マイナス金利と住宅ローン

2016.4.8

「マイナス金利」という言葉は、最近ニュースでもよく取り上げられているので聞いたことがある人は多いと思います。中には「マイナス金利だから、いまこそ家を買う時だ!」と喜んでいる人もいるのではないかと思いますが、今から家を買うことがそんなに得なのでしょうか。そもそも、マイナス金利とはどういうものなのでしょうか。ここでは、マイナス金利の基本から、住宅ローンとの関係性までを探ってみたいと思います。

マイナス金利っていいことなの?

2016年1月29日に、日銀の金融政策決定会合で導入が決定された「マイナス金利」という政策。中長期的な日本経済全体への影響については長い目で見守っていく必要がありますが、住宅ローンの金利の面では早々にプラスの影響が出ているといわれています。
マイナス金利とは、金融機関が日本銀行に持っている当座預金のうち、任意で預けている額についてマイナスの金利をつける政策のことをいいます。

仮に金利が年0.1%の円預金に100万円を預けたとしたら、通常では1年後に利息が1,000円つき、合計100万1,000円となります(わかりやすくするために税金は省略)。しかし、年利-0.1%の円預金に100万円を預けると、1年後に預金額は99万9,000円になってしまいます。これがマイナス金利です。
これまでは日銀にお金を預けていれば金利がついていたのに、このマイナス金利政策によって逆に手数料を払わなければならなくなってしまうため、各金融機関は日銀にお金を預けることをやめて、企業や個人への貸し出しに回すようになります。そうすれば、金融機関はほかから金利を得ることができます。こうしたアクションを起こさせることで経済の活性化につなげようというのが、このマイナス金利政策の目的なのです。
なお、日銀は今回、この当座預金口座の金利全体を一気にマイナスにするのではなく、0.1%、0%、-0.1%と3段階に分け、金融機関の収益が大きく悪化しないような配慮をしています。

マイナス金利政策により銀行機関は即反応?

中長期的な日本経済全体への影響については長い目で見守っていく必要のあるマイナス金利政策ですが、住宅ローンの金利には早速プラスの影響が出ています。
マイナス金利導入後、注目されていた住宅ローン業界の動きとしては以下のようなものが見られます。

・住信SBIネット銀行:住宅ローンのお借換えキャンペーンを延長
・ソニー銀行:2016年3月の住宅ローン金利を引き下げ
・みずほ銀行:2016年3月の住宅ローン金利を引き下げ
・楽天銀行:2016年3月のフラット35の金利を引き下げ(フラット35史上最低金利を更新)

ほかにも、いくつかのメガバンクや地方銀行が住宅ローン金利の引き下げを発表するなど、異例の金利引き下げ競争が行われています。
住宅ローン金利は、固定金利を中心にこれまでにない低金利となっています。またこれを機に、多くの方が住宅ローンの借り換えに動き出しています。このため、人気の住宅ローンには申込みが殺到する可能性があるのではないでしょうか。

今月の主要銀行の住宅ローン金利についてはこちら

マイナス金利政策を行っているのは日本だけ?

マイナス金利は、欧州ではいくつかの国で定着しつつありますが、日本国内では2016年2月9日に初めて長期金利が0.0%を記録して以来、一時はプラス金利へと反発しましたが、2016年3月8日には過去最低の-0.1%まで下がり、今後も中長期的にマイナス金利が続く可能性が高まっています。
この長期金利は、住宅ローンの金利に連動する非常に重要な指標といえるもので、すでに対策のために動き出している金融機関はいくつかありますが、この状態がこのまま続けば、各銀行の住宅ローン金利も過去最低水準で推移していく可能性が高いといわれています。
マイナス金利政策には賛否両論あり、大きな波紋を呼びましたが、世界規模で見るとすでにマイナス金利を導入している中央銀行はいくつか存在しています。例えば、ECB(欧州中央銀行)やスウェーデン、スイス、デンマークといった国々です。特にデンマークでは、住宅ローンの金利がマイナスになっているため、なんと住宅ローンを借りるとお金がもらえるという現象さえ発生しているのです。

マイナス金利で住宅ローンの金利引き下げ競争が加速する?

これまでに説明してきた内容と一部重複する箇所もありますが、認識を高めるためにあえて記載しておきます。
一般的に、銀行は一般消費者からお金を預かって、その資金を運用して収益を上げていますが、もし資金の運用先が見つからなかった場合などには、日銀の当座預金に預け入れを行っています。

今回のマイナス金利政策によって、日銀の当座預金に預け入れをするとお金が減ってしまうことになるため、銀行としては損失を生じさせないために、どんなに低い金利でもお金を借りてくれる借り手を探す必要があります。そこで注目されたのが住宅ローンなのです。

住宅ローンは担保(購入したマイホーム)もしっかりあり、貸し倒れが少ない優良な貸し出し先だといえます。資金の貸し出しを強化しなければならない状況下にある銀行が、住宅ローンの金利引き下げ競争を加速させることになるのは明白なのです。

一部の金融機関では、当初の金利を10年固定金利で0.79%と非常に低く設定しており(2016年3月現在)、住宅ローンを組むことによって支払う利息額よりも、住宅ローン控除で戻ってくる金額のほうが多くなるというケースも出てきます。

このような状況下では、どのような金利タイプで借りるのがいいのか迷ってしまうかもしれません。しかし、マイナス金利が導入された今日、近い将来のうちに金利が急上昇するということは考えにくいですが、この先20年、30年という長いスパンで見てみれば、少なくとも現在よりも金利が上がっている可能性は高いといえます。

月単位で金利を発表する金融機関が多いため、月末にはすべての金利が出そろいます。変動金利型(半年型)も固定金利型も、しばらくはこれまでにない史上最低の金利になることが予想されています。そのため、現在、住宅ローンを借りている方にとっては、借り換えを行う絶好のチャンスであるといえます。金利差だけに着目するのではなく、借り換えのコストも含めてシミュレーションをしてみて、メリットがあるようならこの機会に家計の負担を軽減してみてはいかがでしょうか。

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マイナス金利を利用して住宅ローンを賢く活用

マイナス金利というのは、あくまで銀行間限定のものです。先にも解説しましたが、銀行が日銀に預金をしたまま貯め込んでしまわないように「これからは預かり手数料をいただきますよ」とすることで、銀行は損をしないために積極的に企業や個人などの外部に融資をするようになる、というロジックを生むための仕組みなのです。これは、お金を循環させることで経済の成長を促すためのものなので、個人の預金が負の金利になるわけではなく、かえって住宅ローンの金利が引き下げられるという、ある意味「恩恵」を受けることになるものです。
住宅ローンは、申込みから審査・融資の実行までに時間がかかるものです。申し込んでから実際に融資が実行されるまでに、1ヵ月以上時間がかかってしまうこともあるようです。また、審査に落ちる可能性もあります。さらに、住宅ローンの金利は基本的に申込日の金利ではなく、実際に契約した日の金利が適用されます。そのため、この超低金利のあいだに住宅ローンの借り入れや借り換えを考えている方は、できるだけ早めに借り入れできそうな銀行に申込みを行うのが得策です。
なお、低金利のメリットを長期的に受けるためには、市場金利が将来アップしたとしても毎月の返済額に影響を与えない固定金利型を選択する必要があります。
いずれにしても、これから住宅を購入するために、新規で住宅ローンの借り入れを検討している方や借り換えを検討している方にとっては、今こそがベストなタイミングといえるのではないでしょうか。

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