みずからエネルギーを作って溜めるスマートハウスでエコ生活

「スマートハウス」とは、電力などのエネルギーを、より効率的に利用するしくみが導入されている住宅のことです。
1980年代にアメリカで生まれ、日本では「省エネ住宅」として各住宅メーカーなどが開発を進めてきました。
現在は「HEMS(Home Energy Management System)」を取り入れた住宅の総称として、スマートハウスという言葉が使われています。
世界的に環境問題への関心が高まる中、日本でもスマートハウスが「これからの住宅の標準仕様」とされることも現実味を帯びてきました。
新築・中古を問わず、住宅選びの新基準としてHEMS導入を考えることは、今や常識となりつつあるのです。

HEMSの仕事は、見えにくかったエネルギーを可視化すること

HEMSを導入すると、次の3つの観点からエネルギー(電力)が見えるようになります。

・省エネ

これまで、家庭の電力使用量は1月単位で送られてくる電力会社からの請求書だけでしかわかりませんでした。
しかし、HEMSを導入すると、「部屋に設置したモニター」「PC」「タブレット」を通じ、1日単位で確認することができます。
さらに、「電化製品ごとの使用量」「数時間後の予想使用量」「翌日の予想使用量」なども提示されます。すべてが数値化されることにより、利用者の省エネ意識が高まる効果も期待できます。

・創エネ

屋根などに設置したソーラーパネルによる発電量も、同様に数字を確認できるようになります。もちろん、家庭で消費しきれない電気を「売電」することも可能です。

・蓄エネ

家庭用蓄電池を設置しておくと、発電した電力を溜めることができます。HEMSと連動させれば、蓄電池の充電状況なども一目瞭然。昼間溜めておいた分で朝や夜の電力をまかなうなど、省エネにもつながるでしょう。

これまでは機械任せだった「エネルギーの制御」も、HEMSによって可能になります。
従来の家庭用電化製品は、商品その物に付属するスイッチやリモコンなどを通じて電源を入れ、パネルやボタンを操作することで能力を発揮してきました。
しかし、HEMSであればPCやタブレットで電化製品を操作できるようになります。
エアコンを例にとると、「室温28℃以上で強風に切り替える」「設定した電力使用量に達したら電源を落とす」といった条件を指定し、運転を制御することも可能です。
こういった技術は、部屋の温度や湿度、照度をセンサーが感知することで実現しました。
スマートフォンのGPS機能にも対応していますので、「住人が帰宅する直前にスイッチを入れて部屋を暖める」など、ライフスタイルに合わせた設定もできます。
なお、HEMSで制御できるのは「ECHONET Lite」という通信プロトコルに則った製品だけですので、家電を購入するときは規格を調べることも忘れないようにしてください。

消費より作るエネルギーのほうが多いZEH

年間を通じて、消費するエネルギーより創出するエネルギーが上回る住宅が「ZEH(Net Zero Energy House)」です。
エコの観点から見たとき「究極のスマートハウス」ともいえるZEHの実現には、次に挙げる3つのポイントをクリアする必要があります。

・エネルギーを必要としない建物

壁には断熱材を入れ、窓は二重サッシ化するなど、外気の影響を室内に持ち込まない建物にします。
いわゆる高気密・高断熱住宅のことです。

・エネルギー消費を抑える

照明をLED電球に変え、省エネ家電を使う、石油ストーブを使わないなどの工夫によって、エネルギー消費を抑えます。

・エネルギーを作る

ソーラーパネルなどを設置して電力を作り、蓄電池に溜めて利用します。

現在の技術では、家庭用の太陽光発電だけで家で消費する全エネルギーをまかなうことは困難です。
しかし、ZEHは年間を通すと、作った電力量が消費電力を上回ります。
地球環境に優しいことはもちろん、余った電力を売ることで家計にも優しい住宅といえるでしょう。

国がエコリフォーム、エコ住宅=スマートハウス化をバックアップ

スマートハウスを構成する要素は、HEMS・ソーラーパネル・家庭用蓄電池・スマート家電の4つです。これらの導入費用は、新築でもリノベーションでも400万~500万円と高額ですが、エコ住宅やZEH、太陽光発電を支援している国や地方公共団体が補助してくれます(代表的なものは国土交通省の「住宅ストック循環支援事業」や資源エネルギー庁の「ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス支援事業」など)。
なお、国土交通省の支援事業を利用する場合、中古住宅は2017年6月30日までに売買契約を結んで申請、2017年12月31日までに住宅の引き渡しを受ける必要があります。
エコ住宅に建て替える場合、エコリフォームをする場合も、それぞれ条件が定められていますので、それらをしっかり調べた上で申請するようにしましょう。
これは、資源エネルギー庁の支援事業や太陽光発電への支援についても同様で、設置する設備などによって補助金は増減します。
また、それぞれ期限が定められていますので、住宅メーカーやリフォーム業者にお問い合わせください。

スマートハウスを新築するのであれば、各メーカーが公開しているプランを見比べ、自分の生活に最適なものを選ぶことが大切です。
また、一定以上の規模のメーカーであれば、全国にある住宅展示場でスマートハウスを体感することもできます。
住宅専門の会社、家電会社の住宅関連会社、自動車メーカーの住宅関連会社など、住宅メーカーによって得意とする分野は異なりますから、それぞれの特徴を知った上で選びたいものです。
また、家庭用蓄電池と同様の働きをする「電気自動車」を取り入れると、さらにエネルギーの無駄を減らせます。
電気自動車は国内外のメーカーが力を入れて開発していますので、それぞれのスペックを比較した上で乗り換えを検討してください。