マンションや一戸建てを購入すると「固定資産税」がかかりますよね。でも具体的にどれくらいかかるのか?また支払う時期や、そもそもどうやって支払うのかについてしっかり理解できているでしょうか?ここでは、マンションの固定資産税について詳しく説明していきます。購入後に焦ってしまった!なんてことのないよう、しっかりと理解しておきましょう。
マンションの固定資産税とは
マンション購入後、毎年払い続けなればならない税金である固定資産税。固定資産税は日本全国に所在する土地、家屋及び償却資産に対して課税される税金です。
マンションを購入した場合にも戸建などと同様に、土地(敷地権ないし敷地利用権)及び建物(専用部分)で構成されるため、土地と建物の両方に対して固定資産税が課税されることとなります。
後ほど計算例にも出てきますが、住宅取得を促進するといった住宅政策に資する見地等から、土地・建物それぞれにつき固定資産税の税負担を大幅に軽減する特例措置も設けられています。
固定資産税と併せて払う都市計画税
市街化区域内では、固定資産税とともに都市計画税を合わせて払う必要があります。都市計画税とは、都市整備等の費用に充てることを目的として導入された税金で、固定資産税同様に毎年1月1日(賦課期日)現在の、固定資産課税台帳に登録されている者に課税されます。
税額は土地、家屋とも「課税標準×0.3%」で計算されますが、課税標準は固定資産税と同じものが用いられ、税率は0.3%を超えることはできません。都市計画税についても住宅用地については課税標準を減額する特例がありますので、後ほどご説明します。
【購入価格別】マンションの固定資産税の目安シミュレーション
東京でマンションを購入した際の固定資産税と都市計画税のシミュレーションをまとめました。
固定資産税は、売買価格(実勢価格)そのものではなく、自治体が決定する「固定資産税評価額」に基づいて計算されます。今回は、目安として分かりやすいよう、以下のシンプルな条件で試算しています。
シミュレーションの前提条件
- 評価額の目安:販売価格の約70%(建物と土地の合計)と仮定。
- 建物と土地の比率:建物70%、土地30%と仮定。
- 税率:固定資産税1.4%、都市計画税0.3%(東京都の標準税率)
- 軽減措置:<新築軽減>建物の固定資産税を当初5年間、半分に減額(一般の認定長期優良住宅等ではない新築マンションを想定)。
- 小規模住宅用地の特例:土地の固定資産税を1/6、都市計画税を1/3に軽減。
マンション価格別:年間税額のシミュレーション比較
新築で購入した場合の、当初5年間(軽減あり)と6年目以降(軽減終了後)の概算比較です。
| マンション購入価格 | 評価額の合計(目安) | 当初5年間の年額(軽減あり) | 6年目以降の年額(目安) |
|---|---|---|---|
| 4,000万円 | 約2,800万円 | 約22万円 | 約36万円 |
| 8,000万円 | 約5,600万円 | 約45万円 | 約72万円 |
| 1億2,000万円 | 約8,400万円 | 約67万円 | 約108万円 |
| 2億円 | 約1億4,000万円 | 約112万円 | 約180万円 |
計算の内訳イメージ(例:8,000万円の場合)
1.評価額の算出
- 全体:8,000万円×70%=5,600万円
- 建物部分(70%):3,920万円
- 土地部分(30%):1,680万円
2.固定資産税(年額)
- 建物:3,920万円×1.4%×1/2(軽減)=27.4万円
- 土地:1,680万円×1/6(特例)×1.4%=3.9万円
3.都市計画税(年額)
- 建物:3,920万円×0.3%=11.7万円
- 土地:1,680万円×1/3(特例)×0.3%=1.6万円
4.合計(当初5年間)
- 27.4+3.9+11.7+1.6=44.6万円
- タワーマンションの場合:2017年以降に販売された高さ60m超のタワマンは、階層が高いほど税額が上がるよう補正されます(上記は中層階をイメージした平均的な計算です)。
- 中古マンションの場合:建物の減価償却が進んでいるため、建物評価額は新築より安くなりますが、新築軽減措置(5年間の半額)は適用されないことが一般的です。
- 土地の評価が高いエリア:東京23区内など、土地の評価額が建物比率を上回るエリアでは、土地にかかる税負担が上記より増える可能性があります。
あくまで概算ですので、実際の納税通知書では数万円単位で前後することがあります。
実際いくらかかる?固定資産税の計算方法
それではここから、皆さんがマンションを購入された際にどの程度の固定資産税がかかるのか、数値例を示しながらご説明していきたいと思います。
基本的な計算方法
まずおさらいになりますが、固定資産税は以下の計算式で算出されます。
※固定資産税の詳しい計算の仕方についてはこちらをご参考ください。
数値例を用いて試算すると、以下のようになります。
計算例
前提
土地:評価額 1,800万円、200㎡以下、全て住居用
建物:評価額 4,200万円、床面積合計120㎡、全て居住用
固定資産税
土地:1,800万円×1/6×1.4%=42,000円
建物:4,200万円×1.4%×1/2=294,000円
都市計画税
土地:1,800万円×1/3×0.3%=18,000円
建物:4,200万円×0.3%=126,000円
合計 480,000円
課税標準額とは、1月1日現在において固定資産課税台帳に登録された価格であり、住宅の場合は「土地」と「家屋」に分けて考えます。
それぞれの説明についても過去の記事にて説明していますので、是非ご覧ください。
課税標準額は一定のルールや考え方に従って算出された評価額になるため、マンションを購入した際の購入金額とは一致せず、分かりにくい部分があるかもしれません。
さらにマンションに絞って説明しますと、土地は皆さんがお住いの専有部分ではなく、マンションの敷地全体の面積を居住用住戸の数で割った面積が対象となります。
また家屋については、1棟全体の税額を算定したうえで、床面積の割合に応じて各戸の税額を算出していますので、この点も計算にあたっては注意が必要になります。(平成29年度の税制改正で高層マンションについては階層別に補正が行われるようになりましたので、過去の記事をご参照ください)
マンション固定資産税には軽減措置がある?
