固定資産税を滞納するとどうなる?差し押さえや競売を避けるために出来る事

固定資産税の納付をうっかり忘れてしまった・・・!といった時、一体どうなってしまうのでしょうか?支払は後日でいいや、と後回しにしてしまうと、自宅が競売にかけられてしまうかもしれません。
そのような事態にならないよう、固定資産税の滞納についてしっかり理解して万が一に備えておきましょう。ここでは、差し押さえや競売になってしまうまでの流れや、それらを解除する方法や注意点などをご説明いたします。

固定資産税の滞納で財産を失ってしまう!?

大原則として固定資産税は滞納すべきではありません。数か月の滞納であれば大きな問題にはなりませんが、1年以上滞納している場合には注意が必要です。
まずは、固定資産税を滞納した場合のリスクを挙げてみたいと思います。

①土地や建物が差し押さえられる
支払が滞るとまず督促状が送られてきます。督促状には、期日までに未納分の固定資産税の支払が無い場合には土地や不動産を差し押さえる旨の記載があります。
この督促を放置していると、家ごと差し押さえられるという事態になりかねません。

②給料や預貯金が差し押さえられる
差押えは預貯金口座まで及びます。銀行などに現金を預けている場合、残高が差押口という別口座に移される場合があります。

③延滞金が請求される
滞納した場合、東京都では年利9.0%という高い延滞金が発生することになり、毎年、年間で元本の1割近くが増えていってしまいます。長期滞納してしまうと延滞金の納付も容易ではありません。

④自己破産しても免責されない
固定資産税を含む公的な請求権は非免責債権に該当するため、自己破産した場合であっても支払いを免除されることはありません。

続いて、固定資産税の滞納から財産が売却されるまでの流れをご説明したいと思います。

①督促状の発送

固定資産税の納期限を過ぎても支払いがない場合は滞納となり、自ら相談に行かない限り徴収職員から督促状が届きます。督促状は納付期限から20日以内に発送されます(地方税法371条1項)。
発送された日から10日以内に滞納が解消されない場合には、滞納者の財産を差押えしなければならないと法律で定められていることから、10日を過ぎた後は、いつでも財産を差し押さえることが可能となります。
役所から督促などの連絡があった場合には、放置することなく誠実に対応しましょう。

②財産調査と捜索
督促等を無視し続けた場合、徴収職員は国税徴収法141条に則って「財産調査」や「身辺調査」が行われます。
財産調査とは、滞納者の預金や保険金などを調査することで、支払能力の有無を把握することです。民間の貸金業者と異なり、勤務先や預金口座の特定は比較的簡単に行われてしまいます。

③財産の差押え
差し押さえられる財産がある場合には、財産の差押えが行われます。
不動産の換価手続きは非常に面倒で時間もかかるため、通常取り立てが簡単な預金口座の差押えや、勤務先の給与の差押えが先に行われ、財産の差押えは最後の手段となります。

④競売にかけられる
差し押さえられた財産は、競売で売却されます。
また、自営業で給与の差押えが出来ない、預金残高がほとんどない、といったように差押え可能な財産がない場合には、実際に自宅にある動産を差し押さえるケースもあります。この場合の動産は高価買取が期待できる自動車、バイク、ブランド品などの貴重品、絵画・骨董品等が対象であり、生活必需品などは差押禁止財産として差し押さえることができないとされています(国税徴収法75条)。

滞納はいつまでであれば大丈夫?

