番町(ばんちょう)エリア・憧れだけじゃない高級住宅地の素顔

番町

番町とは

千代田区番町は、皇居の千鳥ヶ淵から西に広がる一帯を指し、一番町から六番町までを指す6つの町丁の総称です。江戸時代には将軍を護る旗本の屋敷が立ち並び、明治維新後は時の大臣や文豪が多く暮らした歴史ある住宅街です。かつて蔵の多い地域として知られ、戦前までは100以上の蔵が並んでいたといわれていますが、戦災によりその大半が失われてしまいました。現在、当時の屋敷はほとんど姿を消してしまいましたが、今は内庭や共有スペースをたっぷり持つハイグレードなマンションが立ち並ぶ高級住宅街です。

また、千鳥ヶ淵緑道や靖国神社、東郷平八郎の私邸跡を利用した東郷元帥記念公園、アーネスト・サトウが植えたイギリス大使館前の桜並木など、オフィス街と隣接していることが想像できないほど緑の多い地域でもあります。

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歴史的背景

1. 江戸時代の発祥と「番町」の名前の由来

  • 大番組の配置

    千代田区番町の名前の由来は、江戸時代に徳川家康が江戸城の西側を守るために「大番組」と呼ばれる旗本(将軍直属の家臣)たちをこの地域に住まわせたことに基づいています。「大番組」とは、徳川家康直属の旗本で、石高1万石未満の武士が所属していました。彼らは将軍を直接警護する役割を担い、精鋭部隊として重要な位置に配置されました。大番組は一番組から六番組まで編成されており、それぞれが住んでいた地域が現在の「一番町」から「六番町」という地名に反映されています。

  • 武家屋敷街としての発展

    江戸時代、町は江戸城の西側に位置し、この地域には多くの旗本や大名の屋敷が建ち並んで、江戸城を防衛する重要なエリアとして機能しました。特に交通の要衝であった甲州街道沿いや半蔵門周辺へのアクセスが良い場所で、これは将軍が緊急時に避難するルートとしても重要な役割を果たしていました。

2. 明治維新後の変化

  • 華族や政府高官の邸宅街

    明治維新後、武家屋敷は姿を消し、その跡地には華族(旧貴族)や政府高官の邸宅が建てられました。この時期から、番町は高級住宅地としての性格を強めていきます。

  • 外国公館の進出

    英国大使館など外国公館もこの地域に移転し、国際的な雰囲気が漂うようになりました。この流れは現在も続いています。

3. 文化人との関わり

  • 文豪や芸術家たち

    番町は文化人にも愛された地域で、小説家の武者小路実篤や作曲家の滝廉太郎など、多くの著名人が居住しました。彼らの足跡は「番町文人通り」として現在も残されています。

  • 教育と文化拠点

    番町には多くの教育施設が集まり、文教地区としても発展しました。この環境が文化人たちを引き寄せる一因となりました。

4. 現代への継承

  • 高級住宅地としての地位

    現在も番町は格式高い高級住宅街として知られています。皇居に近い立地や治安の良さ、豊かな緑地などがその魅力を支えています。

  • 歴史と現代性の融合

    番町には江戸時代から続く伝統的な景観とともに、近代的な再開発や商業施設が調和しています。これにより、歴史的価値を保ちながら利便性も向上しています。

番町という地名は、江戸幕府の防衛体制を象徴する歴史的な背景を持ち、現在でもその名残を感じることができる地域です。

番町の歴史的背景

小学校から大学まで、文教地区にふさわしい充実ぶり

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番町は多くの文化人に愛された地域で、「番町文人通り」を中心に旧宅の跡地に碑が立てられ、明治から昭和初期にかけて多くの文人が界隈に暮らし、多くの作品を世に出してきたことを後世に伝えています。
その一部を挙げると、島崎藤村、国木田独歩、直木三十五、泉鏡花、与謝野晶子・鉄幹夫妻、串田孫一、岡本綺堂、武者小路実篤など。
さらに永井荷風や吉行淳之介の生家もこの地にありました。
文学を嗜む人は、これらの文豪に思いを馳せながら散歩をしたり、街角の落ち着いた喫茶店でゆったり文字を追ったりといった休日が楽しめそうです。

