今どきの海外不動産投資とは?進め方や注意点を解説します!

個人投資家が分散投資を考えるとき、海外不動産への投資は選択肢の1つになります。国内投資と海外投資はリスク要因が異なるので、海外不動産に投資することで国内投資のリスクを減らすことができるからです。

ただ海外不動産投資については「大きなリターンが期待できる」と聞く一方で、見知らぬ土地の不動産を購入することに不安を感じる方もいるでしょう。
そこでこの記事では、

  • そもそも海外不動産投資とはどういったものか
  • 海外不動産投資のメリット
  • 海外不動産投資のデメリット
  • 投資先の選び方
  • 投資物件の購入の進め方

について解説します。

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海外不動産投資とは?

海外不動産投資とは、海外の土地や建物を購入して、家賃収入や値上がり、為替差益といったリターンを狙う投資手法です。

「不動産投資なら日本国内で行ってもいいのでは?」と感じる方もいらっしゃるでしょう。
ただ、国内不動産投資は安定している反面、不動産価格の大幅上昇が見込めず住宅供給も過剰気味なため、リターンが小さいというネックがあります。
そこで今、海外不動産投資が注目されているというわけです。

海外不動産投資によって個人投資家が得る利益には、インカムゲインとキャピタルゲインの2つがあります。
インカム(income)は収入、キャピタル(capital)は資産、ゲイン(gain)は利益という意味です。
インカムゲインとキャピタルゲインは「どのようにして利益を上げるか」に関わる重要キーワードなので、以下で詳しく解説します。

インカムゲイン

国内でも海外でも、不動産投資においてインカムゲインといった場合、購入した不動産から得られる家賃収入のことを指します。「賃貸マンションのオーナーになって家賃を得る」といったイメージです。

アジアなどの新興国への不動産投資では、インカムゲインが魅力的になります。なぜなら、次のような特徴があるからです。

  • 不動産価格が先進国より安い
  • 経済成長率が高く賃料が値上がりする
  • 人口が急増して賃貸物件の需要が高まる
  • 国民所得が上昇して高い賃料を支払える中間所得層が増える

インカムゲインは一度に入ってくる収入額が小さいのですが、不動産価格が安ければ投資回収が長期化しません。また新興国はこれから住宅需要が増えることが期待できるので、効率よく稼ぐことができます。
アメリカやヨーロッパへの不動産投資でインカムゲインの魅力が薄いのは、投資する不動産価格が高すぎるため、投資を回収する期間が長くなってしまうから、いった理由があります。

キャピタルゲイン

キャピタルゲインは、購入した不動産を売却して得られる利益のことです。現地での不動産価格が値上がりしなくても、為替変動を利用すれば売却益を得ることも可能です。

アメリカやカナダやヨーロッパなどの先進国への不動産投資は、キャピタルゲインを狙った投資になるでしょう。
欧米先進国は不動産投資の人気が高く富裕層も多いので「高く買ってより高く売る」という投資方法も成立します。
また、本来の目的はキャピタルゲインでも、不動産を売却するまで賃貸にしてインカムゲイン(家賃)を得ることもできます。

海外不動産投資のメリットとデメリット

実は海外不動産投資には、メリットとデメリットの「差が激しい」という特徴があります。

メリット

海外不動産投資には次の3つのメリットがあります。

ハイリターンが期待できる

不動産価格はその国の経済と密接にリンクしています。よって、GDP成長率が高い新興国への不動産投資は、ハイリターンが期待できます。
例えばある国が7%の年成長率を10年続けた場合、その国の経済規模は約2倍に膨れ上がります。これだけ急成長すると都市部の不動産価格が高騰するので、投資のチャンスといえます。
一方、先進国は不動産投資に熱心な富裕層が多いという特徴があり、不動産価格は大きく変動するので、やはり投資チャンスが訪れやすいといえます。

海外だから日本の景気の影響を受けない

個人投資家が国内投資だけで運用してしまうと、国内景気に翻弄されることになります。
国内不動産と国内株式で資産運用している場合、両者が同時に値下がりしたら、資産のほとんどが消えてしまう恐れもあります。
そこで一部の資産を海外不動産に振り分けておけば、「日本の損失を海外で取り戻す」といったリスク回避ができるわけです。

外貨建て資産を持つことができる

海外不動産を所有することは、その国の貨幣を保有することでもあります。
日本は少子高齢化と人口減という成長阻害要因を2つ抱えているので、今後ますます円の価値が下がる可能性があります。円の価値が下がれば相対的に海外の貨幣価値が上昇するので、海外不動産の価値も上昇が期待できます。

