不動産賃貸でトラブルも多い「原状回復」。注意すべきこととは?

安定した収益を求める投資を考えている人のなかには、不動産によって収入を得ている方も多いのではないでしょうか。
一度物件を手に入れた後は、入居者が入れば一定の収入を毎月得ることができるため、不労所得として人気がある不動産賃貸ですが、入居者が退去する際の「原状回復」においては度々トラブルに見舞われてしまうことも少なくありません。
この記事では、そんな不動産賃貸において注意すべき原状回復について、対処法を含めてご紹介します。

不動産賃貸における原状回復の意味と原状復帰との違い

不動産賃貸の場面においては、「原状回復」以外に「原状復帰」という言葉が使われることもあります。どのような点が異なるのでしょう。原状回復の意味とあわせてご紹介します。

原状回復の意味

不動産においては、人が住む、または使用することによる傷、もしくは経年劣化などが必ず生じます。
入居者が不動産を手放す際にはその不動産の劣化に対して修繕や修理をする義務があり、それを原状回復と呼びますが、劣化や傷のすべてに対して原状回復の義務があるわけではありません。
国交省のガイドラインにその範囲が明記されていて、通常の暮らしのなかで避けることのできない傷と経年劣化は大家が責任を持ち、それ以外は入居者が原状回復の義務を負うと定められています。

原状復帰の意味と原状回復との違い

原状復帰は、表記が異なるだけで実は原状回復と意味は同じです。意味は同じですが、使う場面が異なります。
原状回復は公的な場面で使われる法律用語で、原状復帰は建設業の関係者が使う建設用語です。
人によって使う言葉が異なってくるため、はじめて聞くときには少し戸惑うかもしれませんが、特に注意する必要はありません。
似た言葉に「原型復旧」がありますが、こちらは原状回復とは意味が異なるので注意が必要です。
原型復旧は地震や川の増水のような災害の復旧に対して使われる言葉ですので、原状回復や原状復帰と混同しないようにしましょう。

原状回復において、大家としてどこまで負担が必要か

原状回復について、どの範囲で、入居者と大家のどちらが義務を負うべきかは前章でご紹介しました。
では、具体的にどのような場合に大家が責任を持たなければいけないのでしょうか? 
いくつか具体例をご紹介します。

太陽光による床や壁紙の変色

太陽光が同じ箇所に長い間当たり続けると、床や壁は変色します。
このような太陽光による変色は、日常生活のなかで避けることができない経年劣化のひとつ。そのため、大家が責任を持つことになります。

家具による床の損傷

家具による床の損傷は、その原因によって責任の所在が変わります。
たとえば、家具を置いたことによって発生した凹みや設置の跡は、日常生活のなかで避けることができないもの。つまり、大家の責任になります。一方で、椅子や机などを利用した際についた引っかき傷については、入居者に原状回復の義務があります。

引っ越し作業による部屋の損傷

入居者の引っ越し作業によってついた傷については、入居者に原状回復の義務があります。引っ越し業者がつけた傷についても原状回復の義務を負うことになるので、入居者には事前にしっかりと注意喚起しておくといいでしょう。

掃除を怠ったことによる汚れ

日々の掃除を怠ると、落としにくい汚れがつくことになります。特に台所やトイレなど、水まわりには水垢やカビなどのしつこい汚れが発生します。このような汚れについては入居者に原状回復の義務がありますので、きれいに使ってもらえるようお願いしておきましょう。
なお、タバコにも注意が必要です。タバコによってついた床や壁紙の汚れは入居者の責任となりますので、タバコに関する注意喚起も忘れずにしておきましょう。

原状回復における注意点とトラブルに対する防止策

原状回復の義務が入居者にあるかどうかは、前章でもご紹介した通りケースによってさまざまです。ときには、入居者が原状回復の費用負担に納得せず、トラブルに発展するケースも多くあります。そのため、トラブルを回避するためには事前の防止策を考えておかなければいけません。防止策としてどのようなものがあるか、一例をご紹介しましょう。

入居時におけるチェックシートによる確認作業

入居時にどこをどのようにチェックするか事前に決めておき、チェックシートとしてまとめておきましょう。そのチェックシートを使い、入居の際に入居者とともに各箇所に傷がないかを確認して、記録として残しておくことをおすすめします。そうすれば、傷の責任の所在についてひとつの証拠となります。記録にない傷については入居後の傷と考えられるため、原状回復の義務について入居者と話し合いをしなければなりません。

入居時に部屋の状況を写真や動画で残しておく

チェックシートだけでは、各箇所を詳細に記録するのは困難です。そのため、チェックシートとあわせて写真や動画で記録を残しておきましょう。

まとめ

不動産賃貸をしていれば原状回復の問題は避けることができないため、どのように対処するかが上手く不動産賃貸を続けていくかのカギになるでしょう。
原状回復におけるトラブルを回避する方法は必ずあります。不要なトラブルに労力を割く必要のないよう、事前にしっかり対処していきましょう。

参考:

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