東京オリンピックに湧く再開発エリアの地価動向

東京オリンピックで地価が高騰しているエリアとは?
2020年に開催予定の東京オリンピック。都心~湾岸エリアの各地で地価が高騰している例も数々みられます。
では、具体的にいったいどんなエリアでどれくらい地価が高騰しているのか。
これらは不動産投資家にとって非常に気になる点ではないでしょうか。
そこで、東京オリンピックとの関係が深く、現在オリンピックに向けて開発が進められている主要地域の事情について調べてみました。

東京オリンピックの地理的全体像

まず、東京オリンピックの地理的全貌について説明します。
オリンピック関連施設の主要な建築物は下記の3エリアに集中する予定です。

【新宿エリア】

東京オリンピックのメイン会場となるオリンピックスタジアムは、現在の国立霞ヶ丘競技場(1964年東京オリンピックのメインスタジアム)を8万人収容の最新鋭のスタジアムに建て替える予定となっています。
国立霞ヶ丘競技場は東京都新宿区霞ヶ丘町に位置し、明治神宮外苑に隣接しています。
最寄駅は都営地下鉄大江戸線の国立競技場駅やJR中央本線千駄ヶ谷駅などとなっています。
このスタジアムは開・閉会式、陸上競技、サッカー、ラグビーの会場となる予定です。
また周辺の東京体育館、国立代々木競技場も会場として使用されます。

【晴海エリア】

選手村の建設予定地は、東京都中央区の晴海エリアに建築されることになっています。
最寄駅は都営地下鉄大江戸線の勝どき駅、または少々距離がありますが、東京臨海新交通臨海線(ゆりかもめ)の新豊洲駅、市場前駅なども最寄駅として利用される予定になっています。
なお、ゆりかもめは豊洲¯勝どきの区間が整備されることになっており、オリンピックのアクセス鉄道になる予定です。

【有明エリア】

有明エリアには、有明体操競技場・有明ベロドローム・有明アリーナなど常設・仮設を含めた多くの構造物が新築される予定です。
そして有明エリアの最南部、東京ビックサイトにはIBC/MPC(国際放送センターおよびメディアプレスセンター)が設置され、世界中から日本に訪れる報道関係者がこの会場に集うことになっています。

湾岸エリア全域に注目

上記でおわかりのように、メイン会場の新宿エリアを除き、東京オリンピックの中心となるのは勝どき、晴海、豊洲、有明といった湾岸エリアです(このうち勝どき、晴海は中央区、豊洲、有明は江東区となっています)。

従来、このエリアは比較的交通インフラが乏しく、銀座・有楽町という都心の一等地の間近である割に地価は安値でした。
しかし東京オリンピックの開催が決定してからは新築マンション・中古マンションはおろか建設中の高級分譲マンションにも申し込みが殺到し、地価は全体的に上昇基調にあります。

国土交通省の「主要都市の高度利用地地価動向報告(H26.10.1~H27.1.1)」にも、
「いわゆる湾岸エリア(豊洲、月島、晴海等)においては東京五輪の開催決定以降、新築分譲マンションの在庫の売却が進み、分譲価格の上昇が認められた。当地区を含む湾岸地区は立地条件等から需要は依然として根強く、分譲マンションの販売は好調であり、マンション分譲価格は今後とも上昇が期待できる」
と明記されています。

では、不動産投資家の視点から湾岸エリアの地価の変動状況をもっと詳細にみていきましょう。

○豊洲エリア

豊洲エリアは、東京メトロ有楽町線とゆりかもめが利用できる豊洲駅を最寄駅とするエリアです。
有楽町線は銀座一丁目駅、有楽町駅、永田町駅など都心東部を経由して池袋駅などを通り、埼玉県和光市へ向かう路線です。
またゆりかもめは有明や台場などを経て汐留駅、新橋駅へ向かう路線です。この2路線が利用できることから、都心方面や首都圏への主要地域へのアクセス性にすぐれ、湾岸エリアの中でも特に交通の利便性で高い人気を集めています。

