【会計士が解説!】カーポート設置で固定資産税は増えるのか?

カーポート

「カーポートを設置すると固定資産税があがりますか?」という相談を受けることがあります。答えは「個人の住宅用途であれば固定資産税はあがらないが、事業用途や法人所有の場合には償却資産として固定資産税はあがる。」となります。この仕組みを会計士が詳しく解説いたします。

カーポートの設置と固定資産税(家屋)の考え方

こちらの記事でも詳しくご紹介しましたが、住宅に係る固定資産税は「土地」と「家屋」の課税標準額に基づき課税されます。住宅用のカーポートの場合には固定資産税の課税対象である家屋に該当しないため、固定資産税が課税されることはありません。

固定資産税の対象となる「家屋」の定義

まず、固定資産税の対象となる家屋についてですが、具体的には住宅、店舗、工場、倉庫その他の建物とされています。家屋としての認定は原則として1月1日の現況に基づいて判断されますが、以下の要件をすべて満たした場合には、社会通念上1個の建物と認識することが出来るので家屋と認定され、固定資産税の対象となります。具体的には以下が要件となります。

  • ① 定着性・・・基礎があり、土地に定着しているか
  • ② 外気遮風性・・・「屋根」があり「三方向以上の周壁」があるか
  • ③ 用途性・・・居住・作業・貯蔵などの用途に供し得る状態であるか

通常、カーポートには屋根はあるものの壁がないため、外気遮風性の要件を満たしていません。従って、カーポートは「家屋」とはみなされず課税の対象外となり、固定資産税は課税されません。これは、屋上がデッキ仕様の場合にも同様です。

そもそもカーポートとは?車庫(ガレージ)との違い

これまでカーポートと固定資産税の関係について説明してきましたが、ここではカーポートと車庫を比較し、その違いをまとめたいと思います。

項目

カーポート

車庫(ガレージ)

イメージ

構造

屋根と柱で構成されている

屋根と周壁(左右+背面)で構成されている
*前面にシャッター等がある場合もある

定着性

外気遮風性

×

用途性

×

固定資産税(家屋)の対象か?

家屋としては対象外(非課税)
*ただし、事業用の場合は償却資産として課税対象になる

家屋として対象(課税)

土地の建蔽率*¹に含まれるか?

原則として建築基準法上の建築物に該当し、建蔽率に含まれる
ただしカーポートについて緩和条件を設けている場合あり

原則として建築基準法上の建築物に該当し、建蔽率に含まれる

土地の容積率*²に含まれるか?

原則として容積率に含まれる

原則として容積率に含まれる
ただし、ビルトインガレージや地下に車庫を設ける場合には、延べ床面積に占める割合により容積率に含めなくてよい場合あり

*¹建蔽率(けんぺいりつ)・・・建築敷地面積に対する建築面積の割合の事
*²容積率(ようせきりつ)・・・延床敷地面積に対する建築面積の割合の事

カーポートは屋根と柱のみであるため外壁遮断性及び用途性がなく、固定資産税は家屋としては対象外となります。一方、車庫は屋根と周壁で囲われ、家屋としての要件を満たすため住宅用であっても家屋として固定資産税が課税されることとなります。

車1台分の車庫(ガレージ)で固定資産税はどれくらいあがるの?

車1台分の車庫は駐車する車のサイズにもよりますが、ここでは標準的なサイズであれば間口2.8m×奥行5.4m=約15㎡必要です。そこで、車庫1台分が増えたときの固定資産税を計算してみましょう。

評価額40万円の車庫を建てた場合
 40万円×1.4%=5,600円

住宅と比較すると税額は小さくなるものの、車庫も家屋と同様に、使用する材質や床面積及び付属設備により評価額が変わります。複数台止められる大きな車庫を建てる際や、電動シャッターなどの高額な設備を導入する場合には、固定資産税も事前に検討された方がいいかもしれません。

「カーポートで固定資産税があがる」という誤解はどこから?

では、「カーポートで固定資産税があがる」という誤解はなぜ生じるのでしょうか。
主な原因は2つあると考えられます。

「家屋の固定資産税」と「法人所有の償却資産にかかる固定資産税」の混同

これまで固定資産税は「家屋」を前提に説明してきましたが、固定資産税の課税対象は「土地」「家屋」「償却資産」の3つに分けられます。カーポートは「家屋」としては固定資産税の対象になりませんが、「償却資産」として課税の対象となるのです。

では「償却資産」とは何かという話に移りますが、一般に以下の要件を満たすものになります。

  • 土地及び家屋以外の事業の用に供することができる減価償却資産
  • ② 減価償却費が法人税法又は所得税法の規定による所得の計算上損金又は必要経費に算入される

すなわち、カーポートを法人もしくは個人事業主が事業用として設置した場合には、上記の償却資産の要件を満たし、固定資産税の課税対象になるのです。
自宅のカーポートは家屋には該当しないため固定資産税が課税されないという話と、事業のためのカーポートは償却資産に該当するため固定資産税が課税されるという話が混同され、「カーポートで固定資産税があがる」という誤解に繋がっていると考えられます。

建築物の建蔽率や容積率を気にした「カーポートは実地調査後に」から誤解

先ほどの比較表で触れましたが、カーポートは固定資産税の家屋には該当しないものの、建築基準法上は建築物に該当し、建蔽率等の計算の対象に含まれます。
建蔽率いっぱいの広さで家を建てている場合、カーポートを建ててしまうと検査を通らなくなってしまいます。このような場合には、不動産会社の方から「カーポートは検査が終わってから設置してください」と勧められることがあります。
これが「カーポートは固定資産税の調査が終わってから設置してください」という話に置き換わり、カーポートは建蔽率の計算にも含まれることから、固定資産税の計算にも含まれるとの誤解が生じたものと考えられます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?家屋の固定資産税は、市町村(東京の場合は都)が決定しています。もしも不安がある場合には、家屋を管轄する役所に相談をしてから、設置されるとよいでしょう。

ABOUTこの記事をかいた人

平成16年一橋大学商学部経営学科卒業後、平成22年に公認会計士登録。平成27年にはYAC税理士法人仙台事務所に入所し、平成27年、税理士への登録を行う。現在は『富樫研輔公認会計士事務所』を開設しており、同時に『YAC公認会計士共同事務所』の代表公認会計士として活躍中。