墓地は「都会のオアシス」? 意外に快適な墓地周辺の住宅街

マンション選びの際に、お墓近くの物件はどうしても敬遠されがちです。
多くの場合は、「お化けや霊が出そうで何となく気味が悪い」というイメージがその理由になっています。
都心にある多くのお墓はしっかり管理が行き届いていますし、有名人のお墓は半ば観光地化していたり、園内に散歩道が設けられていたりと、意外と明るく快適な場所であることも少なくありません。
今回はお墓の近くに住むメリットについて紹介したいと思います。

静けさだけではないお墓周辺に住むメリット

 お墓の周辺に住むメリットの1つ目は騒音が少ないことです。
お墓を訪れるのは基本的にはお参りの人たちですし、有名人のお墓を訪れる観光客でも墓地で騒ぐことは不謹慎だと考える人が多いので、騒ぐことはほとんどありません。
また広大な墓地や霊園があれば道路からの距離が遠くなる分自動車や電車の騒音もほとんど聞こえず、都心ではなかなか味わえない静けさを享受できます。
またお墓には高い建物があまりないので日当たりがいいのも特徴です。
将来的に高い建物が建ったり、開発によって環境ががらりと変わってしまったりというような心配もありません。

メリットの2つ目は都心のお墓は規模が大きな霊園かお寺の敷地内にあるものがほとんどで、豊かな緑に囲まれていることです。
大きな霊園なら桜やイチョウの並木道があったり季節の草花が植えられたりしていることも多く、公園と同じような感覚で四季の自然を楽しむこともできます。
なかなか贅沢な環境といえるでしょう。

最後に意外に知られていないけれども大きい、メリットの3つ目は古くからの墓地はしっかりした地盤の上に作られており、また周囲に高い建物もないことから災害が起きた際に比較的安全な場所であるということです。
例えば徳川最後の将軍・慶喜や渋沢栄一などのお墓がある台東区の谷中霊園は地盤の固い高台にあり、大雨による河川の氾濫や地震が起きたときの周辺住民の避難場所にも指定されています。

墓地はむしろ都会のオアシス、近くには高級住宅地も

都心にある代表的な霊園・墓地、寺院周辺の環境についてと、マンション選びのポイントなどをいくつか紹介します

【青山霊園】

都内の霊園といえば真っ先に名前が挙がる「青山霊園」は港区青山2丁目と、都心の一等地に位置する墓地です。
1874(明治7)年に美濃国郡上藩の藩主だった青山家の江戸下屋敷跡に開設されたもので、面積は約26ヘクタールです。
1926年に日本で初めての公営墓地となりました。
大久保利通や犬養毅などの政治家をはじめ多くの著名人の墓があり、海外からの観光客も多く訪れています。
園内のあちこちでは大きく育った木々が優しい木陰を作っており、さながら都会のオアシスのようです。
南北に走る道路の両脇の桜並木をはじめ、桜の名所としても有名な場所です。

この青山霊園の周辺には、高額納税者も多く住んでいる南青山の住宅地があります。
六本木や赤坂など都内屈指の商業街・オフィス街にも近く、永田町や霞が関へのアクセスも道路・地下鉄共に非常に便利です。表参道など最新トレンドの発信地にも近く、そして青山霊園のような豊かな自然環境もそろっているという、都心のよいところをすべて集めたような立地が人気の秘密のようです。

【雑司ケ谷霊園 】

雑司ケ谷霊園は池袋駅の東側、豊島区南池袋4丁目に広がる都立霊園です。
造営されたのは青山霊園と同じ1874年で、広さは約10ヘクタール。
敷地内にはケヤキの古木やイチョウの高木をはじめとする多くの木々が植えられており、雑木林のような自然環境になっています。
小説家や音楽家など文化人の墓が多く、夏目漱石の小説「こころ」の舞台にもなりました。
近くには真言宗豊山派大本山・護国寺や鬼子母神堂など多くの寺院があります。

雑司ケ谷霊園の南側に広がる目白台は、江戸時代の武家屋敷跡に開かれた閑静な高級住宅地です。
お茶の水女子大学や学習院大学などの教育機関と雑司ケ谷霊園の緑に囲まれ、街の喧騒とは一線を画した落ち着きのある街並みが広がっています。
最寄りの雑司が谷駅からは池袋駅まで1駅、歩いても約15~20分とアクセスは非常に良好で、目立たないながらも根強い人気のあるエリアです。
ただし物件数は多くはないので、早めの情報収集が購入の鍵になるでしょう。

【増上寺周辺】

都心の各地にある寺院も多くが、その敷地内に墓地を持っています。
例えば、東京タワーのお膝元になる港区芝公園4丁目にある増上寺もその1つです。増上寺は徳川家の菩提寺になります。
お寺の本堂の裏側には6人の徳川将軍が眠る徳川家墓所と一般檀家の墓地があります。
また敷地の周りには広大な芝公園が広がっています。
そして東京プリンスホテルやザ・プリンスパークタワー東京などが隣接しています。
さらに増上寺の周辺にも数多くの寺院が集まっています。

周辺は通り沿いに高層ビルが並ぶオフィス街になっています。
しかし、一歩中へ入ると住宅地が広がっています。
ちょっとの場所の違いで雰囲気が変わってしまうので、マンション購入の際には住所による違いに注意したほうがよいでしょう。
また、少し南へ下った港区三田2丁目は静かな高級住宅地になります。
ここは交通の便利さと豊かな緑の双方を享受できる、都心ならではの街並みが魅力です。

イメージだけで敬遠せずに自身の目で確認を

「墓地」という単語からは何となく暗いイメージを連想しがちですが、都心の墓地や寺院はむしろ静けさと緑の空間が提供する都会のオアシス的な役目を果たしています。
高級住宅地と呼ばれるエリアのいくつかは墓地の近くにありますし、ほかにはない静けさと豊かな自然の中で、快適な生活を送ることができる場所も少なくありません。
「墓地」といってもその形態や規模はさまざまです。
お墓近くのマンションだからと敬遠せずに、自分の目で確かめることで優良物件に出合えるかもしれません。