投資用不動産購入後、オーナーが帰国前にやるべき3つのこと

日本の投資用不動産の購入手続きは、売買決済が終わったら終了というわけではありません。
入居者の募集・物件管理を代行する管理会社の選定や、リフォームを請け負う業者探しと、まだまだすべきことは残っています。
オーナーが日本国外在住の中国人の場合、自国に戻るまえに、これらの代行業者を選定しておかなければなりません。
ちなみに、帰国前に最低限決めておかなくてはいけないことは次の3点です。

1. リフォーム業者の選定
2. 不動産管理会社の選定
3. 納税管理人の選定

いずれも、日本で投資用不動産を運営していく上で欠かせないものです。
それぞれについて、もう少し詳しく紹介していきましょう。

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中古物件を生まれ変わらせる「リフォーム業者の選定」

購入した物件が中古物件の場合、適切なリフォームを行うことで物件の評価が上がれば、リフォーム前より高い家賃で貸し出すことが可能になります。
特にお風呂やトイレをはじめとする水回りや、キッチン・床などの目立つ場所は、部屋の印象を大きく左右しますので、リフォームを行うことが入居希望者の高評価につながりやすくなります。
トイレの便座を「温水洗浄便座」に変更する、洗面台を「シャンプードレッサー」に変更するなど、部分的なリフォームでも効果がありますので、中古物件を購入したときはリフォームを考慮すると良いでしょう。

リフォーム業者は、不動産会社からの紹介やインターネットを通じて探すことができます。
ただし、業者の数は多い上、それぞれ専門分野が分かれていますので、所有物件の工事にマッチする業者を個人で探すことは、とてもたいへんです。
まずは、物件を購入した不動産会社に相談をして、複数のリフォーム業者を紹介してもらい、それぞれに見積もりを依頼して比較するといいでしょう。

また、当然ながらリフォームが終わるまでは物件を貸し出せませんので、その間は家賃収入もゼロになります。
なるべく早く貸し出すためには、工事開始までの期間をできるだけ短くするのがポイントです。
物件の買い付け申込みをしたころからリフォーム業者を探し始め、購入後、速やかにリフォーム工事へと移るのが理想です。

物件の入居者を決める窓口「不動産管理会社の選定」

リフォーム業者選びと同様に、入居者の募集と物件の管理を担当する管理会社の選定も重要です。
管理会社の「客付け能力(入居者募集能力)」は、そのまま物件の家賃収入に直結します。
投資用不動産の理想は満室運営ですが、それを実現する管理会社を選ぶことが回収期間を短くし、次の投資につながっていくのです。
管理会社を選ぶ際は、以下のチェックポイントを確認するようにしましょう。

・物件からの距離が近い
入居希望者への物件案内や、入居後のトラブルなどに迅速に対応してくれる、物件の近くにある管理会社がおすすめです。

・きめ細かい管理体制がある
入居者の家賃滞納や入居者からの苦情の申入れなど、賃貸住宅にトラブルは付き物です。
トラブルの際にどんな対応を取ってもらえるのか、必ず最初に確認しましょう。

・客付け能力が高い
店舗が駅に近いといった立地が良いことや、地域密着の独自のネットワークを持っていることなどは、客付け能力の高さの目安になります。

・相談しやすい
中国語に対応可能か否かも判断のポイントです。
母国語で円滑な交渉ができれば、契約時はもちろん、その後の相談もしやすくなります。

管理会社を選定したら、家賃やペット飼育の可否といった「賃貸条件」を決めて、入居者の募集を始めます。
なお、管理会社を選任して入居者募集・管理を委託するほか、物件の転貸(又貸し)を行う「サブリース会社」と賃貸借契約を結び、サブリース会社から一定の賃料を得るという方法もあります。
この場合、入居者の募集・管理はすべてサブリース会社が行いますので、オーナーが管理会社を探す必要はありません。
もし入居者がなかなか決まらず、長期間空き室状態になったとしても、サブリース会社から毎月家賃が振り込まれるというメリットもあります。
ただし、サブリース会社から得られる家賃は、管理会社に任せた場合に得られる家賃より低いというデメリットもあります。
利用を検討する際は、どちらが得かよく見極めた上で判断してください。

煩雑な処理をすべて任せられる「納税管理人の選定」

日本の法律では、海外に居住する外国人でも「日本国内に所在する不動産からの収入については税務署に確定申告をする」必要があります。
また、不動産の購入に際して発生する「不動産取得税」や不動産を持っていることで発生する「固定資産税」も納めなければなりません。
納税管理人は、オーナーに代わってこれらの手続きを行うことになります。

納税管理人に選定できる人の条件は特にありませんので、日本にいる親族や友人、あるいは法人に頼むことも可能です。
適当な人がいない場合は、税理士に頼むのが一般的になっています。
納税管理人を引き受ける税理士は、インターネットで探すか、不動産管理会社に紹介してもらうと良いでしょう。

なお、納税管理人の選定には、納税者である物件オーナー本人が、出国の日までに「所得税の納税管理人の届出書」を書き、納税地(日本国内に事務所などがない場合は、購入した投資用不動産の住所地)を管轄する税務署に提出する必要がありますので注意してください。

リフォーム業者、不動産管理会社、納税管理人の3者は、いずれも賃貸不動産で収益を上げるために欠かすことができない存在です。
リフォーム業者や管理会社の能力次第で「入居率に差が出る」ことも十分考えられます。
決めるまでの時間は限られていますが、なるべく多くの候補の中から慎重に選ぶようにしましょう。