役所は営利目的の民間企業と異なるため、多少の滞納は見逃してくれるのではないかとお考えの方もいらっしゃるかもしれませんが、税金の滞納を役所が見逃すことはありません。
滞納が発生した時点で、早急に役所に相談に行くことをお勧めします。滞納者が自ら相談に行くケースは多くないため、徴収職員に好印象を持ってもらえるでしょう。
先ほど説明した「②財産調査と捜索」の段階まで進行している場合、滞納額が多額になっているか、もしくは滞納者に納税する意思がないと徴収職員に判断されている可能性が高いため、このタイミングだと分納の相談をしても断られる可能性が高まってしまいます。

固定資産税の時効とは

固定資産税は納付期限から5年間を経過すると、時効により消滅します(地方税法18条)。ただし、同条第3項の規定によって民法の消滅時効に関する規定が準用されており、民法第147条の規定により下記の事由が発生すれば時効は中断します。

  1. 請求
  2. 差押え、仮差押え又は仮処分
  3. 承認

時効の中断とは、一旦リセットされることを意味し、その翌日から起算してさらに5年後が新たな時効となります。
財産の差押えがある場合には、上記の中断事由に該当するため、差押えの解除があった日の翌日から5年後が新たな時効となります。
固定資産税にも時効はありますが、時効により納付を逃れようと考えることは得策とは言えません。

固定資産税を滞納している場合の対応策

固定資産税を滞納している場合、先ほどご説明したように、最終的に自宅が競売にかけられるという事態に至りかねません。そこで、滞納している場合にどのような対策を取るべきか確認していきます。

①通常の分納
一般的にとられる対策が通常の分納による納付です。
徴収職員と話し合い、そこで作成した分納計画通りに納税する方法であるため、手順がシンプルで簡単というメリットがあります。
一方で口約束になってしまうため、計画通りに納税できなくなった場合に弁明の機会が設けられず、差押えのリスクが高く、延滞金の優遇措置がありません。

②徴収猶予
徴収猶予とは、納税者の財産が震災や災害により失われてしまったり、盗難、事業廃止、親族の病気や負傷など特殊な事情が発生したことで固定資産税を支払うことが出来なくなってしまった場合に、固定資産税の納付について1年間の猶予を受けることが出来る制度です。
メリットは、条件によって延滞金を50~100%免除することができる、分納計画通りに納税できなくても弁明の機会を与えられる、猶予期間中の差押えは行われない、すでに差し押さえられている場合は差押えを解除することが出来る場合がある、という点が挙げられます。
一方、条件に該当しない人は制度を利用できない、用意する書類の準備に手間がかかる、というデメリットもあります。

③換価の猶予
換価の猶予とは、納税者の財産の換価を直ちにすることで、事業の継続や生活の維持が困難になる場合、かつ納税者が税金を支払う誠実な意思があると認められると認められる場合に、1年間(やむを得ない事情がある場合2年間)の猶予を受けることが出来ます。
固定資産税の滞納に特別の事情がないために徴収猶予を利用できず、すでに財産の差押えを受けている人は換価の猶予の手続きを取ります。
ここで重要になるのは誠実に固定資産税を支払おうとする態度になります。先ほど触れましたが、支払うことが難しい場合に役所に相談に行くというのは、この換価の猶予を見越しての行動であると言えます。
換価の猶予の詳細については、国税庁が作成した「猶予の申請の手引」が詳しいので、検討される方は是非ご一読ください。

滞納を避けるために注意出来る事

そもそも、滞納となってしまうことを避けるためには、購入前の資金計画の段階で固定資産税を含めた諸経費を織り込んでおくことは欠かせません。経済的に固定資産税を負担できないということは、住宅を保有し続けることも困難であるというシグナルになってしまいます。
物件引渡後にも固定資産税・都市計画税の納付の他に、月々の管理費、修繕積立金、住宅ローンの返済など、継続的に発生する支出がありますので、あらかじめそれぞれの支出の時期、金額を把握し、余裕を持った資金計画を立てておきましょう。

ABOUTこの記事をかいた人

平成16年一橋大学商学部経営学科卒業後、平成22年に公認会計士登録。平成27年にはYAC税理士法人仙台事務所に入所し、平成27年、税理士への登録を行う。現在は『富樫研輔公認会計士事務所』を開設しており、同時に『YAC公認会計士共同事務所』の代表公認会計士として活躍中。