また晴海運河に面している豊洲公園・晴海橋公園はレインボーブリッジがもっとも美しく見えるベストスポットとして知られており、ウォーターフロント屈指の景観地でもあります。

豊洲エリアの地価の変動に東京オリンピックがどのように影響したかをみてみましょう。
東京オリンピックの開催が決定したのは2013(平成25)年9月7日です。
豊洲エリアの中心地である標準地番号「江東-20(東京都江東区豊洲4丁目)の平成25年1月1日現在の国土交通省地価公示価格を調べてみると、441,000円/平米となっています。
これに対し、同じ江東-20の平成27年1月1日現在の国土交通省地価公示価格は515,000円/平米となっており、わずか2年で74,000円、約16.8%も上昇していることがわかります。

○勝どきエリア

勝どきエリアは、湾岸エリアのうちもっとも北寄りに位置しています。
勝鬨橋を渡れば、晴海通りがまっすぐ銀座・有楽町方面に伸びており、築地市場や築地本願寺は目前です。「銀座が徒歩圏内」という好立地は不動産資産として大きな魅力でしょう。

勝どきエリアは、国土交通省の土地総合情報ライブラリー「地価の上昇が見られた個別地点」で2014年に取り上げられました。
なんと1年間の地価上昇幅は10.9%。同資料によれば、地価上昇の要因は「五輪新設会場周辺部の高層分譲マンションの進捗」とはっきり明記されており、鑑定評価員も「東京オリンピック・パラリンピック会場至近の立地としてマンション素地等の需要が高まり、地価の上昇の動きが見られる」と記しています。

この個別地点の標準地は「中央-3(東京都中央区勝どき3丁目)」で、都営地下鉄大江戸線勝どき駅から200メートルの地点です。

○佃・月島エリア

佃・月島エリアは「都心の利便性と古き良き下町情緒を両立させた街」として、東京オリンピック開催決定前から高い人気を誇っていたエリアです。
東京メトロ有楽町線および都営地下鉄大江戸線が利用できる月島駅が最寄駅で、東京の主要地下鉄2路線が使えるという交通の利便性が高いエリアとしても定評があります。
国土交通省の「主要都市の高度利用地地価動向報告(H26.10.1~H27.1.1)」には、

「都心部への良好な接近性等の立地の優位性から、分譲マンションに対する潜在需要は底堅い。
また、東京五輪開催の決定以降は周辺部において分譲価格の上昇が認められた。(中略)当地区及び周辺において予定されている新規分譲マンションの分譲価格の先高感が、エンドユーザーの購買意欲を後押ししていることから、当地区のマンション分譲価格は依然として上昇傾向が認められる」

と記載されています。

またこのエリアは国土交通省の土地総合情報ライブラリー「地価の上昇が見られた個別地点」に2015年に取り上げられました。
取り上げられたのは「中央-6(東京都中央区佃3丁目)」で、月島駅から140メートルの地点です。
1年間の地価上昇幅は9.1%。要因は「五輪新設会場周辺部の高層分譲マンションの進捗」と明記されており、鑑定評価員は「都心への接近性などの利便性に加え、東京五輪開催決定により、開発期待への高まりから高層マンションへの需要が旺盛で、地価は上昇している」とコメントしています。

その他の地域への影響

東京オリンピックに関連する地価の高騰は上記のような湾岸エリアにおいて顕著な現象ですが、東京オリンピックが大きな影響をもたらしているのはこれらのエリアだけに限りません。

新オリンピックスタジアムへと立て替えが決まっている旧・国立霞ヶ丘競技場周辺、そして湾岸エリアへの広域交通拠点となる品川駅(東海道新幹線、羽田・成田両空港とのアクセス性の高さなど)の周辺も地価の上昇率に拍車がかかっています。

ただし、これらの地域では新築物件に対する建設費の高騰が問題視されています。
地価の上昇に加えて建築費も上昇したことから、不動産投資のトータルコストに対して十分な利回りが得られるかどうか、不動産投資家の方は個別の物件を詳細に吟味する必要があるでしょう。
なお、こうした事情から多額の建築費を必要としない(ただしリフォーム工事費は別)中古物件に対する人気も高まってきています。