デメリット

次に、デメリットについても3つ詳しく見ていきます。

海外情勢を読み誤るとすぐに損失が出る

海外不動産の価格はその国の経済に左右されるため、経済情報を頻繁に入手する必要があります。
しかし外国の経済情報はほとんど英語になるため、当然ながら英語のスキルがないと情報を入手できないことになります。
例えば2008年のリーマンショックは、アメリカの住宅バブルの崩壊がきっかけとなって世界中に不況の波が押し寄せました。このような事態に陥ると、不動産価値は一気に暴落し、キャピタルゲインは一転してキャピタルロス、つまりは損をする状態になってしまいます。

現物を見ずに投資することになりかねない

日本にあるアメリカ不動産仲介業者の1つは、アメリカ不動産への投資を考えている投資家に対し、現地ツアーを提供しています。
その費用は1回50万円ほどです。同社は「外国の不動産に投資する人はリサーチにコストをかけたほうがいい」と話しています。
しかし海外不動産投資の実態は、お金と時間と労力がかかるためほとんどの案件で現地視察は行われていません。

ローンを組んでレバレッジを効かせることができない

レバレッジ(leverage)の元の意味は「てこの力」です。投資の世界で「レバレッジを効かせる」という場合、「融資を受けて大きな投資をする」という意味です。

例えば1,000万円を投資しても、利回りが年率4%では年間40万円にしかなりません。もちろん40万円は小さな金額ではありません。しかし海外不動産投資のようなリスクが大きな投資では、「タイミングが来たときには大きな利益が欲しい」という心理が働くため「40万円しか」という気持ちになってしまう方も多いでしょう。
そこで銀行などから融資を受けて大きな投資をしたいところですが、海外不動産投資では通常、購入金額の5割程度しか融資を受けることができません。
ほぼ全額をローンでまかなうことができる国内不動産投資とはかなり事情が異なります。
海外不動産を長年ウォッチして上げ相場の兆候をつかんでも、自己資金が足りず十分な投資ができない、という事態に陥る可能性がありますので事前にこの事実を知っておく必要があるでしょう。

投資先の選び方


次にどの国の不動産に投資したらよいか考えてみましょう。
例えば「毎年ハワイに行っているからハワイの不動産に投資をしてみようかな」という発想は、一見シンプルすぎるように思えるかもしれませんが、実は堅実な方法かもしれません。それは現地の状況の「勘所(かんどころ)」が知らぬうちに養われているからです。
このように海外不動産投資の投資先の選考では、気に入っている国、良く知っている国、自分の投資スタイルにマッチしている国、という基準が大切になります。

中古住宅市場が魅力的なアメリカ

まずはアメリカです。日米政府の関係が良好なことと、文化になじみがあることから、アメリカは海外不動産投資先として人気です。
アメリカで不動産投資を行う場合、中古住宅市場が狙い目でしょう。新築物件を購入するほどの資金がなくても投資できます。
アメリカの中古住宅は市場流動性が高いため、購入した不動産を売却するときも時間がかかりません。

手持ちの余裕資金で運用するならフィリピン

フィリピンは長年の政情不安を克服し、経済成長期に入っています。英語人口が多く、日本人が比較的コミュニケーションを取りやすい国民性です。
また不動産投資にとって魅力的な、高成長、日本に近い、割安という3条件がそろっています。
フィリピンの不動産価格はまだ安いので投資額が小さくて済みます。「まずは手持ちの余裕資金で始めたい」と考えている海外不動産投資初心者に向いている投資先といえるでしょう。

安定志向ならシンガポール

シンガポールは、

  • アジアの金融センターと呼ばれるほどの高度かつ安定した経済
  • 政情不安が少ない
  • 自然災害が少ない

という特徴があり、不動産投資に向いています。
またシンガポールは国を挙げて世界の投資を呼び込もうとしているので、金融サービスも整っています。
富裕層が多くインフラも充実していることから、シンガポールへの投資は、アジアへの投資というよりアメリカへの投資に似ているかもしれません。
逆にフィリピンのような高成長や割安というメリットは、シンガポールでは見出しにくいでしょう。
「アメリカは遠すぎる、フィリピンはリスクが大きすぎる」と感じている方には、ちょうどよい投資先かもしれません。

