マンションでペットと一緒に暮らす上で注意すべきポイントとは?

ペットの存在は飼い主にとっては家族同然。けれども、残念ながら近隣の人にとっては必ずしもそうとは限りません。国土交通省の調査によると、マンションで起こる近隣とのトラブルの中でペットトラブルは騒音や駐車違反についで第3位となっています。また一戸建て住宅でも、ペットの鳴き声や臭いなどから近所ともめ事になるケースが多く発生しているのです。ペットとのより快適な暮らしを楽しむためにも、今回はペットと暮らす家としてのマンションと一戸建てそれぞれについて注意すべきポイントを紹介します。

マンションでのペット飼育はペットを飼わない人への配慮が鍵

ペット不可の物件でこっそりペットを飼っていた場合、近所とのトラブルが発生してしまうのは想像に難くありません。けれども実際には、規約でペットの飼育がOKになっている物件や、規約でOKになっている上にさらに飼育施設がそろっているマンションであってもペットのトラブルは多数発生しています。なぜこのようなことが起きてしまうのでしょうか。

トラブルの原因に注目してみると、最も多いのはペットの鳴き声や部屋を走り回る音による騒音です。このほかふん尿などによる共用部分やベランダの臭気、毛や泥などによる共用部分の汚れなどもトラブルのもとになっています。これらは一見飼い主のモラルの問題にも思えるのですが、すべての件に共通するのは「どこまでならOKなのか」についての明確な基準がないという点です。どれぐらいの音から騒音になるのか、どのぐらいの汚れだと人に不快感を与えるのかは個人の主観の問題で、その判断は一人ひとりで違います。同じ音でも「ペット可物件だから堂々と飼っても大丈夫。これぐらいは当然」と考える飼い主と、そのようには思わない隣人との意識の違いがトラブルにつながることが多いのです。

ファミリー向けのマンションでも子どもがいる家庭といない家庭があるのと同じように、ペット可物件といってもペットを飼う人もいれば飼わない人もいます。また動物に対する感覚も人それぞれなので、必ずしもマンションの住人全員が動物好きというわけでもありません。そこで、マンションでペットを飼育するには「ペット可物件なのだからこれぐらいは当たり前」だと考えるのではなく、自分とは異なる考え方を持つ人にも配慮することが何よりも重要なポイントになります。

具体的には、家の中では大声でほえないようにしっかりしつけをする、ペットの足音が階下に響かないように床にカーペットを敷くなどの対策をとる、エレベーターに乗り合わせたときなどには「犬を乗せてもいいですか?」と一言断るなどの対応で、ほかの居住者への配慮を示すのがよいでしょう。もちろんベランダの配水管にペットのふん尿を流さないなどの最低限のマナーや、専用施設などを利用する際には施設内でのペットの飼育に関する規則を守ることも大切です。マンションは異なる価値観を持った人たちが集まった集合住宅であるということを忘れなければ、大きなトラブルもなく快適な生活を送ることができるでしょう。

戸建て住宅でも防音と臭いの対策を忘れずに

マンションと違って隣家まで十分な距離があり共有部分も気にしなくていい戸建て住宅は、ペットを飼うのには最適な環境にも思えます。しかし、隣戸と接するために最初から間の壁を厚くするなどの防音対策が取られているマンションに対し、戸建て住宅には普通、防音などの設備はありません。ペットが庭やバルコニーに出る機会も多いため、思いのほか遠くまで鳴き声が響いてしまうこともあり、たとえ家の中で飼っていたとしても、やはり騒音や臭いでご近所とトラブルになってしまう場合もあります。

これらはどうやって防げばよいのでしょうか。騒音対策としてまず大事なのは、マンションの場合と同じく無駄にほえたりしないようにきちんとしつけをすることです。室内でできる対策としては、できれば天井や床に吸音性の素材を使うのが理想的ですが、防音カーテンなどを設置するだけでも効果があります。臭いの方は、多くの場合問題になるのはふん尿なのでこれを上手く処理することが大切です。トイレのしつけをしっかりとして庭で排泄をさせないようにするのも効果的です。土にどうしても臭いが残ってしまう場合は、アンモニアを中和してくれる酸性の土をまいてみるのもおすすめできる方法です。

このほか、戸建てはマンションと違って管理組合などの組織がないのでトラブルが発生してしまった場合の調停機関がなく、当事者同士の言い争いに発展しやすいというのも知っておきたいポイントです。また周辺にペットを飼っている人が多い地域では、その地域独自のペットの飼育ルールがある場合もあります。日頃から町内会などの地域コミュニティに参加し、地域の人々とそこのルールに親しんでおけば、万が一トラブルが起きた場合でも相談することができるので安心です。

事前の情報収集でペットと快適に暮らせる家を見つけましょう

ペットと暮らすには周囲への配慮は欠かせませんが、あまりにも周りを気にしすぎて窮屈な生活を送るようになってしまうのは本末転倒です。マンションの規則や戸建て住宅のある町内会の環境、周辺に住んでいるのはどんな人たちなのかなど、住み始めてからでは変えられない要素も多いので、これはという物件が見つかったら事前にできるだけ情報を集めてみるのがよいでしょう。そして近所とのトラブルを未然に防ぎ、快適なペットとの暮らしを楽しみましょう。