マンションも含め、固定資産税及び都市計画税には、税負担を大幅に軽減できる特例措置が設けられていますので、主なものをご説明します。
土地への減税
住宅用地の特例措置を適用すると、課税標準は以下のように算出されます。
| 住宅用地の区分 |
固定資産税 |
都市計画税 |
|
小規模住宅用地 |
課税標準×1/6 |
課税標準×1/3 |
|
一般住宅用地 |
課税標準×1/3 |
課税標準×2/3 |
都市計画税についても固定資産税の半分の割合ですが、同様の特例措置が設けられています。
マンションの場合には、敷地全体の面積を居住用住戸の数で割った面積を用いますので、ほとんどの場合で小規模住宅用地に該当します。
建物への減税
特例の期限(令和8年時点では令和13年3月31日)までに新築された住宅が床面積要件を満たす場合には、固定資産税額が3年間1/2に減額されます。マンションなど耐火性の高い3階建ての建物であれば中高層耐火建築物として適用年数が5年間となり、さらに建物が自治体から認定長期優良住宅としても認められた場合には、減税措置の適用年数が7年間に伸びます。
なお、マンションの場合、床面積要件は「居住用の専有部分の床面積」と「共用部分の床面積を各戸の専有部分の床面積により按分した床面積」の合計が50~280㎡であることが求められます。
土地と異なり、建物については都市計画税の軽減は原則としてありません。ただし、自治体によっては条例により特別に軽減の特例を設けている場合があります。
土地、建物に共通しますが、これらの軽減の特例は特段納税者が申請を行わなくても、各自治体がこの手続きをとってくれます。
固定資産税の支払時期はいつ?方法は?
ここからは固定資産税を支払うタイミングと方法について説明していきたいと思います。
支払時期
固定資産税の支払時期は、ほとんどの自治体で4期に分割して納期を定めています。東京都の令和3年度を例にしますと、納期限は第1期が6月30日、第2期が9月30日、第3期が12月27日、第4期が2月28日となっており、納付の際に使用する納税通知書は令和3年6月1日に発送されています。納税通知書は納期限の10日前までには送らなければならないこととなっているため、期限が近くなってもお手元に納税通知書が届かない場合には自治体に問い合わせた方がいいでしょう。
納税は納期限ごとに4回に分けて納める以外に、納税額は変わりませんが4期分を一括して納めることも可能です。
なお、固定資産税は1月1日時点での所有者にかかる税金ですので、新築で1月2日以降に購入した場合は、購入年度の固定資産税はかからないこととなります。
支払方法
固定資産税を含めた都税の納付方法については、東京都主税局のHPに具体的な説明がありますので、そちらをご参照ください。
参照先:https://www.tax.metro.tokyo.jp/common/tozei_nouzei.html
(出典:東京都主税局)
金融機関やコンビニエンスストアでの支払いの他に、クレジットカードでの支払い、口座振替等、大きく5種類の支払方法がありいます。
領収書発行の有無、手数料の有無などありますので、上の表や自治体のHPで確認されることをお勧めします。
年の途中で不動産の売買があった場合
これまでも何度か出てきましたが、固定資産税は1月1日時点の所有者が対象となるため、1月2日以降に取得した新築物件に係る固定資産税は取得した年度では課税されません。
一方、中古物件を年の途中で売買した場合には、1月1日時点の所有者である売手に1年分の固定資産税が課されることになります。このような場合は、実務上、売手に課された固定資産税は売買期日を基に期間按分して、買手から売手に対して、買手が負担すべき金額(固定資産税精算額)を支払うことが通例となっています。
この固定資産税精算額は売手の譲渡所得の計算上、収入金額に加算する必要がありますので、不動産を売却した年度の確定申告の際には注意が必要です。
まとめ
前半は固定資産税をマンションに絞って説明しました。基本的な考え方は変わりませんが、土地と建物の割合、耐用年数、高層階と低層階など、マンションの特性が固定資産税にも現れるため、マンションを購入される際の要素の一つとして考慮されてはいかがでしょうか。
後半は支払時期、支払方法についてでしたが、固定資産税は地方税ですので自治体ごとの違いが多く存在します。まずは該当する自治体の情報をご自身で把握し、ご自身に合った方法で納税されることをお勧めします。
投稿者プロフィール
- 監修者
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YAC税理士法人
平成16年一橋大学商学部経営学科卒業後、平成22年に公認会計士登録。平成27年にはYAC税理士法人仙台事務所に入所し、平成27年、税理士への登録を行う。現在は『富樫研輔公認会計士事務所』を開設しており、同時に『YAC公認会計士共同事務所』の代表公認会計士として活躍中。















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