自宅が災害で被害を被ったときは?来たるべき災害に備える5

地震や台風などの災害は、人がどれほど気を付けていても避けられない天災です。
また、火事や事故などについても、被害を受けるまえにできることは限られています。
いずれも避けては通れないものである以上、万が一のときに「どのような手続きがあり、どのように行動するべきか」を覚えておきましょう。

何はなくとも「罹災証明書」を発行してもらう

被災直後は精神的にも落ち込み、家族のケアや仕事との折り合いをつける必要があるなど、事務的な手続きを行う気力も、時間的な余裕もないのが普通です。
しかし、行政や金融機関、保険会社などは、正式な書類がなければ、たとえ家がつぶれていたとしても動いてはくれません。
そこで必要になるのが「罹災(りさい)証明書」です。
これは、地震や津波などの被害を受けた住宅の被害状況を証明するもので、市区町村が現地調査などを行い、確認した事実を基に作成、発行してくれます。
この証明書は、「保険金支払いの申請」や「復興融資の申込み」を行うときにも必要です。

罹災証明書の被害認定基準(日本FP協会)
被害区分 被害の認定基準
住家全壊(全焼・全流出) 住家がその居住のための基本的機能を喪失したもの
・住家全部が倒壊、流失、埋没、消失したもの
・住家の損壊が甚だしく、補修により元通りに再使用することが困難なもの
住家の損壊、消失もしくは流失した部分の床面積が、その住家の延床面積の70%以上に達したもの。
または、住家の主要な構成要素の経済的被害を住家全体に占める損害割合で表したとき50%以上に達したもの。
住家大規模半壊 住家半壊の基準のうち、損壊部分が延床面積の50%以上70%未満。
または、住家の主要な構成要素の経済的被害を、住家全体に占める損害割合で表したとき40%以上50%未満。
住家半壊(半焼) 住家がその居住のための基本的機能の一部を喪失したもの
・住家の損壊が甚だしいが、補修すれば元通りに再使用できる程度のもの
損壊部分が、その住家の延床面積の20%以上70%未満のもの。
または、住家の主要な構成要素の経済的被害を住家全体に占める損害割合で表したとき20%以上50%未満のもの。

受けた被害は必ず撮影してデータを残す

被害の状況をしっかり記録しておくことも大切です。
デジタルカメラやスマートフォンなどで、家屋の傷ついた部分や壊れた家具・家電などを撮影しておきましょう。
特に、罹災証明書を発行してもらうための調査前に取り壊しや補修を行う必要があるときは、損傷状況がはっきりわかる証拠が必要です。
このとき撮影したデータは、加入している保険会社への請求時にも利用できます。

大規模災害に遭ったときの公的な支援

下記のような規模が大きな災害で被害に遭った場合、「被災者生活再建支援制度」が適用されます。

・人口が30,000人以上、50,000人未満の市町村で住家が滅失した世帯が60件以上の場合
・人口300万人以上の都道府県で2,500件以上の住家が滅失した場合
・市町村で10世帯以上の住宅全壊被害が発生した場合

対象となるのは、暴風・豪雨・豪雪・洪水・高潮・地震・津波・噴火など。
おおよそ国内で起こりうる災害はカバーされます。
支援金は住宅の被害程度に応じた「基礎支援金」と、住宅再建の方法に応じて支給される「加算支援金」に分かれており、それぞれ災害発生日から「13ヵ月以内」「37ヵ月以内」に、市町村の窓口に申請する必要があります。
なお、支給される最高額は300万円です。

2016年に発生した熊本地震では、日本財団による「住宅損壊見舞金」の支給も行われました。
また、地震で半壊、大規模半壊となった世帯には「応急修理費用」を、解体や撤去が必要な場合はその作業について熊本県内の各市町村が負担しています。
また、金利等が優遇された建設資金・購入資金・補修資金の融資を、住宅金融支援機構や民間の金融機関が行っています。

さらに、住宅ローンを返済中の住宅が被害を受けた場合は、「自然災害による被災者の債務整理に関するガイドライン」に準じて、返済の免除や減額を借入先の金融機関に申し出ることも可能です。
ほかにも、被災住宅の応急修理に必要な費用の一部を自治体が支払ってくれる「住宅の応急修理制度」や、家財の3分の1以上の損害を受けたときに貸付けを行う「災害援護資金」なども用意されています。
それぞれ判断基準などが異なりますので、災害に遭うまえに、条件や窓口をチェックしておくと良いでしょう。

すぐに必要な現金を確保する方法

大地震や火災の場合、財布やキャッシュカード、預金通帳などを紛失(焼失)してしまうことも考えられます。
金融機関は、「本人確認ができない」人には、預金の払い出しを一切行ってくれないのが実情です。
とはいえ、食料や生活必需品を購入するために現金がないと困ってしまいます。
そのようなときは、下記のような書類で本人確認ができることを覚えておきましょう。

・運転免許証
・各種保険証
・国民年金手帳
・児童扶養手当証書
・母子健康手帳
・旅券(パスポート)
・顔写真付き住民基本台帳カード

このほかにも官公庁から発行・給付された住所・氏名及び生年月日の記載がある写真付きの公的書類などでも本人確認が可能です。
2011年の東日本大震災のときは、多くの金融機関がこれらの書類を基に本人確認を行い、預金の引き出しに応じました。
枕元や玄関など、すぐに持ち出せる場所にこれらの書類を用意しておくと、いざというときに役立つでしょう。

社会保障や税の減免措置を知る

国民年金保険料や厚生年金保険料、社会保険料は、支払いが滞ると受給条件を満たせなくなり、老後や万が一のときに給付されないケースも考えられます。
しかし、大きな災害に遭った場合、すぐに支払いを再開できるとは限りません。
そこで「保険料支払いの免除申請」が重要になってきます。
国民年金の場合は本人の申請が必要ですので、支払いが困難になりそうなときは早めに相談するようにしましょう。

また、国民健康保険料や後期高齢者医療制度の保険料については、減免する制度が用意されています。
これらは自治体が判断するものですので、全員が必ず受けられるわけではありません。
まずは、市町村の窓口に確認してみましょう。

災害によって住宅や家財が損失した場合、「所得税法」による雑損控除の方法、または「災害減免法」による所得税の軽減免除による方法のどちらか有利な方法を選ぶことで、確定申告により「所得税の全部または一部を軽減」することができます。
対象になるのは、居住する住宅や日常に必要な家具や衣類、書籍などです。
生活に通常必要でない資産(1個または1組の価額が30万円を超える貴金属、書画、骨董品など)は対象外となります。

国税の軽減措置(日本FP協会)
軽減措置 条件 軽減または免除される額の目安
所得金額 所得税の軽減額
災害減免法による所得税の軽減免除 ・災害に遭った年の所得が1,000万円以下
・災害で受けた損害額が住宅や家財の時価の2分の1以上
500万円以下 全額免除
500万円超~750万円以下 2分の1免除
750万円超~1,000万円以下 4分の1免除
所得税法による雑損控除 住宅や家財などの資産が損害を受けた場合 (1)差引損失額-(総所得金額×10%)
(2)差引損失額のうち、災害関連支出の金額-50,000円
いずれか多いほうの金額を所得控除できる。
控除しきれない分は翌年以降に繰り越し可能。