明治の空気を残した街「西片」
西片(にしかた)はもともとは武家地であり、明治に備後福山藩主阿部家の中屋敷を高級住宅地として開発しました。
東京大学近くにあり、多数の学者や文化人が住んだ、明治の空気を残した街です。
「にごりえ」「たけくらべ」といった小説を残した近代以降初の職業女流作家である樋口一葉は、24歳で亡くなるまでこの地に住みました。
西片の地理
西片は東京都文京区、西片1丁目と西片2丁目に広がる地区です。
丸山台という高さ20mほどの台地上に位置しており、古くから住宅地として知られています。
江戸時代には福山藩阿部家の武家屋敷が広がり、明治から昭和初期にかけて阿部家みずからが周辺を開発したことで高級住宅地が形成されます。
明治時代には前述の樋口一葉の他にも、夏目漱石や坪内逍遙など多くの文化人たちに愛されました。
「西片」という地名が登場するのも明治時代です。
明治5年(1872年)に本郷通りの東側を東片町、西側を西片町と呼ぶようになり、これが西片という地名の始まりだといわれています。
西片の特徴
西片は関東大震災や第2次世界大戦の被害を免れたため、現在も明治時代の雰囲気を残した地域です。
樋口一葉ゆかりの「旧伊勢屋質店」や「樋口一葉旧居跡」、国の登録有形文化財建造物に登録された旅館「鳳めい館(ほうめいかん)」など、歴史的建造物が残っています。
エリアの東側には東京大学の本郷キャンパスがあります。
大学の設立に際して、多くの学者や文化人たちが西片に移り住んだため、「学者街」や「文教の街」と呼ばれることもあります。
「文京ふるさと歴史館」は、そんな西片の文化や歴史に触れられる文化施設です。
そのほかにも街の至るところに歌碑や旧居跡が見つかり、文化度の高さを感じさせます。
閑静な住宅地が広がり、高級物件が多くなるのは西片2丁目付近です。
マンションが少ない代わりに広大な土地をもつ邸宅が建ち並んでいます。
2丁目には2015年度で開校140年を迎えた「文京区立誠之小学校」があり、人気の公立校として知られています。
西片の立地・魅力
西片エリアに駅はありませんが、徒歩圏内の駅として都営地下鉄三田線・同大江戸線の春日駅と、東京メトロ南北線の東大前駅があります。
2駅3路線が利用できることで、六本木、新宿、永田町、目黒など都内の主要都市へスムーズなアクセスが可能です。
西片の洗練された雰囲気は今も人々をひきつけてやみません。多数の文化人に愛された文教地区で不動産を探してみるもよいかもしれません。
谷口ジロー『坊ちゃん時代』を見直す。
やはり、このシーンのもとは、この菊坂下の樋口一葉旧居では無いだろうか?
なお、一葉先生は菊坂から下谷竜泉町(現 台東区竜泉)に転居し、最後は本郷丸山福山町(現 文京区西片)で亡くなっている。 pic.twitter.com/yiY7v0F1xz— 雨男 (@meiro_kaikei) May 15, 2016