東京23区 高齢者福祉の充実度比較

高齢者福祉制度は日本全国一律ではなく、各自治体によってかなり充実度に差があるということをご存じでしょうか。
一概には言えませんが、一般的には「財政に余裕がある自治体ほど福祉が手厚い」という傾向がみられます。
その点、東京23区は全国の自治体のなかでも比較的財政に余裕があり、ほかの道府県と比べると全般的に福祉制度は充実しているといわれています。
では、23区内でも特に高齢者福祉に力を入れているのはどの区でしょうか。
また、特徴的な高齢者福祉制度を導入している例についてご紹介したいと思います。

自治体の財政力指数と高齢者福祉政策との関係

千代田区が発表した「平成24年度 千代田区財政レポート」によれば、23区中もっとも財政力指数が高い(財源に余裕がある)区は港区となっています。23区平均を0.5とすると、港区はなんと1.32。渋谷区がそれに次ぐ1.03。千代田区は第3位の0.82です。
このほか目黒区と世田谷区が並んで0.76、中央区0.7、新宿区と杉並区が0.65となっています。
逆に、財政力指数が0.4を下回る区としては墨田区0.39、北区0.38、足立区0.34、葛飾区0.35、荒川区0.31が挙げられます。

港区の「高齢者サービスのご案内 いきいき 平成27年版」をみると、がん検診や健康講座、はり・マッサージサービスといった「健康づくり」、介護予防センターやみんなと元気塾の設置などの「介護予防(元気づくり事業)」など、サービスメニューは非常に充実しています。
単なる福祉サービスだけでなく、高齢者の「いきがい」を充実させるためのシルバー人材活用や交流事業に力を入れているのが港区の特徴ですが、これらの特徴は千代田区、中央区、新宿区など財政力指数が高い区ではだいたい共通しています。

ただし、杉並区・北区・練馬区といった「住宅地」が中心の区となると少々事情が違ってきて、高齢者サービスメニューの充実よりも、より実践的かつ地域密着型の高齢者サービスへの注力がみられます。

たとえば、杉並区では高齢者福祉に「介護保険課」「高齢者施策課」「高齢者在宅支援課」の3課が携わっており、介護保険以外の高齢者への福祉サービスや、地域の助け合い・見守りなどを手厚くしています。

充実の方向性は違いますが、このような手厚い高齢者福祉政策が維持できるのも、財政力指数が高く財政に余裕があるからかもしれません。

高齢者福祉に特色がある区は?

「おばあちゃんの原宿」の別名で知られる巣鴨は豊島区にあります。
豊島区の財政力指数は0.52とほぼ23区の平均値ですが、「高齢者元気あとおし事業」というユニークな高齢者福祉事業を行っています。
これは「高齢者が特別養護老人ホームやデイサービスなどでボランティア活動を行うことにより、ボランティアをする方自身の介護予防と、お互いに支え合う元気な地域社会づくりをめざして行う事業」ということで、「高齢者=福祉を受ける存在」という固定観念をくつがえし、高齢者が積極的にボランティア活動などを行うことで、お互いに支え合い、また支えることがいきがいにも結びつくという素晴らしい事業となっています。

一方、青葉台・柿の木坂・駒場など閑静な高級住宅地が多い事で知られる目黒区は、健康増進やレクリエーション、教養講座などのサービスをする「高齢者センター」の充実度が高いことで知られています。
高齢者センターあるいはそれに類する施設を有する市区は多いのですが、目黒区目黒一丁目の「田道ふれあい館」内に設置された目黒区高齢者センターでは、自慢の檜風呂による入浴サービスをはじめ、文化祭や演芸大会などのイベント、ビリヤードやカラオケといった趣味のサークル、パソコンなどの各種講習会など、高齢者相互の交流や憩いの場所として、また高齢者団体の活動の場としてフルに活用されています。

医療・治安・コミュニティも重視

ここでは23区の自治体行政を中心に高齢者福祉についてご紹介してきましたが、高齢者が安心して生活できる環境選びとしては、「総合病院の多さ(1位:千代田区 2位:文京区)」「治安の良さ」「地域コミュニティが充実しており、なおかつ排他的でないこと」なども重要な要素となります。
また、一概に「高齢者福祉の充実度」といっても、「所得が少ない、賃貸住宅住まいの高齢者」と、「比較的裕福で持ち家に居住する高齢者」とでは、必要とする福祉サービスの内容が大きく違います。もちろん単身世帯かそうでないかによっても大きく異なるでしょう。

充実したセカンドライフを満喫するためには、自分の年齢と状況に応じた快適な住環境を確保しておくことが重要です。
できるだけ早いうちから、そうした問題意識を持って不動産物件をチェックしてみることも大切ではないでしょうか。