番町小学校

また、番町は学校が密集している地域でもあります。
明治3年に設立され、二番町の一部と四番町~六番町までが学区の番町小学校は、日本でも歴史のある小学校のひとつです。
三番町と四番町の一部と九段南までが学区となる九段小学校、歴史ある私立の雙葉小学校も含め、全国でも屈指の名門小学校がそろいます。
区立の中学校は麹町中学校だけですが、暁星・白百合学園・女子学院・千代田女学園・東京家政学院など、私立中学校は特に女子の名門校がそろっています。
名の知れた学校が多いこともあり、それぞれ警備員を配置していますから、子供が安心して通学できる点も見逃せません。
なお、都立の名門・日比谷高等学校があるのは隣の永田町ですが、番町からは徒歩で通える距離です。
さらに、四ツ谷駅からすぐの上智大学、内堀通り沿いにある二松學舎大学、三番町の大妻女子大学をはじめ、大学のキャンパスも数多く、文教地区にふさわしい充実ぶりです。

異国の空気と各国の料理を堪能

イギリス大使館

内堀通り沿いにある広大なイギリス大使館を筆頭に、ベルギー王国、パラグアイ共和国、ルクセンブルグ大公国、イスラエル、ローマ法王庁などの外国公館が多数あることも番町の特徴です。
それぞれ警察官や警備員が常駐していますので、昼夜問わず、不審者が付け入る隙がありません。
ちなみに、どの大使館も基本的には一般公開されていませんが、内堀通り沿いにある真っ赤な建物・イタリア文化会館は誰でもウェルカム!地中海の文化を感じられる企画展示や、イタリア語講座などに参加してもいいでしょう。

明治時代から続く老舗のフランス料理店、イギリス大使館にも納入している有名なパン屋、よその街からファンが訪れる欧風カレーの名店、50年以上同じ味を守り続けるインド料理店、スイーツ特集の常連のパティスリー、隠れ家風の一軒家レストランなど…。
番町には実に多くの“食”の名店があり、さまざまな国の料理を味わうことができます。

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近所の方と優雅なランチやティータイム、テイクアウトをして千鳥ヶ淵、北の丸公園でピクニックなど、楽しみ方も無限に広がります。

生活圏は東京全域?都内でも有数のアクセスの良さ

地域内では複数の鉄道路線(東京メトロ半蔵門線、有楽町線、南北線など)やJR中央本線が利用可能で、四ツ谷駅、市ケ谷駅、麴町駅、半蔵門駅がすべて徒歩圏内ですから、都内のどこにでも自在に出ることができます。さらに、番町は南北西を靖国通りと新宿通り、東は内堀通りに囲まれている地域ですから、車での移動にも支障はありません。
首都高速都心環状線のICに近く、遠出が多い人にとってもたいへん便利な場所です。

日々の生活で必須のスーパーマーケットは、麹町駅近くにある「よしや」、半蔵門駅5番出口を出たところにある「マルエツ プチ」、新宿通りと日テレ通り沿いに2店舗ある「成城石井」と充実していますので、日常の買い物に困ることはありません。
ただし、南北の移動は坂が非常に多くなりますので、電動自転車の導入を考えたほうがいいでしょう。江戸時代は屋敷が混み合う複雑な地域だったそうですが、現在の番町は東西と南北に延びる道路が区画をきれいに仕切っているため、迷うことはありません。

市ヶ谷駅

日本の医学界を代表する大学病院が近隣に

大規模な病院も、四ツ谷駅からほど近い「四谷メディカルキューブ」のほか、半蔵門駅が最寄りの「半蔵門病院」があり、もしものときも安心です。
町内には、内科を中心にクリニックが多数あり、婦人科や皮膚科もありますので、病院で困ることはないでしょう。
近隣の駅には「慶應義塾大学病院」「東京逓信病院」「東京医科歯科大学医学部附属病院」「順天堂大学医学部附属順天堂医院」もあり、医療機関については日本でも最高レベルの施設が整っています。

千代田区番町の現代の魅力

千代田区番町は「東京の中心に最も近い町」と言われるほど地理的・文化的に重要な位置を占めています。皇居や靖国神社など日本らしい景観と、国際的な要素が融合した環境は、多くの人々を惹きつけています。また、治安が良く穏やかな住宅街としても人気があります。

千代田区番町は歴史と現代性が調和した魅力的な地域です。一度訪れてその雰囲気を味わってみる価値があります。

投稿者プロフィール

住建ハウジング編集部
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