日本国外に居住する中国人が日本の不動産を売却する際の注意点

日本に住んでいる中国人が、日本の不動産を売却する場合、手続きの流れは日本人が売却する場合と変わりません。
しかし、日本国外在住の中国人の場合は、用意する書類や税金の支払い方など、いくつか注意すべきポイントがあります。
そこで、日本人にとっても少し煩雑な不動産売却の流れと、海外在住のオーナーが特に注意すべき点をご紹介します。

日本の不動産を売却するまでの流れ

まずは、不動産売却までのおもな手順を確認しましょう。
この基本的な流れは、日本に住んでいる場合でも、日本以外に住んでいる場合でも変わりません。

ステップ1 売却金額の目安を調べる

所有する物件に似ている周辺物件の相場を調べ、おおよその売却価格を予測します。
インターネット上の簡易査定サイトなどを利用すると良いでしょう。

ステップ2 不動産会社を探す

売却を担当する、信頼できる不動産会社を探します。
物件購入時に利用した不動産会社でも構いませんし、複数の会社に依頼しても問題ありません。

ステップ3 物件価格の査定を依頼する

選んだ不動産会社に、物件の価格査定を依頼します。
複数の不動産会社に査定依頼を出して価格を比較すると、物件の価格をより客観的にとらえることができます。

ステップ4 不動産会社に仲介を依頼する

査定額に問題がなければ、不動産会社と「媒介契約」を結びます。
すべてを1社に任せるときは「専属専任媒介契約」、複数の会社に依頼するときは「一般媒介契約」、基本的に1社に任せつつ自分でも買い主を探す場合は「専属媒介契約」となります。

ステップ5 不動産の販売開始

物件の販売を開始します。基本的に媒介契約を結んだ不動産会社が行います。

ステップ6 購入希望者と交渉・売買契約締結

購入希望者が現れ、物件情報を開示した上で交渉がまとまれば「売買契約の締結」に進みます。
この段階で手付金として、物件価格の10~20%が売り主に支払われることが一般的です。

ステップ7 不動産の引渡し・登記申請

残りの代金を受け取り、司法書士に依頼して不動産の「所有権移転登記」などを行います。なお、抵当権などが設定されている場合は、抹消する必要があります。

日本国外在住のオーナーが必要となる書類と費用

不動産の売却に必要な書類は、「不動産会社に仲介を依頼する際に必要な物」と「不動産の引渡し・所有権移転などの登記を行う際に必要な物」の2種類です。それぞれの具体的な内容を紹介しましょう。

■不動産会社に仲介を依頼する際に必要な物
登記簿謄本…日本国内の法務局で取得できます。通常、取得は媒介契約を結んだ不動産会社に依頼します。
売買契約書…不動産を購入した際に受領した契約書です。
重要事項説明書…不動産を購入した際に受領した説明書です。
土地測量図、境界確認書…土地の面積や形、方角、境界線などを明確にするために作成する書類です。必ず必要なわけではありませんが、混み合った市街地の土地では境界紛争などを避けるために、買い主から求められることが多くなります。作成は「土地家屋調査士」や「測量士」に依頼することになり、費用は一般的な住宅地で30万円前後が目安となります。
図面や設備の仕様書…間取りや設備に関する情報を記載した書類です。
固定資産税納税通知書…物件にかかる固定資産税や、移転登記にかかる登録免許税を算出する際に使用します。毎年納税管理人の元に送られてきます。
管理費・修繕積立金の状況を示す書類、マンションの規約…物件がマンションの場合に必要になります。

なお、不動産会社に支払う仲介手数料は、法律により上限が定められています。取引価格が400万円を超える場合の仲介手数料の上限は、以下の計算式で求められます。

(取引価格×3%+60,000円)×1.08(消費税)

例えば、取引価格が3,000万円の場合は、税込みで103万6,800円となります。

■不動産の引渡し・登記を行う際に必要な物
登記済権利書…物件を購入した際、法務局から受け取る書類です。
物件の固定資産評価証明書…土地や家屋の所有者や住所などが書かれた書類で、市区町村の固定資産税課で本人確認の書類を明示して取得します。第三者に取得を委任することもできますが、その場合は委任状が必要です。
住民票…日本に居住している中国人の場合は、市区町村の役所で住民票の写しを取得できます。海外在住の場合は、中国国内にある公証処で氏名、性別、生年月日、住所を記載した公証書を作成してもらうことで代用します。
印鑑証明書…日本に居住している中国人ですでに印鑑登録を行っている場合は、住所地の役所の窓口で発行を受けます。海外在住の場合は、中国国内にある公証処で署名の認証をしてもらうか、在日中国大使館によるサイン証明書を発行してもらうことで代用できます。通常は、先に不動産の移転登記を依頼する司法書士に登記委任状を作ってもらい、それを中国国内にある公証処か在日中国大使館で認証してもらうことで代用します。
身分証…日本国内居住の場合は在留カード、海外居住の場合はパスポートを用意します。
実印…印鑑証明書がある場合に必要になります。

なお、売買に関する登記関連の費用は、売主の負担となります。
ケースによって変動はありますが、数万円程度かかることが多いようです。
また、上記以外にも、書類が必要になる場合があります。

非居住者オーナーが直接受け取れるのは売却代金の約90%のみ

海外居住のオーナーが日本国内の不動産を売却する際、もうひとつ気を付けたいのは税金に関する違いです。
日本では海外居住者の税金の申告忘れを防ぐために、
・買い主が個人
・物件購入の目的は買い主本人かその親族の居住のため
・物件の売却金額が1億円以下
の3つの条件をすべて満たす場合を除いては、買い主に支払金額の10.21%相当額を「源泉徴収」として、取引きの翌月10日までに税務署に納めるよう定めています。
そのため、売主である非国内居住者オーナーの手元に直接入ってくるのは、物件売却代金の約90%です。
なお、源泉徴収された10.21%相当額は、確定申告によって清算されることになります。

日本国外在住のオーナーの場合、中国の機関による公証が必要な書類が増えることで、書類の準備時間がどうしても必要になります。
所有物件の売却を考えたときは、それらの期間を見越して、必要書類を早めにそろえるようにするといいでしょう。