いいことずくめではない!? 増加する民泊問題

民泊で実際に発生するトラブルとは?

国を挙げて解禁に取り組んでいる民泊。
各地の宿泊施設不足を解消するだけではなく、日本人と外国人の草の根レベルでの交流、さらには空き部屋の有効活用によるビジネスチャンスなど、聞こえてくるのはメリットばかりです。
ところが、民泊はいいことずくめではありません。
民泊でまず問題とされているのが、周辺住民の不安からくる苦情です。確かに見たこともない、日本文化に不慣れな外国人が集団で入れ替わり立ち替わり出入りする状況は、静かに暮らしていた住人にとって異常ともいえるでしょう。
実際にゴミ問題や騒音トラブルは多発していますし、防犯上の不安を口にする住民は多いようです。
賃貸物件は、所有者が又貸しを許可していない限り、居住用として賃貸借契約されるものです。
そのため、所有者に無許可で民泊を始めたことによるトラブルも起きています。
そして、分譲マンションでも問題は発生しています。
タワーマンションの一室を購入し、共有設備を含めて部屋を提供しているケースでは、「共有部分にまで入って来るな」という苦情が出ているようです。

規制緩和を巡る国と自治体の攻防

こうしたトラブルを未然に防ぐため、国が推進している民泊解禁の動きに同調しない自治体も出てきています。
雷門から浅草寺へ続く仲見世通りや上野公園など、日本を代表する観光地がある台東区には、年間5,000万人近くの観光客が訪れています。
政府による規制緩和で民泊ビジネス誕生を歓迎する空気も一部に生まれましたが、区議会は先行して民泊条例を施行している大田区の課題を検討した上で緩和するかどうか決めるべきだとして、従来の宿泊施設条件を維持するよう条例改正しました。
つまり、まだ問題点があるとされる規制緩和には応じない旨を宣言したのです。
改正では「営業時間内は従業員を常駐させる」「玄関帳場その他これに類する設備(フロントなど)を有する」ことを義務付けました。
これにより台東区内では、実質ワンルームや一軒家の貸し出しはできないことになりました。
ただ、これはあくまでも法律の問題であり、実際の「ヤミ民泊」がなくなるかどうかは別問題です。
台東区ではすでに多数の物件が「Airbnb」に登録されています。こうした実態と法律の乖離現象は、ますます広がっていくと懸念されています。
今後、国がこういった自治体にどのような対応を見せるのかにも注目が集まっています。

貸し手が抱きがちな民泊に対する不安

民泊の問題で不安を感じているのは、地域住民だけではありません。
ビジネスチャンスととらえる貸し手にも、根強い不安があります。
特に素性のわからない人に貸すことで、トラブルが起きることを懸念している貸し手が多く見受けられます。
実際に民泊先進国の欧米では、「契約の日時を過ぎても居座り続けられたケース」や「トイレを詰まらせてあふれた水が隣の部屋に損害を与えたケース」「週末に貸した部屋がドラッグを使ったパーティーに使われたケース」「貸した部屋がいつのまにか売春宿として利用されてしまっていたケース」など、多くのトラブルが報告されています。
また、料金を踏み倒されるのではないか、部屋の中の物を盗られてしまうのではないかと、多くの貸し手が懸念しています。
こうした不安は、民泊に免疫のない日本人なら当然持つものですが、欧米の人たちも同じように感じてきました。
そして、トラブルが起きないよう、民泊も常に進化してきたといえるのです。

相互レビュー制度がトラブル発生の抑止力に

民泊の代表的なサービスである「Airbnb」は、貸し手が抱く不安を軽減してくれるサービスを豊富に備えています。
例えば、「素性のわからない変な人が来るのでは?」という不安に対しては、プロフィール情報欄が助けとなります。
利用希望者の顔写真や名前、学歴や使用言語などの基本情報はもちろん、自己紹介文が掲載されています。
ここに趣味や職業など、人柄がわかるような紹介文が書かれていますので、ある程度の人となりを把握することができます。
もちろん自己紹介文で嘘を書いてだますこともできますが、他者からの評価はごまかすことができません。
「Airbnb」の安全性を担保してくれるのが、このレビュー制度です。
「Airbnb」はホストがゲストに、逆にゲストがホストに対してレビューを書くことができる相互レビューというしくみを採用しています。
貸し手は借り手がどんな人なのか不安に感じますが、同様に借り手も貸し手がどんな人なのか不安に感じているのです。
同様のシステムは、日本でもオークションサイトなどで採用されており、その人の履歴がわかる点がポイントといえます。
ゲストの過去の情報は簡単にさかのぼることができますので、貸し手はきちんとマナーを守ってくれる人かどうか確認することができます。
ゲストにつけられた悪いレビューは、全世界のユーザーにさらされてしまいます。
それが大きな抑止力となり、相手を思いやって利用しようという意識が働くのです。

万が一のときの補償額はなんと1億円

続いて、「きちんとお金を払ってもらえないのでは?」という不安ですが、これも「Airbnb」を利用すれば問題ありません。
なぜなら、泊まりに来たゲストに貸し手が直接お金を請求する必要はないからです。
ゲストは宿泊予約成立時に料金を支払います。
実際に訪れるのが数ヵ月後でも、予約成立時に事前決済するのがルールです。
「Airbnb」からの送金は、ゲストがチェックインした24時間後と決まっています。
最後に「部屋の中の物を盗まれてしまうのでは?」という懸念にも対策があります。
「Airbnb」は、万一の場合に備えて、「ホストが設定できる保証金」と「ホスト保証」という2つの保証を用意しています。
ホストが設定できる保証金とは、いわゆるデポジットのことです。
事前に多めの金額をゲストに請求し、予期せぬ災難が発生したときにそれを充てることができます。
また、ホスト保証とは、保証金を超える損害が発生した場合に「Airbnb」が損害を補償してくれるプログラムのことです。
上限金額は1億円に設定されていますので、いざというときに安心です。
日本人にはまだ親しみがない民泊ですが、先を行く欧米は、さまざまな問題に直面し、乗り越えてきています。
だからこそ「Airbnb」は、通算ゲスト数が6,000万人を超える巨大サイトになっているのです。
都内の不動産を持つオーナーの方々は、そんな「Airbnb」のしくみを知っておいて損はないといえるでしょう。

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