住宅購入時の親から支援の平均額はどのくらいなのでしょうか。この記事では、支援の平均額に加えて、贈与税がかかるケースや贈与税が控除される特例についても詳しく解説します。住宅購入を検討していて、親からの支援を受けようと考えている方は参考にしてみてください。
住宅購入時に親からの支援額はいくら?平均額と贈与を受けた人の割合
住宅購入時に親からの支援額はどのくらいなのでしょうか。支援の平均額や支援を受けた人の割合を詳しく見ていきましょう。
親からもらう住宅購入支援金の平均額は、新築で998万円
一般社団法人不動産流通経営協会のデータによると、親からの住宅支援金は新築で「998万円」、中古で「662万円」です。
都市部では物価や住宅価格が高いため、支援金が高額になる傾向があり、支援金の額は家庭の経済状況や地域、親の資産状況、子どもの収入によっても異なります。
データ出典:一般社団法人不動産流通経営協会「不動産流通業に関する消費者動向調査(2022年度)」
親から支援を受けた世帯の割合は14.2%
一般社団法人不動産流通経営協会のデータによると、親からの支援を受けた世帯の割合は、住宅購入者全体の14.2%と少ない傾向にあります。
祖父母から支援を受けた世帯の割合は、住宅購入者全体の2~3%程度で、その他の親族から支援を受けている割合は1%以下です。
そのため、住宅購入時に支援を受ける世帯の割合は、全体の2割以下(5人に1人)と少ないことがわかります。
データ出典:一般社団法人不動産流通経営協会「不動産流通業に関する消費者動向調査(2022年度)」
年代別の受贈率
| 年代 | 受贈率 |
|---|---|
|
29歳以下 |
8.9% |
|
30~34歳 |
23.8% |
|
35~39歳 |
21.1% |
|
40~44歳 |
13.7% |
|
45~49歳 |
9.6% |
|
50歳以上 |
4.8% |
出典:一般社団法人不動産流通経営協会「不動産流通業に関する消費者動向調査(2022年度)」をもとに作成
住宅購入で親からの支援を受ける年代としては、30代が最も多くなっています。これは、結婚や子どもの誕生などのライフイベントをきっかけとし、30代以降に住宅購入を検討する人が多いため、支援を受ける世帯も多くなっていると推測できます。
一方、40代で支援を受ける世帯は30代の割合の半分程度です。40代で住宅購入を決めた場合や、自己資金で購入可能な場合があることが背景として考えられるでしょう。
住宅購入で親から贈与を受けたら贈与税を払う
住宅購入で親から一定額以上の贈与を受けたら贈与税を支払わなければなりません。贈与税とは、親から子どもに財産を無償で譲渡した際にかかる税金です。年間110万円以上の財産を受け取った場合には、受贈者が贈与税を納めます。
住宅購入時の支援で親から資金を受け取った場合も、贈与税の対象となります。なお、贈与税は税制改正によって変更される可能性があるため、最新の情報を確認することが大切です。国税庁のホームページなどの信頼できる情報源で確認しましょう。
贈与税が控除される2つの特例
一定の条件を満たすことで「住宅取得等資金の非課税」と「相続時精算課税選択」が適用されます。この2つの特例は併用することができ、税負担が軽減されるでしょう。
なお、特例を利用するためには、決められた期限内に申告を行う必要があります。
住宅取得資金の非課税
父母や祖父母などの直系尊属から住宅購入における資金の贈与を受けたとき、一定の条件を満たすことで、非課税枠限度額までの贈与税が非課税になります。限度額は購入する住宅によって異なり、省エネ等住宅が「1,000万円」、その他の住宅は「500万円」です。
非課税枠の金額は年度によって異なるため、最新情報を確認する必要があります。信頼できる情報源で確認したり、専門家へ相談したりして正確な情報を入手しましょう。
- 贈与者が直系尊属(父母や祖父母)
- 贈与の目的が自己の居住用住宅の新築や取得、増改築
- 受贈者が18歳以上
非課税制度を受けるためには、決められた期限内に贈与税の申告書に加えて、以下の必要書類を税務署に提出しましょう。
申請に必要な必要書類
- 戸籍謄本あるいは抄本
- 源泉徴収票など(合計取得金額を明らかにする書類)
- 新築や取得の契約書の写し
- 登記事項証明書
- 省エネ等住宅の場合は「住宅性能証明書」
相続時精算課税の特例
相続時精算課税は、令和8年12月31日までの住宅購入における資金の贈与に対して、贈与者が60歳未満であっても2,500万円までの贈与に特別控除が認められる制度です。
通常の相続時精算課税では、贈与者が60歳以上の直系尊属であることが適用条件なのですが、住宅購入の支援のための贈与であれば、贈与者の年齢制限がなくなります。
- 贈与者が直系尊属(父母や祖父母)
- 受贈者が18歳以上の直系卑属(子や孫など)
- 贈与された金銭の全部を住宅取得や増改築の費用に充てる
- 贈与を受けた年の翌年3月15日までに購入した住宅に居住する
- 2,500万円を超える贈与に対しては、一律で20%の贈与税が発生する
- 制度を利用するには、贈与税の申告期間内に「相続時精算課税選択届出書」を提出する
- 非課税になった贈与額については、相続発生時に相続税を支払う
