【FPが解説】固定資産税が軽減されるための条件と、控除の手続きの仕方

 固定資産税には軽減措置があり、所有する住宅や土地が一定の条件を満たしていれば、税負担額を減らすことができます。控除を受けるためには、軽減される条件が適用されるかを確認し、申告手続きをしなければなりません。控除の具体例や手続き方法についてファイナンシャル・プランナーがわかりやすく解説いたします。

固定資産税の軽減措置とは?

 前回は、固定資産税の課税方法について解説し、そのなかで特例をご紹介しました。
【FPが解説】固定資産税の支払い時期はいつ?通知と支払いの方法は?
今回は東京都23区内を例に、さらに詳しく見てみます。まず固定資産税の税率について確認しておきましょう。固定資産税は以下の計算式で求めることができます。

(固定資産税の計算方)
固定資産税=課税標準×1.4%(標準成立)

なお、課税標準とは、固定資産課税台帳登録価格(固定資産税評価額)のことです。原則として3年に1度評価替えされます。

住宅用地およびその特例措置

 住宅用地には、税負担の軽減を目的に、課税標準の特例措置が設けられています。この特例措置を適用した額(本則課税標準額)は、住宅用地の区分に応じて次のように算出されます。

  • 小規模住宅用地(住宅用地で住宅1戸につき200㎡以下の部分) → 課税標準×1/6
  • 一般住宅用地(小規模住宅用地以外の住宅用地) →  課税標準×1/3

住宅用地とは、住宅用家屋(専用住宅、アパート等)の敷地や、その敷地と一体となっている庭、自家用駐車場などのことです。業務用家屋の敷地や駐車場、住宅の建築工事中の土地や建設予定地などは含まれません。土地や家屋の状況に変更があった場合は、申告する必要があります。
なお、この特例措置には、期間の定めはありません。

新築住宅

 住宅を新築した場合、基本的に固定資産税額の2分の1が減額されます。(新たに課税される年度から3年度分に限ります。)先ほどの課税標準の特例とは異なり、こちらは固定資産税額そのものの減額です。

【必須要件】

  • 平成30年3月31日までに新築された住宅物件

【変動要件】

  • 3階建以上の耐火・準耐火建築物:対象期間が5年度分に延長
  • 固定資産税額の限度額:居住部分で1戸あたり120㎡相当分まで

【床面積要件】

  • 一戸建て住宅 → 床面積50㎡以上280㎡以下
  • 住宅に店舗などが含まれている併用住宅 → 居住部分の床面積が全体の2分の1以上 かつ 50㎡以上280㎡以下
  • アパートなどの共同住宅 → 独立的に区画された居住部分の床面積に、廊下や階段などの共用部分の面積を按分し、加えた床面積が50㎡以上280㎡以下(貸家の場合、40㎡以上280㎡以下)
  • マンションなどの区分所有の住宅 → 専有部分のうち居住部分が、その専有部分の2分の1以上で、居住部分の床面積に廊下や階段などの共用部分の面積を按分し、加えた床面積が50㎡以上280㎡以下(貸家の場合、40㎡以上280㎡以下)

認定長期優良住宅

 認定長期優良住宅を新築した場合、新築から5年度または7年度(新築中高層耐火建築物)、120㎡までの床面積に対する固定資産税額の2分の1相当額が減額されます。

【必須要件】

  • 一定の要件を満たす認定長期優良住宅を新築

既存住宅の耐震改修

 既存住宅の耐震改修工事を行った場合、120㎡までの床面積に対する固定資産税額の2分の1相当額が減額されます。減額は、耐震工事が完了した翌年度分に限ります。

【必須要件】

  • 昭和57年1月1日以前からある住宅が対象
  • 平成30年3月31日までに改修工事を行う
  • 一戸あたり50万円以上の改修工事を行う

【変動要件】

  • 東京都23区内:固定資産税が全額免除に(120㎡までの床面積分)
  • 東京都23区内で耐震建て替え:減額が3年度分に延長、全額免除に(120㎡までの床面積分)