購入の進め方

資金の目途がつき、リスクも十分理解できたら、具体的に海外の不動産を購入する手続きに入ります。
個人投資家が海外の不動産に投資するには仲介業者のサポートを受ける必要があります。ここでは仲介業者の選定方法を含む海外不動産の購入方法と、購入時の注意点について見ていきましょう。

購入方法

いよいよ購入!となった時の流れを説明します。是非参考にしてみてください。

⓵サポート企業を探す
海外不動産投資をする個人投資家をサポートする企業は、日本国籍の企業と海外国籍の企業に分かれます。どちらにも一長一短あります。

日本企業の場合、もちろん日本語で相談できたり、日本の税制に詳しい人が多かったりするので安心できますが、肝心の海外情勢についてどの程度把握しているのかが不安になります。
例えばA国に強い業者がB国に精通しているとは限りません。投資したい国に何人ぐらいの現地スタッフがいるのか確認したほうがいいでしょう。
そして海外企業にサポートを頼む場合、まずは言語の違いを乗り越える必要があります。ビジネス英語や法律英語は、通常の英会話とは別のものであると言ってもよいかもしれません。。
海外企業が日本支社に日本人スタッフを置いている場合でも、その日本人スタッフが本当に海外不動産に精通しているかどうか確認したほうがいいでしょう。

②情報収集と銀行口座の開設
サポート企業(仲介業者)を決めたら、次は情報収集になります。投資国を決め投資物件を決め、投資のタイミングを図ります。
サポート企業の担当者からレクチャーを受け、購入するかどうかを決めます。
もし可能であれば渡航して不動産の現物を視察しほうがいいでしょう。
さらに投資国の銀行に口座を開設したり、税金の納付方法を確認したりといった事務手続きが必要になります。ただこうした事務手続きではサポート企業が力を発揮してくれます。

③出口戦略を練る
そして購入時、最も重要なのは売却方法の検討です。「まだ買ってもいないのに売却を考えるのか?」と思われるかもしれませんが、海外不動産に住む可能性がなければ「買う」ことと「いつか売る」ことは同義です。
いくらになったら売るのか、いくら損したら売ってしまうのか、については、常にサポート企業と相談しながら進めていってください。
売却タイミングを検討することを「出口戦略」と言います。海外不動産投資では、国内投資よりもさらにしっかりした出口戦略を練っておく必要があるでしょう。

購入する時の4つの注意点

それでは次に、購入の際に気を付けるべき4つの注意点を紹介します。

①良いことばかりを言う業者はNG!
海外不動産投資の成否は、サポート業者の選定にかかっているといっても過言ではありません。
どの業界でも共通しますが「良いことばかりを言う」業者には注意が必要です。また、契約を迫る業者も同様です。
また手数料が安すぎるサポート業者も敬遠したほうが無難です。投資家にしっかりと利益を得て貰えるようなサポートをする企業は、一般的な手数料を必要とするでしょう。

②プレビルド物件への投資は完成後の管理態勢の確認が必要
完成前の建物「プレビルド物件」に投資するときは、完成後の管理態勢まで確認する必要があるでしょう。
建物が完成したものの賃貸や売却の目途がまったくたたない、といったケースもあります。

③不動産周辺の局地的な情報が大切
いくら成長率が高い国でも、特定の地域に建物の建設が集中すると不動産価値は上がりません。「建設ラッシュ」は好景気の証なのですが、局地的に空室率を高めるかもしれません。
投資を検討している不動産の周辺情報は事細かに調べておきましょう。

④投資の上限額を決めておく
出口戦略にからむことですが、事前に投資額の上限を決め、それ以上は投資しないようにしてください。
上限額を投資しても儲けがない場合は、潔く撤退することも必要です。
不動産は維持費がかかるので、儲けが出ないことが確実な場合、保有し続けると損失を膨らませるだけになります。

まとめ

海外不動産投資は大きなリターンを期待できるものの、リスクが大きかったり情報収集が難しかったりと「困難さ」もあります。投資のスタイルとしては、よほど海外の情勢に精通している人をのぞいて、国内投資をメーンに据え、それを補完するために海外不動産投資を検討してみてはいかがでしょうか。

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ABOUTこの記事をかいた人

フリーライター。主に不動産や金融やビジネス一般を執筆。北海道大学法学部卒、鉄鋼メーカーの資源部、新聞社の人事部、記者(経済担当)などを経て2017年にライティング事務所office Howardsendを開設して独立。北海道在住。