東京の民泊特集 -流行りの民泊に迫る-

東京で民泊が求められている理由

欧米を中心に流行している「シェアリングエコノミー」を体現している「Airbnb」が普及した背景には、都市部における不動産価格の高騰があります。
ニューヨークやパリなど世界の主要都市では、人口の増加によって不動産価格が上昇し、結果として、ホテルをはじめとする宿泊施設の費用も上がってしまいました。そんな中、自然発生的に民泊を交渉するコミュニティーが出現し、ソーシャルネットワークを使ったマッチングビジネスに進化していった側面があります。

日本の首都、東京も例外ではありません。
今や都心の地価は、バブル期だった1980年代後半の水準にあり、訪日外国人の増加で宿泊料金は高止まりを続けているのです。
にもかかわらず、観光庁が行ったアンケートによると、全国の客室稼働率はシティホテルとビジネスホテルがともに7割を超え、いずれも調査開始以来、最も高い稼働率を記録しています。
ここ数年、地方から出張でやって来るサラリーマンは、ビジネスホテルの確保に四苦八苦しています。
さらに、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催が追い打ちをかけています。
政府が2020年までの目標としていた年間訪日外国人数年間2,000万人はすでに現実的な数字となり、それどころか目標を大幅に超える可能性も出てきています。
東京オリンピック・パラリンピックに向けて急ピッチで新しいホテルの建設が進んでいますが、10,000室規模で宿泊施設が不足する懸念もあります。
もはや東京は、民泊の助けなしに宿泊施設不足問題を解決できないところまできています。
これは、都内の不動産を持つオーナーには、ビジネスチャンスが到来しているということを意味しています。

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民泊のメリットは?民泊のこれまでとこれから

全国に先駆けて民泊を実現した大田区の例

そもそも日本の旅館業法では、有償宿泊施設をホテルや旅館などに限定しており、「民泊」は現行の法律に抵触します。
つまり、「Airbnb」を始めとする民泊ビジネスは、日本において法律的に守られているわけではないのです。
そこで政府は、2014年4月、国が指定した「国家戦略特区」に限って旅館業法の規制を緩和する政令を施行しました。
特区では、ホテルや旅館に課されるきびしい安全及び衛生基準の規制をゆるめ、家の一室を貸し出せる「民泊」を可能にしたのです。
なお、この「特区」は「東京圏」(東京都、神奈川県、千葉県成田市)と「関西圏」(大阪府、兵庫県、京都府)を対象としており、詳細な規定については自治体ごとに条例を制定する必要がありました。
そこで大田区は、いち早く個人宅などを宿泊施設として貸すことを認める条例を制定し、民泊施設を全国で初めて認定しました。
認定第1号となったのは、JR「蒲田駅」に近い築60年以上の古民家を改装した約50平方メートルの平屋と、近くに建つマンションの約26平方メートルの1Kの部屋です。インターネット宿泊仲介サービスを展開する「とまれる株式会社」が申請していた2物件でした。
同社は2015年12月、民泊物件を対象にした予約仲介サイト「STAY JAPAN」を開設しています。
ただ、民泊解禁という大きな流れに先乗りした同社に追随し、民泊ビジネスを推進する会社が出てくるかどうかはまだわかりません。
それは、大田区の条例が、下記のようにきびしい要件を含んでいたことが影響していると思われます。
さらに、後述する大きな要因が、民泊ビジネスの拡大を阻んでいます。

<民泊に関する大田区の条例>
・部屋には火災警報器のほか避難経路や施設の使い方、ゴミの捨て方を、英語などと日本語で併記した説明書を備える
・近隣住民に対して事業計画を事前に書面で知らせる
・事業者は急病などの緊急時に、宿泊客からの相談をコールセンターで24時間受け付ける

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東京における民泊ビジネスのこれから

民泊ビジネスの拡大を阻んでいる大きな要因は、「滞在期間6泊7日以上」というものです。
英語の説明書を義務付けているように、民泊の利用はおもに訪日外国人を想定しています。
「空港近くの大田区に6泊以上もとどまり続けたいというニーズはあるのか」「全国各地を観光して回りたいと考えるごく一般的な訪日外国人を無視している」など、その規定を疑問視する声が挙がっています。
規制緩和をしたにもかかわらず、きびしい要件を伴ってしまった理由には、ホテルや旅館業界からの反発の声への配慮があるともいわれています。
現状では問題も抱えている民泊ビジネスですが、うまく広がれば東京の宿泊施設不足を解消するだけではなく、日本人と外国人の草の根レベルの交流が育まれ、東京、ひいては日本という国への理解も深まるのではと期待されています。
また、新たな大規模投資の必要もなく、空き部屋を活用できて収入も発生するのです。
一石三鳥にも四鳥にもなり得る民泊は、今後、実際の利用者の声を受けて、より実態に即した法律が整っていくと予想されます。
全国に先駆けて民泊解禁を実現した大田区がどのような道をたどるのか、大きな注目を集めています。

民泊のデメリットや諸問題についてもぜひ、併せてお読みください。