贈与税の申告をしなかった場合どうなる?申告漏れがバレる理由とペナルティについて
もし贈与税の申告漏れが発覚した場合、どのようなリスクが待ち受けているのでしょうか。ここでは、贈与税の申告漏れがバレる理由やペナルティの内容について詳しく見ていきましょう。
申告漏れはなぜばれるのか
現金を手渡しすればバレないと考える方もいるかもしれませんが、手渡しでも税務署に発覚する可能性は高いです。主な理由としては、不動産登記や相続税調査による発覚が挙げられます。
税務署の調査能力は非常に高いため、バレないと思っていても資金の出所や流れを詳細に調べられて発覚する可能性があります。
- 不動産登記による発覚:税務署が登記情報にアクセスして住宅購入が発覚し、資金の出所が調査される
- 相続税調査による発覚:被相続人の資産や資金移動が調べられて支援金の出金がバレる
贈与税を申告しなかった時のペナルティ
贈与税を申告しなかった場合、本来の納税額に加えて「無申告加算税」や「延滞税」、「重加算税」などのペナルティが課されます。特に、意図的に税金を逃れようとして隠蔽などをした場合には、悪質と判断され、より厳しいペナルティとして「重加算税」を支払わなければなりません。
- 無申告加算税:10%(50万円を超える部分には5%加算)
- 過少申告加算税:15%(50万円を超える部分には5%加算)
- 延滞税:7.3%or特例基準割合+1%の低い方
- 重加算税:35% or 40%
親からの住宅購入支援で失敗しないためのポイント
親からの住宅購入支援で失敗しないために大切なのは、支援を受ける前にしっかりと話し合いを重ねることです。これから親から支援を受けようと考えている方は、ぜひこのポイントを押さえましょう。
親に具体的な金額と理由を説明する
支援額に関して、親に希望金額と、なぜその金額が必要なのかを具体的に説明することが大切です。金銭的な援助を頼む際は、負担をかけないような配慮の姿勢を示すことで、納得してもらいやすくなるでしょう。
支援してもらえることになった場合は、きちんと感謝の気持ちを伝えてください。もし支援を断られた場合も感情的にならず、ほかの資金調達方法を考えましょう。
支援を受ける際は契約書を作る
親からの住宅支援は口約束でも成立しますが、不要なトラブルを避けるためにも契約書を作成しましょう。契約書は「贈与が行われたことを証明する」重要な書類であり、税務署から調査が入った場合にも贈与の事実を裏付ける証拠となります。
さらに、契約書があることで、贈与の内容や金額についての誤解や争いを未然に防ぐことができ、双方にとって安心です。作成する契約書には、次の内容を記載しましょう。
- 贈与者の氏名/住所
- 受贈者の氏名/住所
- 贈与の契約提携日と実際の贈与日
- 贈与の内容や金額
- 贈与の方法
親からの住宅購入の支援に関するよくある質問
Q. 非課税特例以上の支援を受けたいのですが、贈与税がかからない方法はある?
A.
贈与税の基礎控除(年間110万円)を活用し、毎年110万円ずつ贈与を受ければ、特例以上の支援を受けながら贈与税を回避することができます。
ただし、毎年同額の贈与を受け取っていると「定期贈与」とみなされる場合があり、贈与税が発生することがあります。贈与ごとに契約書を作成したり、贈与する金額や日付を工夫したりするなどして、単独の贈与であることの証明が必要です。
Q. 支援を受けた後に不足分を住宅ローンで購入する流れは?
A.
親からの支援を受けることで自己資金が増え、金融機関からの借入額を減らせます。支援を受けた後は、まず金融機関や不動産会社の担当者に住宅ローンについて相談し、事前審査を受けて借入可能額や条件を確認します。
その後、本審査に通過すれば住宅ローンを組むことが可能です。事前審査を通過しておけば、本審査もスムーズに進みやすくなります。
住宅購入で親から支援を受ける時はルールの確認が重要
住宅購入における親からの支援の平均額や、贈与を受けた人の割合を紹介しました。親から支援を受ける割合は全体の2割以下と少ないですが、贈与税の基礎控除である110万円を超えて支援を受けるケースもあるため、贈与税のルールや特例の内容について把握しておくことが重要です。贈与税の負担を軽くしたい方は、専門家に相談しましょう。
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投稿者プロフィール
- 監修者
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宅地建物取引士、管理業務主任者、賃貸不動産経営管理士
1996年より大手不動産デベロッパー勤務。首都圏の新築マンション販売のプロジェクトマネージャーに従事。多くの物件の担当し、引き渡しまで一気通貫で経験。
その後ベンチャー系広告代理店にて不動産系クライアントのインターネット集客の支援を行う。
現在は広告代理業と併せ、老舗不動産会社として地域ニーズに合わせた事業を展開。20年以上にわたり住建ハウジングと共同でマーケティング活動を行う。














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