既存住宅のバリアフリー改修

 既存住宅に対してバリアフリー改修工事を行った場合、100㎡までの床面積に対する固定資産税額の3分の1相当額が減額されます。減額は、バリアフリー改修工事が完了した翌年度分に限ります。

【必須要件】

  • 賃貸住宅は対象外
  • 新築された日から10年を経過した既存住宅にバリアフリー改修を行う
  • 65歳以上の人、介護保険法の要介護(要支援)を受けている人などが居住する住宅
  • 平成30年3月31日までに一定のバリアフリー改修工事を行う
  • 改修後の床面積が50㎡以上

既存住宅の省エネ改修

 既存住宅に対して省エネ工事を行った場合、120㎡までの床面積に対する固定資産税額の3分の1相当額が減額されます。減額は、耐震工事が完了した翌年度分に限ります。

【必須要件】

  • 賃貸住宅は対象外
  • 平成20年1月1日以前からある住宅
  • 平成30年3月31日までに一定の省エネ改修工事を行う
  • 改修後の床面積が50㎡以上

実際の計算例

 では、軽減措置により、固定資産税は実際にどのくらい安くなるのでしょうか?東京都主税局のホームページには事例紹介もありますので、見てみましょう。(便宜上、都市計画税の計算は省略しています)
(設例)
平成28年10月に東京都23区内の土地に住宅を新築。

  • 土地面積:150㎡
  • 家屋床面積:100㎡(木造2階建)
  • 土地価格(平成29年度評価額)4500万円
  • 平成28年度固定資産税課税標準額:675万円
  • 家屋価格(平成29年度評価額)600万万円

(土地の計算式)
(1)土地価格(平成29年度評価額):4500万円
(2)本則課税標準額:750万円((1)×1/6=小規模住宅用地の課税標準の特例 )
(3)平成28年度固定資産税課税標準額:675万円
(4)負担水準:90%((3)÷(2)×100 )
 (A)負担調整措置:712.5万円((3)+(2)×5% )
(5)平成29年度固定資産税課税標準額:712.5万円(今回、Aは(2)を上回らないため(5)=(A)
となる)
(6)固定資産税相当税額:99,750((5)×税率1.4% )(円未満切り捨て)

(家屋の計算式)
(1)家屋価格(平成29年度評価額)600万円
(2)平成29年度固定資産税課税標準額:600万円
(3)当初税額:84,000円((2)×1.4% )(円未満切り捨て)
(4)新築住宅減額:42,000((3)×1/2=新築住宅の減額 )
(5)固定資産税相当税額:42,000((3)-(4))

 このように、計算過程で軽減措置が適用され、固定資産税が安くなっていることがわかります。なお、固定資産税の計算は複雑なため、上記の計算式のなかには、今回のコラムでは触れていない部分(土地の(4)から(5)のところ)がありますことご了承ください。

軽減措置の調べ方

 このように、固定資産税の軽減措置の種類は多いです。初めて住宅を買う人であれば、自分の家がどの要件に適用するのか、すぐにはわからないかもしれません。加えて、軽減措置は延長される場合もあります。そのため、例えば東京都23区内なら東京都(主税局)、その他の道府県であれば各市町村のホームページで固定資産税の所管部署を調べ、確認しておきましょう。また、不明点があれば所管部署に照会するとよいでしょう。

固定資産税の軽減措置を受けるには何をすればよい?

 固定資産税の軽減措置を受けるためには、自分で申告をする必要があります。住宅用地の申告については、「固定資産税の住宅用地等申告書」を提出します。提出先は、例えば東京都23区内であれば、その土地が所在する区にある都税事務所の土地班になります。納付期限(申告期限)は、申告が必要になる事由が生じた年の翌年1月31日まで(1月1日申告の場合はその年)です。

参考:都税事務所一覧(東京都主税局HPより)

まとめ

 日本では、不動産と税金に関しては「知らないと損をする」ことが多いといえます。固定資産税の軽減についてもこれにあてはまります。たとえ軽減措置の対象になっていても、きちんと申告をしなければ、その恩恵を受けることができません。とはいえ、固定資産税は、その計算も含めなかなか難しいのも事実です。もしわからないことがあれば、地元の行政や不動産屋さ、税理士などに相談してみるとよいでしょう。