ましい。
換気が重要→臭いや湿気対策
汚水管は最短で外に出す
お風呂
最重要ポイントのひとつ。1日の汚れを落とす場所。
鬼門・裏鬼門には配置しない。
鬼門と裏鬼門を結ぶ線上。
中央(太極)は鬼門線上よりよくない。
南(火の象意がある)と北西(湿気が残る)は避けた方が良い。
排水溝の掃除や換気が重要→カビや湿気対策。
階段
中央にあると大凶相。
中央から半径2mの範囲外なら基本どこでも良い。
水回りや玄関に適さない北東がおすすめ。
玄関にそのまま到達する階段も凶相。
方位によっては階段下にトイレを設置しても良い。
窓
東にあると良い(太陽は東から昇ため)。
北(冷たい風が入る)と西(西日で部屋が暑くなる)は良くない。
家相の注意点
家は増改築やリフォームにより家相が変わる場合があります。四隅が変わると中心も変わり鬼門・裏鬼門といった凶の方位もずれるためです。よって、増改築やリフォームをする場合は、改めて家相の確認をした方が良いでしょう。
こだわり過ぎず上手に活用
家相の内容から、快適な住環境は心や体に良い影響を与え、そのことから運気が上がると考えられます。確かに、ストレスもなく体も健康であるならば、私生活だけでなく仕事や学業なども上手くいくような気がします。
ただし、電気も無かった頃の家とは違い、ライフラインが整って、住宅品質も高い現代の家で「家相」を利用する場合は、昔の言い伝えをそのまま実行してしまうと逆に住みづらくなることも考えられます。「家相」を利用してより良い家づくりをするためには、あまり内容にこだわりすぎず、現代の住環境に照らし合わせて解釈し直すことも必要です。